恋愛心理学者が斬る! 芸能界の「同格婚」トレンドから見る、本当に幸せな結婚の法則

年末年始、芸能人の結婚報告ラッシュが起こった。恒例の展開だが、今回目立ったのは「同格婚」の多さだ。

「同格婚」とは、夫婦間のさまざまな要素が「同じくらい」「共通点がある」という結婚スタイルのこと。例えば、年齢が近かったり、仕事の分野が似通っていたり。美男美女同士もルックスが「同格」だし、育った環境や実家の太さなども共通していたら「同格」要素と言えるだろう。

同格と思われる要素をカップルごとに抽出してみた。こうしてみると、この傾向がわかりやすいだろう。

例えば年末、女優の波瑠(34)俳優の高杉真宙(29)が、「美男美女」の「売れっ子俳優」同士で結婚。大谷翔平(31)は、「同世代」の「高身長」元「プロスポーツ選手」真美子夫人(29)と結婚。岡田将生(36)も高畑充希(34)と結婚し、「売れっ子俳優」同士で「美男美女」、しかも「年齢」が近い。年始には長澤まさみ(38)と映画監督の福永壮志(43)が結婚。こちらも映画や演技に関わるという「仕事」の属性が近い。

「トロフィー妻」「超年上の高年収夫」ではなく、比較的2人の年齢や仕事などが近い「同格妻」「同格夫」を捕まえている例は多数あるのだ。

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データからも明らかに。「同格婚」は令和の新トレンド

特に、我々一般人夫婦の年齢差縮小は顕著だ。国が発表したデータによると、カップルの年齢差は年々縮まっており、最新のデータでは約半数のカップルが同年齢、もしくは1歳違いだという。

また、共働き夫婦がどんどん増え、専業主婦の数と逆転。妻の経済力向上で「社会参画」も夫婦同格になりつつある。
男女の年収差については、出産によるキャリアの断絶や女性の管理職登用の問題など様々な要因からまだあるものの、女性で1000万円以上稼ぐ女性は少なくなく、ナレソメ女子にもそれなりの人数が存在する(※)

※出典:ファイナンシャルフィールド「共働き世帯が多数派になったけど、専業主婦(夫)世帯って実際にどれくらいいる?」

近年、芸能界でも話題となっている「同格婚」。学歴、年収、仕事への熱量などが近いパートナーを選ぶこのスタイルは、単なるトレンド以上の合理性がありそうだ。

それでは、なぜ同格婚が支持されるのか。その深層心理と「令和の結婚観」について、ナレソメ予備校恋愛心理学者・山崎に聞いた。

なぜ同格婚が幸せな結婚を導くのか

――最近、大谷翔平選手や波瑠さんなど、お互いのキャリアやスタンスが「同格」に見えるカップルの結婚が続いていますよね。

山崎: そうですね。芸能人に限らず、「同格婚」を選ぶ男女は増えている体感があります。そして、同格婚のいいところは「親友夫婦」になりやすいということ。データや先行研究を見ても、結局のところ「親友のような関係性」を築けている夫婦は、そうでない夫婦よりも満足度や幸福度が高いことがはっきりしています。

――「同格夫婦」が「親友夫婦」になりやすい理由はなんでしょうか?

山崎:親友夫婦とは、まるで親友のように「お互いがお互いの話を聞ける」夫婦。つまり、情緒的なサポートがきちんとできる夫婦のこと。

年齢や、仕事、育った環境・時代などのバックグラウンドが近い(=同格)ことで対等な感覚で話しやすい。すると、結果的に親友のような関係になりやすいですよね。

一方で、逆の場合はどうでしょう。例えば、年齢が一回りも離れていると、子ども時代の話で共感しづらく、テレビを観ているときに出てくる感想も違う。さらに、時代ごとの価値観も異なるため、素で理解しあうためには、すり合わせをしっかりする必要があると思います。

また、お相手とあまりに「仕事」や「年収」がかけ離れていると「その仕事のどこがそんなにつらいの?」と悪気なく言ってしまう。例え相手を理解しようと思って聞く場合でも、傷つけてしまうこともあるでしょう。

まとめると、同格婚は親友夫婦になりやすく、同格な要素が多い親友夫婦はいい関係を築きやすい……ということです。

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――男女ともに、同格だからこそ得られやすい情緒的サポートが重要なんですね。

山崎:そうですね。男女ともに大事ですが、実は男性のほうが妻からの情緒的サポートを必要としている傾向にあるんです。

女性のほうが「聞いてよ〜」と話を持ちかけてくるイメージがあるかと思いますが、実は、男性のほうが妻に話を聞いてもらうことが重要。なぜなら、男性の話を聞いてくれる窓口は、年々少なくなっていくからです。女性は何年たっても女子会や友達、自分の親など話し相手が多い傾向にありますが、男性は傾向として友達と会う機会が減っていき、「男子会」なんて開催されません。友人や家族に愚痴を吐く文化も、女性に比べるとかなり少ないんです(※)

※出典:J-STAGE「家族社会学研究 配偶者サポートの独自性 —NFRJ08データを用いた計量分析— 大日 義晴(2012)」」

すると、妻がいかに話を聞いてくれるか、理解してくれるか、共感してアドバイスをくれるか……これが、最後の頼みの綱になってくるんですよね。男性こそ、同格妻を捕まえておくメリットが大きいでしょう。

――ちなみに山崎さんのご家庭は、奥様と13歳差ですよね。年齢ギャップを感じることはありますか?

山崎:ありますよ(笑)。私の方が年下で、妻が年上。年齢においては、同格婚からはかけ離れています。

だからか、ふとした瞬間に口から出る言葉に、価値観や時代背景の違いを感じることがあります。例えば、妻は「女は家を守り、男は外で稼ぐ」という考えが私よりも強い。これは性別分業意識というのですが、この点において違和感を覚えることはあります。

それでも、「親友夫婦」のような関係を目指して、お互いにケアしています。やっぱり、自分の感じた違和感や考えをお互いにたくさん話すことが肝ですね。

仕事の同格感がもたらすメリットは「聞いてもらえている感」の醸成

――具体的に深掘りしていきます。仕事の属性が近い(=同格)ことも、メリットになりますか?

山崎: 大いにメリットがありますね。社会人は家で仕事の話をすることが多いですが、職種が近いと、細かく説明しなくても「ああ、その状況ね」と背景がわかってしまう。これって、実は最強の「聞いてもらえている感」につながるんですよ。これがまさしく、結婚生活において大事な「情緒的サポート」の要素なんです。

ナレソメ総研の調査でも、夫婦関係満足度と情緒的サポートの間には強い相関があることが明らかになっています。「ビジュアルの満足度」や「趣味の一致度」以上に、情緒的サポートを受けられるかどうかが夫婦関係の鍵を握ると言えそうです。

逆に立場が離れすぎていると、問題が起きやすい。例えば「管理職の悩み」を「平社員」が聞いても、どうしてもスタンスのズレが生じてしまう。「部下を持つ大変さを話したい管理職」と「管理職に不満を持つ部下」のような構図が家の中でも起きてしまうと、お互いにストレスがたまります。

だから、大谷選手が自分と同じくストイックなアスリートで筋トレの習慣も共通している真美子さんを選んだ理由がよくわかります。きっとアスリート同士、阿吽の呼吸で通じあう部分が多いんでしょうね。

――仕事の属性が遠いと、どんな不都合があるでしょうか。

山崎:そうですね……私はナレソメ卒業生向けサービス・イトナミでも相談を受け付けているのですが、よくあるのが「接客業の妻とプログラマーの夫のケンカ」の相談なんです(笑)。

仕事があまりにかけ離れすぎて、お互いに理解し共感するまでが難しい。ここで、プログラマーと研究職カップルとかならスムーズなんですが、仕事の属性が「同格」じゃない場合、理解し情緒的サポートにつなげるまでに時間が必要です。

年収格差と「不倫リスク」の意外な関係

――昔ながらの「年収1500万円の39歳男性と美人な25歳年収300万円の受付嬢」という組み合わせについてはどう思われますか? いわゆる「トロフィーワイフ」の構図ですね。

山崎: もちろん成立はしますが、リスクもありますね。例えば、年収1500万円の男性と年収300万円の女性では、1500万円を稼ぐ努力や大変さが共有しづらい。すると男性側は「どうせ自分の苦労は分かってもらえない」と孤独を感じ、妻は俺の話を聞いてくれない……と情緒的サポート不足から夫婦関係の満足度が下がります。

そうして、理解を求めて外(キャバクラや不倫相手)へ向かってしまう……というパターンは少なくありません。キャバクラで「俺の話を聞いてくれる」女性を見つけ、自分の妻がいかに若くてかわいいか、つまり「いかに俺がすごいか」を自慢し始めると思います(笑)。

また、妻は妻で、「お金の切れ目が愛の切れ目」になりやすい。尊敬できるから結婚したと言っても、結局は「稼げる彼」を尊敬しているにすぎないじゃないですか。しかも、年収が高くても、自分より10歳年上なら、リタイアも10年早い。妻よりもだいぶ先に、夫の給料が0円になるんです。こうして、自分にお金をかけてくれなくなった途端、妻は夫に魅力を感じなくなる場合が多いでしょう。

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――では、女性のほうが稼いでいる場合はどうでしょう?

山崎: 実は、こちらも男性側の不倫リスクになってしまうんですよね……。もちろん不倫をするほうが悪いという前提で話しますが、男性のプライドが大きく関わってきます(※)

※出典:CiNNi「五十嵐彰(2018) 誰が「不倫」をするのか 家族社会学研究,30,85–196.

男性側が「家事育児でバリューを出す」と割り切れていればいいですが、そうでない場合は男性のプライドが折れやすくなってしまう。妻より稼げてないことがプライドを傷つけ、不倫リスクを高める要因になり得ます。すると、「俺の稼ぎを認めてくれる場所」をよそに探してしまうんですね。だからこそ、お互いの価値を認め合える「見かけ上の同格」や「リスペクトの同等性」が重要です。

例えば「俺が毎日洗濯をしているから、妻は気持ちよく仕事できる」「僕が妻を笑わせてリラックスさせてあげられている」などのささいなことで構わない。そうして、男性側が家庭内における自分のバリューを認められていると、年収が同格ではなくても不倫リスクは回避できます。

結局、仕事や年収、もしくは家庭へのコミットなどで「同格」感を作ることが大事なんです。もともと同格な場合はともかく、そうじゃない人たちは関係性のバランスをとっていくべきでしょうね。

あ、ちなみに、夫婦ともに似通った仕事を頑張っているけど、男性のほうが年収が高いケースは順風満帆にいくでしょう。男性のプライドを満たしつつ、情緒的サポートも見込めますからね。こうしてみると男性が面倒くさい生き物に見えますが(笑)、こういった傾向があるんです。

同格婚で幸せになれる人の特徴は……性別分業意識がポイント

――令和になって、女性が社会進出し、男性が家事育児に参加する流れもありますよね。これが、「同格婚」につながっているのでは? と思います。

山崎:私は、選択肢が増えたという認識です。(1)男性が外で稼ぎ、女性が中で家事。(2)男女ともに外で稼ぎ、中で家事をする。(3)男男性が中で家事をし、女性が外で稼ぐ。昔は(1)だけだったところ、現在はこの3つに選択肢に増えた、という認識を持っています。

――令和ならではの同格婚トレンドですが、向いている人はどんな人だと思いますか?

山崎:性別分業意識があまり無い者同士なら、きっと向いているかと思います。また、性別分業意識のズレが少ないカップルの結婚が最も幸せだと思います。

男は外・女は中と思っている男性と、そんなの関係ないよと思っている女性が結婚したら、必ず衝突が起きますし、同格になるのは難しい。しかし、性別分業意識が無いならば、お互いにバリバリ稼いでもバリバリ家事育児をしても、同格同士で共感し合えるし、さらに高め合えるというわけです。

――となると、子どもが生まれた場合の「同格婚」維持は難しいと思うのですが……。

山崎:そのとおりです。妊娠した奥さんは物理的に動けなくなるし、仕事や家事における同格は難しい。また、男性の「無自覚な性別分業意識=無自覚な非同格の意識」が浮き彫りになって危険なんです。

私は、実は女性よりも男性のほうが「性別分業意識」が根強い傾向にあると感じます。

最近、ナレソメのイベントで相談を受けることがあるのですが……男性って、はなから自分のキャリアを断絶するつもりがない人も少なくないんですよね。

つまり、子どもが生まれても、家庭で何か問題が起きても、俺は仕事をする。俺が稼がなきゃいけない。そう考えている人が決して少なくないんです。それで、奥さんがフルで産休育休をとることを前提に考えている……。

この感覚のまま結婚まで突っ走ると、危険だと思うんです。必ず奥さんと話し合いをして、お互いにどうするか? と考えることが大事。自分と同じくらい仕事を頑張っていて、年収も同格レベルの妻と結婚したとして、じゃあ妊娠後はどうするの? こういう話題を突き詰めて考えなくては、例え同格夫婦でスタートしたとしても、壁にぶつかるでしょう。

ある研究でも立証されているのですが、女性のほうが妊娠出産や育児、キャリアの断絶についてしっかり考えている傾向があります(※)。物理的に妊娠するわけですから、当事者意識が強いんでしょうね。

※出典:福井大学リポジトリ「佐々木 綾子 (2007). 親性準備性尺度の信頼性・妥当性の検討 福井大学医学部研究雑誌,8,41-50.

同格婚によって幸せになれることは、様々な研究やデータからも立証できますが、実は男性のほうが同格思考から離れてしまっているパターンが多いのです。

だから、きちんと自分の無意識にも気を配ってパートナーと話し合うことが大事。きちんと話し合えれば、同格だろうと同格じゃなかろうと、互いにケアし合える関係を維持できますからね。

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同格婚は「より良い夫婦関係」を手にいれる効率的な方法

年齢、仕事の分野、年収……。これらが近いと、共通の話題が多く理解・共感しやすい。また、結婚において最重要な情緒的サポートも見込め、男女ともに満足度が高くなる。さらに、ズレを埋めるための面倒な話し合いを避けることもできるのだ。

年下の美女がいい、年上の経済力がある男性がいい……そんな理想を持っている人も多くいるだろうが、同格婚についても1度検討してみてはいかがだろう。

特に、年齢が「同格」な者同士ならではのメリットや、年齢差カップルのデメリットは他にもある。親の介護のタイミング、子育てにおける体力差、そしてパートナーに早くに定年がきて年収が保証されないという面も……。

そんな様々な面を考慮して婚活すれば、きっとあなたにとってのベストマリッジが見つかるだろう。

ナレソメノート編集部

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ナレソメノート編集部は、専門知識や経験を活かして質の高い記事作成に取り組んでいます。「結婚生活を通じて人生のQOLを向上させる」をテーマに、
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