ひろゆき氏の妻、西村ゆかが語る「ひろゆき」とのナレソメから結婚生活まで。ひろゆきからは「毎朝メッセージが来た」。【結婚の哲学】

この記事を執筆した人▶︎yuzuka
恋愛エッセイスト・脚本家として活動。元精神科看護師と夜職の経験あり。Xのフォロワーは14万人を超え、多くの女性から支持を受けている。著書は『埋まらないよ、そんな男じゃ。』他3冊。原作提供・脚本には『五反田ほいっぷ学園』『愛の炎罪』『今、晒してます』がある。ナレソメノートの編集長。
編集長のyuzukaが本当に気になる人だけに、「結婚について」を取材する連載企画、「結婚の哲学」。
「論破王」の異名を持つ、2ちゃんねる創設者・ひろゆき(西村博之)さん。
現在は、その鋭い洞察力と多彩な知見を武器に、コメンテーターやタレントとして数多くのメディアで活躍している。
ネット世代にとっては言わずと知れた存在であり、その独特なキャラクターと強い発信力は、これまで多くの人々に強烈な印象を残してきた。

前編では、そんな彼の「結婚観」を切り口に、「ひろゆき」という人物の“本質”に迫ろうと試みた。
しかし、予想通りというべきか――感情に触れようとすればするほど、彼の言葉はふわりふわりと指の間をすり抜けていく。
そこで今回の「後編」では、「西村ゆかの結婚の哲学」として、 彼にとって最も身近な存在であり、作家としても活動する妻・西村ゆかさんにも、同じテーマで話を聞いた。

視点を変えることで見えてくる、別の「ひろゆき」。
そして、「『ひろゆき』と生きること」とは何かを、じっくり深掘りしていく。
ひろゆきさんが語る過去と、同じ記憶をたどるゆかさん。
2人の視点から語られる“結婚”という出来事は、それぞれ全く違う色をしていた。
結婚までのナレソメは? 連絡は、ひろゆきさんからだった

yuzuka:早速ですが、ゆかさんとひろゆきさんの結婚生活は、どれくらいになるんでしょうか?
ゆか:結婚……いつしたんだっけ? 婚姻届を出したのは、たぶん2014年かな。だから10年目くらい。
でも実は2009年に先に結婚式だけ挙げていて、事実婚の期間も5年くらいあったから……出会ったときから数えると、もうトータルで21年くらい一緒にいることになりますね。
yuzuka:長いですね……! その間にあったいろんな出来事は後ほど伺うとして、まずはお2人の“ナレソメ”から聞かせてもらってもいいですか?
ゆか:えっと、なんて言うんだろう……業種交流会みたいなIT系のイベントに、友達に誘われて行ったんです。
私、普段そういうのにあまり行くタイプじゃないんですけど、そのときは転職したばかりで、「普段行かないからこそ、ちょっと新しいことに挑戦してみようかな」って思って。本当にたまたま顔を出した感じでした。
そしたら、その場にひろゆきくんがいたんです。
yuzuka:出会った瞬間、「タイプだった」とか、「ビビッときた!」みたいなのはありました?
ゆか:ないです(笑)。
yuzuka:(笑)。ないんですね。
ゆか:全然ない。好みじゃなかったし(笑)。
でも当時、彼はすでに有名人だったんですよ。2ちゃんねるの創設者としてネット界隈では知られてたから、その場でも「あ、ひろゆきがいる!」って、ちょっとした話題になっていました。
私も「へー、こういう顔なんだ」くらいには思って遠目に観察してましたね。
yuzuka:確かに、当時は顔出しとかもあまりされてなかったですもんね。
ゆか:そうそう。ネット系の雑誌に小さく載ってたくらい? 私は知らなかったんですけど。
ただ、「思ったより年近い感じの人なんだなー」っていう印象はあったかな。
それで、どっちかというと、私の周りにいた男友達がめちゃくちゃ盛り上がっちゃって、「声かけに行こうぜ!」って(笑)。まるでかわいい女の子を見つけた男子みたいなノリで、「誰が行く!?」みたいな流れになったんですよ。
それで 「男の俺らが行くより、女の子が声かけたほうが相手もうれしいでしょ」って言われて、私が“盾”にされて、無理やり声をかけに行かされました。
yuzuka:それは完全に“盾”ですね(笑)。
ゆか:そう(笑)。でも、私が声をかけて少し話したところで、「もういいでしょ」って感じで男友達が次々やって来ちゃって。だから実はそのときの私は、あまりしゃべってないんですよね。
ただ、その後別の場所にいたら、たまたまひろゆきくんもいて。
私が「こういう場、あんまり得意じゃないんですよ」って言ったら、彼も「僕もです。人見知りなんで」って返してきたんです。
ああ、この人はいろんな人に話しかけられてるけど、確かに自分から誰かにグイグイ行くタイプではなさそうだな、って思いました。「じゃあまたいつか」みたいな感じで、その場はそれで終わったんですけど……。
yuzuka:そのとき、連絡先を交換した?
ゆか:一応。ただ、私はそのとき名刺を切らしてて。でも友人が「連絡先渡しなよ」って言ってくるんで、仕方なく紙に手書きで名前と連絡先を書いて渡したんです。だけど特に何かに繋がるなんて思いもしなかった。
それが後日、それを見たひろゆきくんが律儀に「先日はありがとうございました」って連絡をくれたんですよ。意外でした。
それがきっかけで、ちょこちょこと会うようになりましたね。
ひろゆきさんからのアプローチは「あった」

yuzuka:頻繁に会うようになってからお付き合いに発展するまでの間って、ひろゆきさんからなにかアプローチがあったんですか?
ゆか:今思えば、ありましたね(笑)。
最初の連絡も向こうからで、私、当時Yahoo!メールのアドレスを書いたんですよ。
そしたら、Yahoo!メッセンジャーにもアカウントがひもづいていたので、それを通じていつの間にか友達追加されてて。
ちょうどその頃、私はYahoo!に勤めてたんですけど(笑)、会社に行ってメッセンジャーにログインすると、毎朝ひろゆきくんから「おはよう」って声かけられてました。
yuzuka:もうそれ、めっちゃ好きじゃないですか。
ゆか:ね(笑)。
yuzuka:逆に、ゆかさんのほうでひろゆきさんに恋愛感情が芽生えたきっかけって、何だったんですか?
ゆか:うーん、なんだろう……。でも出会って1〜2か月後には「私たちって、付き合ってるのかな?」みたいな話にはなってたと思います。
ただ、当時は別に気になる人がいたんですよね。しかもその人も、もしかしたら私のこと気にかけてくれてるのかも……っていうタイミングで。だから、すぐには「ひろゆきくん!」って即決ができなかった。
そんなときに、ちょっとした事故というか事件があって。
yuzuka:何があったんですか?
ゆか:駅の階段で足を踏み外して、16段くらい転げ落ちたんです(笑)。しかも、飲んだ帰り道でご機嫌にスキップしてたらドサッと転落したという……。
yuzuka:危ない! っていうか、めっちゃ痛いやつ!
ゆか:そう、もう右半身全部打撲しちゃって。あと少し打ちどころが悪ければ、ほんとに死んでたかもしれない。痛すぎて落ち込んで、恥ずかしさもあって、体引きずってそのまま家に帰って。
で、その出来事を当時気になってた相手に連絡したんですよ。そしたら返ってきたのが、「大変だったね。でも君は強いから大丈夫でしょう?」って。
yuzuka:うわ、そう言われたら、もう本音言えなくなりますね。
ゆか:そう。「本当は大丈夫じゃないよ」って思ってたけど、言えなくなって「大丈夫です」って返した。
で、その後ひろゆきくんにも同じ話をしたら、最初はめっちゃ爆笑されたんですよ。「転がり落ちるとかマジウケる! 俺の友達に話そう!」って。もう、すげー腹立った(笑)。
yuzuka:デリカシーなさすぎだ(笑)。
ゆか:本当ですよ。それで1回「この人ないわ〜」って思ったんですけど……2日後くらいに「あれ、ひょっとしてほんとに大事になってない? 大丈夫?」って、ちゃんと心配の連絡をくれたんです。
それを見て、「あれ? この人、ちゃんと気にしてくれてる?」って。今思えば、それが最初にちょっと意識した瞬間だったかもしれません。
yuzuka:ひろゆきさん、なんかかわいいですね。瞬間的な思いやりは出てこないけど、後からちゃんと出てくるっていう。
ゆか:そうそう。私はね、そういう“後から修正できる人”を評価するタイプなんですよ。その場で反省できなくても、ちゃんと後でリカバリーできるかどうか。ひろゆきくんは、そういうところがちゃんとある人なんです。
「ひろゆきくんは、私に『やらせてくれる』人」

ゆか:それからもう1つ、「私、この人のこと好きかも」って思ったタイミングが後にもあったんですよね。
yuzuka:どんなことがあったんですか?
ゆか:あるとき私、買ったばかりの洋服を着たくて、ひろゆきくんの家に遊びに行ったときに「タグを取りたいからハサミ貸して」って言ったんです。そしたら彼が、「ハサミないからアーミーナイフでいい?」って(笑)。
私はアーミーナイフなんて使ったことなかったから、「これなに? どうやって使うの?」って聞いたら、「ここをこう引くとナイフが出てきて……」ってちゃんと説明してくれて。
でも、正直ちょっと怖いし、やっぱり彼に切ってほしくて洋服を渡そうとしたら、彼、1回ナイフを全部しまってから「やってごらん」って私に渡したんですよ。
それで言われた通りにやってみたら、ナイフがちゃんと出て、自分でタグが切れて。「あ、自分でできた」って言ったら、彼が「お、1人でできたじゃん」って。
yuzuka:それまで付き合った方たちとは、違った?
ゆか:そうなんです。私がそれまでに付き合ってきた人って、ただいろいろやってくれるタイプの人が多かったんですよ。
重い荷物を持ってくれたり、車で迎えに来てくれたり、ごはんのときもお金を出してくれたり……すごく親切にしてもらって、もちろんありがたかったんですけど、気づいたら自分が何もできなくなってた。
「私、ほんとに何もしてないな」って感じる瞬間が増えてて。
ある日、その当時の彼とデートした帰りに、「車の運転すら自分でしてないな」って、ふと思ったんです。車のドアの開け方すらわからない。狭いところでドアを開けてガンってぶつけたり。
やってもらうことに慣れすぎて、感覚が鈍ってたんですよね。
結局その彼にはフられたんですけど、「やってもらって当然」みたいな気持ちになってたのが良くなかったなって反省して。
だから次に誰かと付き合うときは、なにかをやってもらったとしても「してもらっている」って意識はちゃんと持とう、自分でもなにかできるようにしていこう、って考えるようになってたんです。
ひろゆきくんって、もちろん思いやりはあるし、いろいろしてくれることもあるんですけど、それ以上に「やらせてみる」っていうスタンスなんですよね。
それが、なんかすごく心に残って。そのときかな?「あ、この人って“やらせてくれる人”なんだ。私、この人のこと結構好きだな」って思いました。
「あんた、私のこと好きでしょ? じゃあ、結婚式をさせてよ」

yuzuka:そこからお付き合いを経てご結婚に進まれるわけですが、お2人は1度「結婚式」を先に挙げてますよね。どうして「結婚」の前に「結婚式」だったんでしょうか?
ゆか:私、「結婚」じゃなくて「結婚式」がしたいんだ、ってある日気づいたんですよ。
当時IT業界にいたんですけど、ITって周りの結婚が早いんですよね。私の周りもみんな結婚してて。
で、うちのおじいちゃん、おばあちゃんがまだ元気だったから、「まだ結婚しないの?」とか「孫の顔が見たい」とか言われて、正直それもプレッシャーだったんです。
それで考えてみたんですけど、私自身は、結婚そのものがめちゃくちゃしたいわけじゃない。ただ、ウェディングドレスはめちゃくちゃ着てみたいかもしれないって思ったんですよね。
しかも「こんな感じのが着たい」っていう具体的なイメージもあって、そのドレスを着るなら、年を取ってからよりも、若いうちのほうが似合いそうだなって。
それで、ひろゆきくんと結婚の話をしたんですけど……。
yuzuka:あまり乗り気じゃなかった?
ゆか:そうそう。私のほうは、「ずっと一緒にいるなら結婚するもんでしょ」くらいの固定観念はあったので、何気なく「結婚ってどう思う?」って聞いたら、ひろゆきくんは、「自分は結婚にメリットを感じない。子どもがいるなら必要性はあるけど、いないなら好き同士でずっと一緒にいればよくない?」って答えてきて。
で、私も確かにそうだなって思ったんです。 今すぐ子どもが欲しいわけでもなかったし、籍を入れても入れなくても生活は変わらないなって。
……でもね、やっぱり、ドレスは着たかった(笑)。
「ドレスが着たい」という気持ちが強すぎて、モヤモヤして、それであるときふと気づいたんですよね。
「あれ? 私がしたいのって、“結婚”じゃなくて、“結婚式”だ」って。
yuzuka:なるほど(笑)。
ゆか:それで、ひろゆきくんに詰め寄ったんです。
「私、結婚じゃなくて結婚式がしたい。ドレスがどうしても着たい。あんた、私のこと好きでしょ? たぶんこれからも一緒にいるつもりでしょ? だったら、そんな私が“ドレス着たいから結婚式したい”って言ってるのに、どうして私の夢を奪うの?」って(笑)。
yuzuka:覚悟を感じますね(笑)。
ゆか:そしたらひろゆきくんが、「じゃあ結婚式しようか」って言ってくれて。すぐさま「私が全部準備するから、嫌なことだけ教えて」って言って動き始めて、29歳の誕生日にロサンゼルスで結婚式をしました。
制度としての結婚はしてない。でも、私の中での夢はすべてかなった。
すごく“お花畑”だと思われるかもしれないけど、私にとっての「結婚」って、自分の大好きな人がいて、大好きな友達に囲まれて、「これからも一緒にいようね」って言い合うことだったんです。
だから、籍じゃなくて式でよかった。私は仕事もしてたし、お金にも困ってなかったし、すぐに子どもが欲しいわけでもなかったから、そのときの私たちにとっては、それがベストな形だったと思ってます。
yuzuka:ご家族の反応はどうでしたか?
ゆか:それが、結婚式を挙げたことで、うるさい人が減ったんですよ(笑)。普通に考えて、おじいちゃんおばあちゃんが「結婚式」の写真を見たら、「結婚したんだ」って思いますよね。誰もいちいち「婚姻届は出したの?」なんて確認してこない。
だから「結婚式やったよ」って言ったら、みんな「良かったね」で終わり。私はうそはついてないですから(笑)。
事情を知ってる親戚の一部からは「いつまで愛人みたいなポジションにいるの」なんて言われたこともありますけど、「別に誰にも迷惑かけてないよね? 心配なのはわかるけど、あなたたちに負担をかけてるわけでもないし、お互いこういう話はやめよう」って、気にしてませんでしたね。
「癖のあるひと」と結婚し、共存していくための心得

yuzuka:そこから海外移住の事情もあり、事実婚を経て正式にご結婚されたお2人ですが……正直、ひろゆきさんって“癖”強くないですか?(笑)
最近では、ひろゆきさんを真似した“ひろゆきもどき”が大量発生してて、それに悩む女性からの相談もよく来るんですよ。
ゆか:うわ、いちばんウザいやつですね。それ、最もいらない存在です(笑)。
yuzuka:(笑)。でも、その“本家”と一緒に暮らしているゆかさん、めちゃくちゃ大変じゃないのかなって思うんですけど……。それこそ、ひろゆきさんって家事分担とかできるタイプなのでしょうか?
ゆか:最初は全然しなかったですね。
例えば、お皿を使い終わったあとも、「早く洗いなよ」って言ったら「僕のタイミングで洗うから」って言われて。じゃあその“タイミング”っていつなんだろうって思って、放置して様子を見てみたら、3日たってもまだそのお皿がテーブルの上にある(笑)。
最終的にこっちが見てて耐えられなくなって、「もう、自分で洗ったほうがマシ」ってなって、最初のほうは私が負けて洗っちゃってたんです。
yuzuka:わかる……。こっちが気になっちゃうんですよね。
ゆか:そう。でもね、そのときに1度だけ、ひろゆきくんに提案してみたんですよ。
「食べてすぐ洗わなくてもいいけど、水につけておくと汚れが取れやすいから、そのほうがよくない?」って。そしたらあの人、理にかなってることはわりと素直に受け入れるタイプなんですよ。素直に「ふむふむ、わかった」って言って、そこから少しずつ、シンクに置いて水につけるようになった。
yuzuka:えらい!!
ゆか:で、私はそのタイミングで思いっきり感謝を伝えて、ほめたんです。「ありがとう、助かる」って。
そうするとね、水につける頻度が少しずつ上がってくる。そこから、「たまにでいいから洗ってくれたらうれしいな」って頼んだら、今度はちょっとずつ洗うようになる(笑)。
「わー洗ってくれたんだ! ありがとう! コーヒーでもいれようか?」みたいに返すと、また気分が良くなるみたいで、どんどん頻度が上がっていく。
彼は元々、自分でも料理はする人だったので、それを繰り返していくうちに、今では“作って→食べて→洗って→食器棚に戻す”まで自然にできるようになりました。
yuzuka:すごい……! もう完全に、ゆかさんの教育の賜物ですね。SNSなんかでは「なんで女性が男を“教育”しないといけないのか」っていう声もありますが、そういう不満はゆかさんにはなかったんですか?
ゆか:いや、普通に思ってますよ(笑)。「私、なんでここまでお膳立てしてんだろうな〜」って気持ちはめちゃくちゃある。
でも、それをやらなかった結果、何もしないままだったら、そのほうがめんどくさいじゃないですか。だからそんなに苦痛にはならなかった。
それこそ、例えば彼が皿を洗うようになっても、その周りはびっしゃびしゃだったりするんですよ(笑)。でもそこで、「なんでこんなに水こぼしてんの!? なんでこんなこともできないの?」って言ってつぶしても、なんの得もないなって思ってて。
最初が20〜30点だったのが、今80点になってるなら、それでもう充分じゃないですか。
yuzuka:うんうん、たたきつぶしてゼロに戻すより、今ある80点に感謝したほうが健全ですよね。
ゆか:そうなんですよ。毎回鍋を洗い忘れてても、シンクが水浸しでも、「なんでそれ“しか”できないの?」じゃなくて、「ここまでできるようになったね」って受け取るほうが、お互いに暮らしやすくなる。
完璧を求めるより、“ちょっとずつ良くなったところ”に目を向けるだけで、全然違うと思ってます。
他にもひろゆきくん、シャワーの後とかも湯垢や髪の毛をそのまんま残して出てくるんですよ(笑)。 でもね、「出るときにシャワーでざっと流してね」ってお願いすると、確かにやってくれるんです。やるけど、2、3回に1度、ぬるま湯でチャッと流す程度(笑)。完璧じゃない、確かに。
でもそれでいいんです。結婚するってことは、なんかしら理由があって一緒にいるわけだから。 だったら“ちょっとでも改善してる”状態のほうがいい。それを「まだ足りない」と言ってぶち壊す意味がわからない。
……まあ、私も「めんどくせえな」とは思ってますけど(笑)
yuzuka: ゆかさんの心の広さに、ひろゆきさんはずいぶん救われてますね。付き合い始めた当初から比べると、ひろゆきさんはかなり変わりましたよね?
ゆか:変わったみたいですね。というのも、彼のお母さんに言われたんですよ。
ひろゆきくんの家族が遊びに来たとき、彼が肉を焼いて、お皿を洗ってるのを見て「うわ、あの子が動いてる!? こんなヒロ見たことない」って。めっちゃ感謝されました(笑)。
私自身は20年間少しずつ、コツコツやってきたから大きな変化は感じづらい。だけどそこでめちゃくちゃお母さんがほめてくれて、「よし、成果が出てるんだ」と思いましたね。
yuzuka:素晴らしい変化(笑)。しかもゆかさんのすごいところは、「もう自分がやったほうが早いからやっちゃおう」にならないことですよね。多くの女性はそれをやって、でもうっぷんが溜まって爆発しちゃうケースが多いじゃないですか。
ゆか:そうね。でも、それこそ20代のうちは「掃除できない」とか「汚す」とかでも「まあ私がやってあげるか」って思えたと思うんです。でもそのまま60歳とかになったら、やばいじゃないですか。
お互い足腰もきついのに、まだお皿も洗えない……ってなってたら、それもう介護ですよ(笑)。しかもその頃には私も介護される年齢なのに、老老介護みたいになっちゃう。
だから私はもっと長い目で見て、介護の年齢に入るまでにはひと通りできるようにしておきたいんです。「今日からできるように」なんて絶対無理。でも20年かけてちょっとずつ、少しずつ、ね。
けんかしたら、話さない。ハウスルールは、LINEを使って

yuzuka: ちなみに、ひろゆきさんとはけんかすることってないんですか?
ゆか: ありますよ、めちゃくちゃ。
yuzuka:衝突とうまく付き合うコツとか、西村家ならではのルールってあるんでしょうか?
ゆか:私たちがやってるのは、「けんかは対面じゃなくてLINEでやる」ってことですね。
yuzuka:なるほど!
ゆか:直接言い合うと、情報以外の“余計な情報”が乗っかるんですよ。言い方とか声のトーンとか、ちょっとした言葉尻とかで感情が混ざってしまう。
ただ部屋を片付けてほしいだけのことなのに、 「どうして片付けてくれないの!?」みたいに感情が乗ると、余計にこじれるんですよね。
だから、問題はなるべくテキストで。 ただ「片付けてほしい」と書くだけ。とはいえ、LINEでガーッとけんかすることも普通にありますけど(笑)。
yuzuka:感情と事実を、できるかぎり分ける。
ゆか:そう。ただでさえ我が家は2人とも家で仕事してるから、ほぼ24時間一緒なんですよ。彼は配信部屋にいて、私は居間で仕事をしてる。
だけど、テキスト上では白熱していても、ドアを開けて「ふざけんな!」みたいに直接やり合うことはしないってのが暗黙のルールになっています。
揉めても、リアルには持ち込まない。顔を合わせたら普通に会話する。一緒にコーヒーを飲んで、部屋に帰って、またLINEでやりあう(笑)。それを心がけるようになってから、問題がちゃんと解決するようになったと思います。
「揉めて終わり」で問題が解決しないのが最悪ですから。
解決や改善したいことがあるから揉めてるのであって、相手を言い負かすことが目的じゃない。
結局どんな形であれその揉め事が改善されれば、お互いハッピーなんです。
yuzuka:ちなみに白熱したけんかでひろゆきさんが“負ける”ことってあるんですか?
ゆか:しょっちゅうありますよ(笑)。LINEだと私が逃げ道を封じるので、彼はすごく嫌がってると思います。
yuzuka:そういうときって、ひろゆきさんは謝るんですか?
ゆか:うーん、すぐに「ごめん」と言うことは少ないかも。 でも、「コーヒー飲む?」って声をかけてきたり、朝起きたらごはんが用意されてたり、食べた後急いで片付けしてたり。
そういう仕草があるから、 「ああ、この人は素直にはなれないけど、紙1枚分でも重ねて良くしていく気持ちはあるんだな」って思える。だから私も許せるんですよね。
ひろゆきさんの愛情表現は、「擬音」だった

yuzuka:ところで、ひろゆきさんって愛情表現とかするタイプなんですか? すごくドライに見えるんですが。
ゆか:あー、苦手ですね(笑)。でも苦手なりに、変な擬音とか言ってくるんですよ。「シュッシュー」とか「モフモフ」とか。
yuzuka: ……モフモフ?
ゆか:そう。「ムフン」とかLINEで送ってきたりもします(笑)。
yuzuka:……なるほど、独特な甘え方なんですね。
ゆか:そうそう。素直に「ありがとう」が言えないから、「ありがとうだにょ」とか、ちょっと変化させて言ってきたりとか(笑)。
yuzuka:たぶん、ひろゆきさんなりに努力してるんでしょうね。
ゆか:そうなんですよ。あと「言えたほうがいいんだよ」って私がずっと伝えてきたからってのもあると思います。
結局、何十年も一緒にいるわけだから、お互いちゃんと感謝やリスペクトを伝え合える関係がいちばんいいって話をし続けてて。それで彼も、少しずつできるようになってきたかな。
それに、わかりやすいところもあるんですよ。例えば最初の頃、私と会うときはやたらアクセサリーをつけてきてたんです(笑)。
yuzuka:アクセサリー!? ひろゆきさんのイメージにないですね。
ゆか:でしょ(笑)。当時は「こういうの好きな人なのかな?」って思ったけど、時間がたつにつれてなくなった。興味ない人なんだってわかりました。だから、あのときは頑張ってたんだなって。
yuzuka:そうやって聞くと、ひろゆきさんがすごく愛らしく思えてきますね。
「結婚」はただの制度。だけど彼と過ごす時間は、味わい深い

yuzuka:なんだかんだで、ひろゆきさんは不器用ながらもゆかさんが大好き。そして、そんなひろゆきさんを温かく見守るゆかさんの器がでっかい。本当にこの組み合わせじゃなきゃ成立しなかったんだろうな、というのが伝わってきます。
最初はお互い「結婚という制度にメリットを感じていなかった」ということですが、実際に一緒に暮らしてみて、「結婚とは何か」。考え方は変わりましたか?
ゆか: 「結婚とは?」 と聞かれたら、今でもただの「制度」だと思います(笑)。それは変わらない。メリットもデメリットもない、ただの紙1枚。
でも、結婚は、自分だけじゃなくて他者と共存すること。“私”じゃなく“私たち”になっていくこと。
「I」で生きるんじゃなくて、「We」で生きていくことなんだと思います。それができる人だけが、良い結婚生活を送れるんじゃないかと思いますね。
yuzuka:「結婚してよかったな」と思う瞬間って、ありますか?
ゆか:うん。彼と一緒に生活していて楽しいから、それは「よかったな」と思いますよ。 正直、結婚なんてただの制度だから、するしないはどっちでもよかった。
でも“結婚して彼と一緒にいる”という選択は、私にとっては楽しいし、すごく味わい深いものです。
ひろゆきくんって、飽きないんですよ。あんな人、飽きようがない(笑)。
世間に見えている以上に、彼は思いやりもあるし、愛情深いところもありますから。
yuzuka:では最後に、ひろゆきさんと結婚されたゆかさんだからこそわかる、「癖の強い相手」と結婚する上で覚えておいたほうがいいこと、をお聞きしても良いですか?
ゆか: ……しないほうがいいですよ、癖の強い人との結婚なんて(笑)。
でも私がうまくいってる理由は、絶対に譲れない部分は揺るがないけど、それ以外は「まあ、どっちでもいいや」って思える性格だからだと思うんです。
例えば「今日はどうしてもハンバーグが食べたい」――これだけは譲れない。
でも、和風でもチーズが乗ってても、付け合わせが何であっても、それはどうでもいい。
そんな感じで、“何が譲れないか”を自分でわかっておくこと。それを守る強さを持つこと。
でもそれ以外は柔軟に受け入れる。結局それが大事だと思います。
ひろゆきくん「みたいな」人との結婚は大変ですよ(笑)。
でも、「ひろゆきくん」はおもしろいし、飽きない。だからいいんです。

西村夫婦の「結婚の哲学」。
ひろゆきさんにとって結婚は「手続き」。
ゆかさんにとって結婚は「制度」。
示し合わせたわけでもないのに、2人の答えはよく似ていて、それがまた微笑ましかった。
2人のインタビューから見えてきたのは、ネットで知られる合理主義者・ひろゆきの“キャラクター”ではない。
そこにいたのは、不器用だけど愛情深い「西村ひろゆき」という等身大の人間であり、彼を大きな器で受けとめ、支え、見守る妻・西村ゆかの姿だ。
「お互いにとっての最良の理解者」。
そんな関係性で結ばれている、2人の自然な空気を見ながら、改めて「結婚とは何か」と考える。
確かにそれ自体は、ただの紙1枚に過ぎない。
しかもその紙の先にある「2人で生きる」という日常は、1人で生きるよりもはるかに手間がかかる。
――それでも。
その生活は温かく、かけがえのないものであることは、どちらの言葉からも伝わってくる。
めんどくさい。だけど愛しい。
それこそが結婚をする価値なのだと、2人を見ていて、改めて感じさせられたのだった。
実際に結婚相談所で出会って結婚した夫婦のストーリーが見たい方は、結婚相談所の体験談へ。
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ひろゆきさんの結婚の哲学