【考察】ラブトランジット3を徹底解説。ヒロは「自覚なきクズ男」で、ユリは「ゾンビ」になる危険あり……?【ネタバレあり】

この記事を執筆した人▶︎yuzuka
恋愛エッセイスト・脚本家として活動。元精神科看護師と夜職の経験あり。Xのフォロワーは14万人を超え、多くの女性から支持を受けている。著書は『埋まらないよ、そんな男じゃ。』他3冊。原作提供・脚本には『五反田ほいっぷ学園』『愛の炎罪』『今、晒してます』がある。ナレソメノートの編集長。

さてさて、今回の考察の題材は『ラブ トランジット シーズン3』なんですけど……。
実はシーズン1を見た私からすると、ラブトラはちょっとストーリーが若すぎて、今シーズンは見ないでおこうと思っていたんですよ。
それが、あちこちから「見て考察を書いてくれ」って話がきまして……。
理由を聞くと、「とにかく言いたいことがあるから語り合いたい」と。
それも珍しく男性陣ばかりに言われるもんだからちょっと気になって、「飽きたら辞めるか」と温度感低めにしょうがなく見始めたんです。
……で、今、深夜2時。
結局休むことなく全シーズンを夢中になって一気見した私は、はい、見事にブチギレています。
全体的に許せない。

ええか!? ひなことひろきが幸せになれないこんな世の中、終わってるんだよ!!!!!!!!!!

というわけで今回の考察は、それぞれのカップルの良さを語る……とかではなく、徹底的にこのモヤモヤとした感情を吐露することにしました。

最後の章には、今シーズンでキーパーソンとなった「一番近づいてはいけない男」代表、ヒロの話をしています。そこだけ読んでも良いですよ。

ラブ トランジットの仕組みを解説

細かい話をする前に、まずは『ラブ トランジット』という番組そのものについて解説しておきたい。というのも、この番組には他の恋リアにはない独特のルールがあり、それが心をかき乱すフックとなっているのである。

演出がたまらない。ラブ トランジットの「強烈」なルール

【待望のシーズン3はシリーズ史上最も複雑に絡み合う波乱のシーズン】
5組の元恋人同士が再会。互いの“次の恋”を探すために一か月間のホカンス生活を過ごしたらそこで生まれるのは新しい恋か?復縁か?「あなたとの関係を終わらせに来ました」前代未聞の最悪の再会&歴代最強のモテ男出現で女の戦い勃発!
※引用:Amazon Prime Video「ラブ トランジット シーズン3

ラブ トランジットの魅力は、なんといってもその独特な「ルール」にある。
見知らぬ者同士が出会って新しい恋を探すことが多い他の恋リアとの決定的な違いとなるそのルールとは「それぞれが元恋人、“X”を連れて参加すること」。

しかも、誰が誰のXなのかは、終盤まで明かされない。
視聴者も途中までは組み合わせがわからないので、ヤキモキしながら推理するという楽しみ方もできる。

ちなみにラブ トランジットというこの番組、「Xのように見せる」演出が本当に巧みである。
会話の1つ1つや、何かが起きた瞬間の表情、その切り取り方がとにかく秀逸で、序盤は全員が元恋人同士にしか見えない。それでいてその予想は大抵見事に裏切られていくから、毎回そのうまさに「そうくるか!」と勝手に悔しくなってしまうほどである。

加えて、この独特な状況を使って番組側が発生させるイベントがいちいちおしゃれで、そのうえ心をかき乱すものばかり。

例えば毎晩、各メンバーが1人だけに匿名で送れるメッセージ。
誰から届いたのかは明かされず、文面から推測するしかない。
ただし、wもし“X”から送られてきた場合だけは、「Xから選ばれました」という一文が表示される。

この仕組みがまた残酷で、毎晩、自分の“X”がどんな心境なのかを、嫌でも突きつけられることになるのだ。 一方的に未練を残している側からすれば、「今日もXに選ばれなかった」という事実を毎晩受け取るたびに、少しずつ心が削られていくはずだ。

正直どんなメンバーが来ても、このルールと演出だけで大体は面白くなるのではないかと思う。

「元恋人と参加する」ことで、参加者の心が揺さぶられる理由

加えて、「元恋人と参加する」というルールが強烈に参加者の心を揺さぶり、あのドロドロしたドラマを生むなによりの理由は、「それぞれがこの旅に来た理由が違う」という現実である。

“X”、つまり元恋人とやり直したくて誘う人もいれば、関係を清算して新しい恋を探すために来る人もいる。前者からすれば、目の前で意中のXが別の誰かとデートして恋を育んでいく姿なんて、見ていられないほどつらいはず。毎晩突きつけられる「Xから選ばれなかった」という事実と、目の前で見せつけられる他の誰かとの会話。部屋にこもってしまうメンバーがいるのもうなずける。

一方で、「人の気持ちは変わる」という点で、この状況にはメリットもある。
もちろん新しい出会いで前に進む人もいるが、逆にXの良さに気づき、全く可能性のなかったところから、復縁を望むようになる人もいるのだ。

復縁を賭けて参加した人からすれば、この機会はまさに最後のチャンス。その身を削る駆け引きには我々も心を揺さぶられ、見ていてヒリヒリする。

そして番組側の演出がここでもまた憎い。せっかく新しい恋が芽生えかけた頃に、全員が“X”とデートをするというルールを差し込んできたり……。性格の悪いイベントが発生するたびに刻一刻と状況が変わるので、最後の最後まで「このカップルはもう大丈夫」とは言えないのだ。

ラブ トランジット3に参加するメンバーについてのまとめ

さて、では本題の「シーズン3」の話題ににうつろう。
2章では今シーズンの参加者たちについて、実際の元カップルの組み合わせ、それぞれが参加時点で「復縁希望」だったのか「新しい恋希望」だったのか、そして何より、2人がどんな理由で別れに至ったのかまでをまとめる。

ひなこ×ひろき元カップル 涙必須の「いい人止まり」

ひなこ:年齢:28 肩書:会社員(人事)<新しい恋希望>
ひろき:年齢:31 肩書:会社員(アパレル企画職)<新しい恋希望>

この2人が幸せになれない世の中に、世界平和なんて訪れるはずがない。

そう思わせるほど、究極の「良い人」同士。
もともとは会社の同僚として出会い、自然な流れで交際に至ったらしいのだが、とにかく雰囲気が柔らかくて、見ていて心が和む。

2人は別れた理由の核心を語らないものの、「嫌な思い出はひとつもない」「大切な時間だった」「今も一番の親友」と口をそろえる。普段なら「じゃあなんで別れてんだよ、うそをつくな」とツッコミを入れたくなるところだが、この2人に関しては、きっと本当にそうなのだろう。再会の場面から本編を通しても、互いに笑顔で話を聞き、背中を押し合う姿が印象的だった。

そして何より、2人とも人としての完成度が高い。
落ち込んでいる人を見れば自然に声をかけ、率先して洗い物をし、自分の気になる相手の恋ですら応援してしまう。その優しさゆえに、きっとこれまでも損をしてきたのだろうと想像ができる。

実際、ひろきは劇中でひなこにこんな言葉をもらしている。

「みんなに褒められる部分がコンプレックスなんだ。
まわりをよく見ている、みんなにやさしい、気がきく。
そう言われるけど、この3つがそろってないやつがモテるんだ。
普段やらないで、たまにやるようなやつが“ギャップ”でモテる。
みんな“それを持っている人”がいいって言うけど、実際は“好きなタイプの人がそれを持っていてほしい”っていう願望でしかないんだよ」

……この言葉、非常に刺さる。
「良い人止まり」と言われたことのある人間なら、誰しも共感するのではないか。あまりにもリアルな心の声である。

ちなみに2人は「新しい恋を希望」しているが、結局意中の相手にはフラれてしまう。

特にひろきは、開始直後から次の章に登場するユリに惹かれていくのだが、彼女にフラれる理由がまさに自分で「コンプレックス」と語っていた部分だから、また胸が痛い。

「『この人と結婚したら幸せなんだろうな』『不安にならずに穏やかに過ごせるんだろうな』そう思える人がいても、その人に恋愛感情を持てるかどうかは別問題だ」

ユリのこの言葉は、間違いなくひろきに向けられたものだと思う。

「自分が恋愛感情を持つ人は、みんな危なっかしい。楽しいけど感情の起伏が激しくて、自分が穏やかでいられない。次の恋愛には、そんな不安要素はいらないと思う」

そう自己分析していたユリだったが、結局最後には、ひろきを選ぶことはできなかった。
皮肉なことに、彼女が言っていた“不安要素”のない相手こそが、目の前にいたというのに。

そして今シーズンではまさに、「良い人だけど好きにはなれない」「良い人じゃないのに惹かれてしまう」が交錯する。恋愛の理不尽さを、これでもかというほど見せつけられるのだ。

Ps. 後悔するで、ユリ……

ユリ×ゆうや元カップル 笑顔あふれる陽キャたち

ユリ:年齢:29 肩書:バックパッカー<新しい恋希望>
ゆうや:年齢:29 肩書:不動産営業<新しい恋希望>

この2人も、大きな衝突はなく別れた2人。両者共に新しい恋を探してここにきた。
別れた理由もユリが「留学したい」と決めたからで、どちらかが決定的な「やらかし」をしたわけではないため、非常に穏やかである。

……ただし、この2人、とくにユリについては、私は正直かなり心配している。
ユリが本編で恋をしたのは、後半に登場する「ヒロ」。この男がまた、典型的な“ドーパミン発生装置搭載の沼男”である。前述したひろきとの対比で見ても明らかだ。
まっすぐに想いを伝えてくれて、一緒にいて安心できるひろきのことはどうしても好きになれず、結局アプローチするのは、悪いうわさの絶えない、他の女と戯れてばかりのヒロ。

後半、衝撃的な事実を知ってヒロを選ばなかった判断は評価できる。けれど、「ドキドキ」を軸に相手を選ぶその恋愛スタイルは、もうそろそろ卒業しないと危うい。

ちなみにユリは30カ国以上を旅したバックパッカーで、フリーター。旅というのは常に刺激に満ちていて、強烈なドーパミンに支配される。そんな環境を長く好んで生きてきた彼女は、実際過去に自身が選んだX以外の恋人たちにはことごとく浮気をされ、しかもそれを許してきたという。

彼女自身、「これはやばい」と感じた。だから4年前の「まともな恋人」であるユウヤに連絡をとり、この旅に参加したのだとは思う。「旅する人生」を一度落ち着かせ、“結婚”という安定を求める。しかしそんな意思でこの番組に参加したはずが、 結局惹かれるのは、危うくて新鮮味のある男。多くの時間を彼に費やし、結局「まともな男性」とは向き合えなかった。

ユリが結婚を目指すなら、一度人生におけるドーパミン抜きを行わないと、おそらく失敗してしまうだろうな…と、老婆ながらに心配に思ってしまった。22歳とかならね、いいんだけどね…もう、29歳だから……。

Ps. あんたたち、ひろきとひなこを選ばなかったの、多分めっちゃもったいないで

ユリ……このままだとあなたは……ゾンビになってまう

ミク×イッセイ元カップル 毒親疑惑で波乱万丈

ミク:年齢:27 肩書:モデル<新しい恋希望……?>
イッセイ:年齢:26 肩書:格闘家・トレーナー<復縁希望>

「毒親」が原因で別れたこの2人。今回のシーズンで唯一“カップル成立”かつ“復縁”という結果になったが、正直、手放しで喜べない部分が多い。

イッセイは格闘家一家に生まれ、父親がジムの会長で、自身も選手。厳しいトレーニングを課され、20歳まではほとんど家を出られなかったという。
その体育会系で“オスみ”のある見た目とは裏腹に、家庭の中ではかなり支配的な環境で育ったようだ。
そんな中で出会い、恋に落ちたのがミク。お互い惹かれ合い、交際を始めたものの、そこに“親ブロック”が入る。

外出が制限されていたイッセイのため、ミクは彼の実家へ通うようになるが、どうやら親との相性が最悪だったらしい。
イッセイが試合に負けると、「あんな人といるからだ」と言われたり、しかもそれがイッセイのいない時に行われたりと、陰湿なことこの上ない。ミクは徐々に心をすり減らしていくが、イッセイは相談を受けても「どちらの味方でもない」と中立を貫き、最終的には自分から別れを告げた。

本編でも何度も“親”の話が出てくるが、いくら復縁を願い、アプローチを重ねても、ミクがその話題に触れるたびに彼は「今度こそミクさんの味方になる」とは決して言わない。「親とは仲良くしてほしい」「親はそんなつもりじゃなかったと思う」。どれも曖昧で、正直聞いていて腹が立つ。具体的にどう行動するとか、その状況になったらどう解決するとか、なんの具体的な話もない。結局、当時と同じことを繰り返しているようにしか見えなかった。

しかしミクは一時期、例の“ドーパミン男”ヒロに心を動かされるが、最後の最後でイッセイの「結婚したいと思っている」という一言に心が揺れ、復縁を選ぶ。
イッセイは口下手だが、確かにミクへの気持ちは本物だと感じる。他の女性に一切の矢印を向けず、自分からも誰も誘わず、まさに“ミク一筋”。前編を通してそのいちずさは貫かれていた。

しかし、親の問題は根深い。

結婚を見据えるならなおさら、ここまで亀裂の入った両者の「間をとりもつ」なんて簡単にできる話ではない。ただでさえ口下手であるのにもかかわらず、どうしていく気なのか。また、もし本当に、彼のいないところで交際相手であるミクを攻撃していたのだとしたら、それは相当な毒親だ。そこに対して断固として「許さない」と言えない限り、この2人の未来は厳しいだろう。

気になるのは、この番組がオンエアされた後のイッセイの親の反応だ。どうか、はらわたが煮えくり返っていなければいいが……。

しおり×ユウマ元カップル ラブトラ出る前にやることあるやろ

しおり:年齢:32 肩書:俳優<新しい恋希望>
ユウマ:年齢:31 肩書:モデル・俳優<復縁希望>

この2人はもう、本当にしっかりしてほしい。30代とは思えない言動の数々に、見ていて何度も頭を抱えた。特にゆうま、おまえだ。いちいち首を揺らしながら口をすぼめるな。

ラブ トランジット3の幕開けで、最初に投下された爆弾がこの2人の「事件」だった。番組恒例、初日に読む“Xからの紹介文”。皆が長所中心の思い出にひたる「エモい」文章を読み上げる中、しおりがゆうまに送ったメッセージはまさかの宣戦布告「あなたがしたことは許していない」だった。場の空気が一瞬で凍りつき、ゆうまには一瞬で「やばいことをしたらしい人」のレッテルを貼られる。当然、その後ゆうまには誰からも矢印が向かなくなる。そりゃそうだ。

では、実際に何があったのか。
2人は役者同士で、モデルの現場で出会い、ゆうまの告白から交際が始まった。しばらくは本人たちいわく“ラブラブ”だったという。しかしある日、しおりがゆうまの家に遊びに行っていた時、外から女性の怒鳴り声が聞こえた。「ゆうま! ゆうま!」と叫び続けるその声。騒がしさに耐えきれず家に入れると、女性は錯乱状態。問い詰めるしおりに対し、「元カノだ」と説明するゆうま。納得ができずにパニックになって相手の女性に詰め寄るしおりだが、こともあろうことかゆうまはその女の味方をして「そんなに責めなくてもいいじゃないか」としおりをたしなめたらしい。

結果、限界を感じたしおりは、家を飛び出す。当然、追いかけてくるだろうと思った……が、待てど暮らせど、ゆうまは追いかけてこなかった。
結局そのまま自宅に帰るが、連絡もない。

……そしてそのまま、なんと4年がたった。

ゆうまから一切の連絡がないまま、時だけが過ぎる中で、「もしかして自分が浮気相手だったのでは?」という疑念を抱えたまま、しおりは前に進めなかった。

ここまで聞くだけでキレて当然なのだが、問題はどうしてこの番組に出ることになったか、だ。なんとキッカケは、ゆうまからしおりの事務所当てに連絡が入ったことだった。

ある時からゆうまからのすべての連絡先をブロックしていたしおり。そのためゆうまは直接連絡が取れず、事務所を通して“ラブトランジット”のオファーを送ってきたらしい。

……4年ぶりの連絡が恋リアの誘い。
私なら「売名に巻き込むな」と即ブチギレている。だが、当時の出来事を引きずっていたしおりは、けじめをつけるために参加を決めた。

本編序盤では、2人の空気は最悪。しおりは怒りをあらわにして目も合わせず、ゆうまはなよなよと遠回しな会話を繰り返す。年齢を知らないうちはまだ見守る気にもなったが、後半で「30代」と明かされた瞬間からは、イライラが勝った。

ちなみに、あの“事件”の真相についてはゆうまいわく「あの女性は本当に元カノで、ただ鍵を返しに来ただけだった」らしい。では、なぜ追いかけて説明しなかったのかと問うしおりに対して、彼は半ばキレ口調で言い放つ。

「なんで信じてくれないのかわからなかった。ショックだった」
「メンタルが不安定な子にそこまで言う必要ないと思った」
「分かってくれないしおりが悪いと思ってた」

……典型的なクズ男ムーブにしか見えない。
だって「信じてくれなかった」と嘆く前に、“信じてもらう努力”をしていないじゃないか。おまえは家を飛び出した彼女を追いかけもせず、いいわけの連絡すらもしなかった。それも4年間も。どんな事情があったとしても、言葉にも行動にも表さなければ、相手には伝わらない。

ただし、一点だけ言うなら、しおりもかなり気が強くかたくななタイプだ。あの日、彼女の態度も相当だったのだろうし、連絡を完全に遮断した時点で、向き合う道を閉ざしたのは彼女自身でもあるから、どっちもどっちではある。

とはいえ本編後編では、心を閉ざしていたしおりがようやく自分からゆうまに歩み寄り、2人はちゃんと、腹を割って話すことができた。最終的に結ばれることはなかったが、最後のインタビューのしおりの表情はどこかすがすがしかったから、結果良かったのだろう。

何か大きな出来事が起きた時、痛くても苦しくても気まずくても、ちゃんと向き合って整理しなければ後悔は残る。ゆうまに関しては、最後まで自分本位で幼稚だった。 “言わないこと”や“行動しないこと”は、優しさではない。時には、人の心を守るために、波風を立てる勇気が必要なのだと、この2人を見ていて感じた。

みゆう×ヒロ 典型的な「沼らせ男」、これ以上みゆうを泣かせるな

みゆう:年齢:26 肩書:SNSマーケティング<新しい恋希望>
ヒロ:年齢:26 肩書:経営者<復縁希望>

来ました、この2人……というか、ヒロ。ヒロのことは後述するが、このカップルに関しては誰が見ても“絵に描いたようなベストカップル”で間違いない。容姿も雰囲気も抜群で、おそらく当時から「お似合い」と言われ続けていたのだろう。

2人は3年付き合い、同棲期間も長かった。番組内で流れる思い出映像は、まるで音楽PVのように美しく、愛情に満ちていた。だが、そんな美しい2人が別れることになった理由は……ヒロの「浮気」だった。

お互いの帰りが遅く、すれ違う日が続いたある夜、みゆうがヒロのスマホを見てしまう。そこには、別の女性に宛てた「大好き」という文字。つらいのはその一言そのものよりも、それを裏付けるように日々冷たくなりかけていたヒロの態度だった。まさにその頃から、みゆうへの愛情表現は減り、彼女の中で「何かがおかしい」という違和感を覚えていたのだ。そのうえ、「その人が好きなの?」と問うたみゆうへのヒロの答えは、「うん」。否定さえもしなかった。傷ついて当然だ。

浮気が発覚したのは付き合って1年半ほどの時。みゆうは最終的に“許す”という選択をし、交際は続いた。けれど信頼は戻らない。加えてヒロはその後も小さなうそを重ねていた。「女性はいない」と言って出かけた飲み会に女性がいたり、「仕事」と言って実はキャバクラに行っていたことが友人づてに発覚したり。小さなことかもしれない。だけど積み重なった小さな裏切りが、さらに彼女の心をすり減らしていった。やがてみゆうは、ヒロを心の底から信じることができなくなり、別れを選ぶ。

復縁を望んでこの旅に来たヒロと、向き合ってけじめをつけた上で前に進もうとしたみゆう。2人はすれ違い、そのすれ違いの中での出来事で、またみゆうは何度も傷つくことになる。

物語の後編で、ヒロは涙を流し、みゆうへ思いをぶつける。その思いは確かにまっすぐで、おそらくみゆうの心も揺れたはずだ。だが結論として、この2人が元に戻ることはなかった。そして……私はそれで良かったと思っている。

みゆうのように、落ち着きと聡明さ、優しさ、そして芯のある美しさを持つ女性には、必ずもっと誠実で、ちゃんと愛を注いでくれる人が現れるはずだ。どうか彼女が、もう疑わなくていい恋をしてほしいと願う。

【要注意】ヒロという人物像、女性諸君はよーく覚えておけ

さて……各カップルについてをまとめて、これで終了……としても良いところではあるのだが、今回は最後に、どうしてもこの「ヒロ」という人物について語らねばならない。

整えられたひげにセンター分け、白い歯がまぶしい笑顔。ワイルドで「オスみ」のある見た目に、優しく低く落ち着いた声。
決してはしゃがず、トークを回すわけでもないのに、輪の中では確かな存在感を放ち、ここぞという場面でぽつりとつぶやくその一言に、全員の心をつかむ……そういう男、出会ったことはないだろうか。

ちなみにこのタイプ、だいたい良い匂いがして、部屋が無駄におしゃれである。
ハンドソープやルームフレグランスにこだわり、靴とカバンには妙なセンスを持つ。

今回、そのテンプレートを完璧に体現していたのが「ヒロ」だ。

実際、今シーズンでは参加女性全員が一度は彼に惹かれるといういわば“ヒロ無双状態”。
MCの指原莉乃とホラン千秋までが「推し」と公言し、後日行われたインタビューでは、「関わった人全員が好きになる」とまで太鼓判を押していた。

だが、前章で触れたように、ヒロは「浮気」をして元恋人のみゆうを傷つけるような男。このメンバーの中では、明確に事故物件である。そして彼の一番の特徴は、まるで呼吸するように“思わせぶり”な態度を取ること。

彼はいわゆる「自覚なきクズ男」である。
私はこういう男を何人も見てきたし、何度も痛い目を見てきた。
だからこそ、今回はヒロという人間を分析し、警鐘を鳴らしたい。

誤解しないでほしい。私はヒロが嫌いではない。むしろ、好きだ。
ただし「悪意がないからこそ、たちが悪い」のだ。

ヒロがなぜここまでモテるのか。彼はジャニーズ系でも韓国系でもない。タトゥーも入っていて、今どきの“清潔イケメン”とは真逆。万人受けしないように見える、かもしれない。

でも、それがいいのだ。

どこか近寄りがたくて、自分だけが彼の“渋さ”をわかっているような錯覚をくれる。そんな男が、ふとした拍子に見せるくしゃっとした柔らかい笑顔。興味がないかと思ったら告げてくる、ストレートでさりげない褒め言葉。普段はクールなくせに、2人きりになるとなんと優しい。その「隙」を見せられるたび、女性たちはもう抜け出せなくなる。

実際ヒロは、全員に“気を持たせる”発言をしている。

  • ひなこ:「第一印象はひなこだった。デートがひなこでよかった」
  • しおり:「デートで印象がすごく変わった」
  • ユリ:「居心地がいい。誘ってくれてかわいいなと思ったし、自分からも誘うね」
  • ミク:「かわいい。デート服をもっと見たい。自分の矢印はミクに向いている」
  • みゆう:「みゆうと復縁したいと思ってここへ来た」

決定的なことは言わない。「好き」とも「一緒に帰ろう」とも言わない。
それなのに、全員に“脈あり”を感じさせる。

また、皆口を揃えて、「私なんかに興味があるなんて思わなかった」と言うのも、ヒロの業といえるだろう。

実際、基本的にデートも女性側から誘われている。彼から積極的にアプローチして動いているわけでもないのだ。それでも彼の周りには常に人が集まり、思いを募らせ、皆が心を乱されていく。

おそらく、これらすべて彼本人に悪意はない。だからこそ厄介なのだ。

だって、もしこんな男が彼氏だったら? 言い寄ってきた女性に、悪気なく同じような発言をしてしまうとしたら、かなり危険である。

実際、みゆうとの浮気も「言い寄られて断る勇気がなかった」「魔が差した」という理由だった。相手をのめり込ませるキッカケを自ら提供してしまいつつ、それで一歩踏み込んでくる相手を断れない、優柔不断さもあるのだ。

結果、ヒロと関わった女性は皆、情緒が乱れる。嫉妬し、焦り、泣く。
そして自分でも気づかないうちに、心が彼に支配されていく。

「楽しいけど、感情の起伏があって自分が穏やかになれない」
そうユリが語っていたが、まさに全員が同じ状態だったのではないかと思う。

みゆうに「復縁したい」と言いながら、デートをすっぽかしてミクを誘い、「一番だ」と告げる。2人はギクシャクし、涙を流す。

復縁したいとか、気になっているとか言いながら、具体的な未来の話は、誰にも、何ひとつしない。出てくるのは曖昧な相槌と、ちょうどいい距離感だけ。

繰り返すが、どう考えてもヒロは“事故物件”だ。しかし、その危うい雰囲気がたまらなく魅力的で、誰もが惹かれてしまうというのも事実なのである。

スタジオで、指原とホラン千秋が話していた内容に首がもげるほど同意する。

「20代のころは、ヒロのような男に惹かれる。安心や安定、信頼に価値があるって気づくのは30を過ぎてから」
「次は結婚かな、と思うタイミングでヒロみたいな男に出会うのは危険すぎる」
「結局、“やっぱりヒロじゃないかも”と思う頃には、もうユウヤ(自分を思ってくれるいちずな相手)は結婚してるんだよ」

前半でひろきが言った「良い人ほどモテない」という言葉が、ここで再び突き刺さる。

「みんなに褒められる部分がコンプレックスなんだ。
まわりをよく見てる、みんなにやさしい、気がきく。
そう言われるけど、この3つが揃ってないやつがモテるんだ。
普段やらないで、たまにやるようなやつが“ギャップ”でモテる。
みんな“それを持ってる人”がいいって言うけど、実際は“好きなタイプの人がそれを持っていてほしい”っていう願望でしかないんだよ」

「やさしい」と褒められるひろきも、「いい男」と言われるいっせいも、結局誰からも選ばれず。代わりに、“危険な香り”のするヒロに全員が惹かれていく。皮肉だ。

だけど、多くの場合ヒロのような男性は、恋愛において皆が求める「自分が安定できる良い人」ではない。残念ながら。

特に結婚を考えるなら、「一緒にいる時は幸せでも、離れている時に不安になる男」だけは避けた方がいい。その代表格が、間違いなくヒロなのである。

今回は番組という特殊な環境だから、女性たちは踏みとどまることができた。

自分以外に言い寄っている姿も目に入るし、情報も入ってくるし、ネタバラシもある。
だが現実では、この“ブレーキ”が存在しない。みんな「自分だけが特別」だと信じて、会って、惹かれて、傷ついていく。それが、かつてのみゆうだったのだ。

どうか、いつもヒロのような男に惹かれてしまう女性たちに伝えたい。

あの手のタイプの男が、最もモテるし、大抵はチャラいのである。

あなたがまだ若くて、その瞬間を楽しみたいだけなら、ヒロを選んでもいい。でももし、あなたが私と同じアラサーで、そろそろ将来を見据えた恋愛を考えているのなら……ヒロは選ぶでない。

ちゃんとした相手を選べそうにない……。いつも結局はヒロのような相手を選んでしまう……。そんな女性は、この記事もあわせて読んでほしい。

【まとめ】

ラブ トランジット3、正直そこまで期待していなかったけれど……結局めちゃくちゃ楽しんで見てしまった。今回は結果うんぬんより、「ヒロ」という人物に翻弄されたな、と思う。

それにしても恋愛って、本当に「いい人」ばかりが損をする構造になっているんだなと、見終わってちょっと絶望した。特に男性。評価されるべき人ほど雑に扱われて、報われない。ほんま、なんなん。

まあ、若い頃の私なら間違いなくヒロに翻弄されていたので、人のことは言えないんですけど……恋愛って、ほんとうに難しい。我々はいつも、“好きになりたい人”を好きになれない、ですよね。ひろきと向き合ったら幸せになれるのに、ヒロとのデート服を選ぶことに時間を費やしてしまう。

でもこれらって結局、「じゃあ、付き合った先にどうなりたいの?」って視点が、性欲で止まってしまっているからおこることだと思うのだ。

例えば明日デートする相手を選ぶとなれば、やはりヒロが魅力的かもしれない。しかし家族になって、子どもを作って、一緒に育てていく相手……となると、思い浮かぶ相手が変わらないだろうか?

目線を少し未来に。そうすれば、正しい相手を選ぶ目が養えるかもしれない。

それからね、それでもやっぱり「いい人」には幸せになってほしい。だから、ひろきやひなこみたいな人たちにはぜひ我々が運営する結婚相談所、ナレソメ予備校に来てほしいな。

「真面目な人」や「優しい人」がきちんと評価される場所は、恋リアでもマッチングアプリでもない。結婚を本気で見据えた“婚活のフィールド”、とくに結婚相談所なのだ。

きみたちはここにくると、驚くほどモテる。逆にヒロは、一気に見向きをされなくなる可能性すらある。恋愛のステージでは不器用だった人ほど、婚活のステージでは最強になる。

そう思うと、ちょっとは希望があるかもしれないね。

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執筆者 yuzuka
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