男女で愛情表現の頻度や大きさが異なるってホント!?

ちまたで、まことしやかにささやかれる“恋愛雑学”や“テクニック”。「それって本当に正しいの?」「ただの思い込みじゃない?」と気になったことはありませんか?

この企画では、そんな恋愛にまつわるうわさや通説を、ナレソメ予備校恋愛心理学者・山崎独自の視点と科学的なデータをもとに徹底考察し、解説します。

▼今回のテーマはこちら
男性は大きな愛情表現1回を定期的にしたい、女性はささいな愛情表現をこまめにしてほしいってホント!?

「付き合う前の彼はあんなにマメだったのに、最近は愛情表現が減った気がする」
「記念日に高価なプレゼントをあげたのに、彼女は何で不機嫌なの?」

カップルや夫婦の間で絶えないこうしたすれ違いは、本当にこの説のとおり「男女による愛情表現の違い」からきているのでしょうか? 山崎がエビデンスをもとに語ります。

【考察サマリー】コレってホントですか!?

今回のテーマである男女の愛情表現に対する違いについて、私は「おおむね妥当である」と分析します。

  • 男性の傾向:大きなイベント(誕生日やクリスマス)で豪華なプレゼントやディナーなど、「点」での大きな愛情表現をしたがる。
  • 女性の傾向:日々の「好きだよ」「ありがとう」「かわいいね」といった、「線」で続く細やかな愛情表現を求める。

なぜ女性は「マメさ」を求めるのか?

女性が「マメさ」を求めるのには、「親になる準備(親性準備性)」という生物学的な側面が関係していると考えられます。

子育ては、年に1度の豪華なイベントでは成り立ちません。1日に何度もオムツを替え、泣けばあやし、寄り添い続ける「継続的なケア」が必要です。

また、子どもの愛着形成においては、「1年に1回クリスマスに10万円のおもちゃを買ってもらえる」より、小さな愛情表現である「日常的な会話」が重要です。そのため女性は本能的に、パートナーに対して「この人は日々の細やかなケア(愛着形成)ができる人か?」をチェックしているのではないか、という考察です。

実際に、子どもがいる夫婦においては「人生で重要な人物」として子どもを選択する割合が男女で異なります。女性は65.0%が子ども、27.1%が配偶者を選択するのに対し、男性は53.2%が配偶者、43.2%が子どもを選択(※1)女性のほうが「親としての役割を遂行しようとする意識」が高いといえます。

(※1)参考:福島 朋子・沼山 博(2018)中年期における子どもの有無と夫婦関係―主観的幸福感との関係から―

すなわち、女性が愛情表現を男性に求めるのは、今後の人生において大切な存在となる子どもに「適切に関われる人であってほしい」という側面があるといえます。

夫の努力は妻の満足度に響くが、妻の努力は夫に響かない!?

では、別の観点でも考えてみましょう。

「夫婦の愛着傾向および対人ストレスコーピングが関係満足度に及ぼす影響(2023)」の研究データからも、愛情表現に関する男女の傾向の違いを裏付ける興味深い事実が明らかになっています。

結論から言うと、この研究では「夫が積極的関係維持に努めれば妻の満足度は上がるが、妻が積極的関係維持に努めるかどうかは夫の満足度に影響しない(※2)」ということが示唆されています。

積極的関係維持の行動とは、具体的に「話し合いに応じる」「自分から課題を見つけて提案をする」という行動を指します。

例えば、妻の「子育てのために、一緒にこのセミナー受けに行こう」というスタンスが強くても、夫の関係満足度には影響しません。反対に、夫が「育児に備えてこのセミナーどうかな?」と話を持ちかけた場合は、妻の関係満足度が上がるというのです。

  • 夫の関係維持スタンス → 妻の関係満足度強い相関がある
    • 夫が「積極的に関係を維持しよう」というスタンスだと、妻の関係満足度は上がる。
    • 夫が「積極的に関係を維持しよう」というスタンスでないと、妻の関係満足度は下がる。
  • 妻の関係維持スタンス → 夫の関係満足度相関がない
    • 妻がどのように関わってこようが、夫の関係満足度にはほとんど影響しない。

(※2)参考:Duong Cam Tu・松田 幸弘(2023)夫婦の愛着傾向および対人ストレスコーピングが関係満足度に及ぼす影響

関係維持の行動は、普段やってもらったことを認めて「ありがとう」と伝える承認行動とは別です。夫は、妻の日常的な関係維持のスタンスには影響を受けませんが、「ありがとう」は言ってほしい。自分がやったことを承認してほしいという気持ちはあるのです。

また、男性は結婚した時点で「妻がいる」という事実だけで満足しており、妻からの働きかけによって満足度が大きく上下することは少ない傾向にあります。

対して女性の満足度は、「夫が自分(家庭)に向き合ってくれているか」に大きく依存しています。

「釣った魚に餌をやらない」男性心理の正体

ここまでの内容を踏まえて、男性心理も見ていきましょう。

男性は「親になる準備」の意識が女性に比べて希薄になりがちです。これは、生物学的な理由が背景にあると考えられます。男性は、女性のように自分のおなかを痛めて出産しません。それゆえに、子どもに対する「自分の一部である」という感覚が女性より薄くなる傾向にあります。

また、上述したように、男性には自分がやったことを承認してほしいという欲求があります。自分の価値を行動で示し、それを女性に認めてほしいのです。そのため「俺の価値を示すには、高価なものをドカンと渡すのが1番だ」という思考になりやすく、ここに女性との大きなすれ違いが生じやすいです。

さらに言えば、よくある「釣った魚に餌をやらない(付き合ってから/結婚してから、愛情表現が減る)」現象。これも積極的関係維持の理論で考えると、男性側に「冷たくしよう」という悪意はないことが分かります。

男性は自分が釣られた後、「餌をもらわなくても欲しいときに自分で取りに行く」というスタンスになります。関係維持においては、「彼女から細やかに毎日何かを与えてもらわなくても大丈夫」と考えるのです。自分が大丈夫だから、同じように彼女も大丈夫だと思ってしまう。「釣った魚に餌をやらない」には、そのような男性心理が反映されています。

その結果、「細かい関係維持のスタンスを見せてほしい」という女性のニーズとのギャップが生じ、すれ違ってしまうのです。

すれ違いを乗り越えるための解決策

では、どうすればこのギャップを埋め、良好なパートナーシップを築けるのでしょうか? おすすめの方法をご紹介します。

男女共通のアドバイス:「こうしてほしい」を伝え、自己決定をする

愛情表現の大きさや頻度がパートナーと異なる場合、「相性が悪い」と諦めてしまう人もいるのではないでしょうか?

しかし大事なのは、「『相性が悪い』で片付けず、『自己決定』によって関係を築くこと」です。つまり、愛情表現の大きさや頻度の「一致」ではなく、「相手が求める愛の形」を知り、実践することを目指すのです。

上述したとおり、個人差はあれど、そもそも男女でニーズが異なるため、一致を目指すのは難易度が高いです。そのため、一致しているかどうかより、「関係を構築するうえで、ちゃんと自分のことを理解して歩み寄ろうとしてくれているか」という視点で考えるほうが重要です。

また、愛情表現の定義は人によって異なります。「何をするのが正解」というのはありません。「どんな形が愛だと思っているのか」を理解し合うことで、お互いに歩み寄ることが大切だといえます。

確認するタイミングは、「この人と一緒になる(結婚する)」と決めたとき。幸福度は、相性よりも「自己決定感(自分で決めたかどうか)」に大きく左右されます。自分がこの人と結婚すると決めたのであれば、「この人を愛するためにできることを拾いに行く」というスタンスがベストです。

例えば、「自分は言葉にするのが苦手だが、パートナーは言葉を求めている」という場合は「苦手だからやらない」ではなく、「苦手だけれども、『大切なパートナーのためにやる』と自分で決める」こと。これが「自己決定」です。

つまり、その人を大切にするために自分がやることを決める「自己決定」が関係構築のカギになります。

※画像はイメージです

男性へのアドバイス:言葉にし、一緒にいることを心がける

「口下手だから恥ずかしい」「マメに愛情表現をするキャラじゃない」という男性も多いですが、女性が求めているのは突然の高価なプレゼントよりも「日々の安心感」です。

男性が心がけるべきポイントは「共行動(共同行動)」と「言語表現」。共行動は「夫婦2人でやる行動」のことです。特に、中年期以降(育児が落ち着いてきた頃)になると、妻は「夫婦で一緒に何かやるだけで満足度が上がりやすい」傾向があります(※1)。日常の小さな愛情表現、すなわち「毎日自分を気にかけてくれている」「自分と一緒に時間を過ごしてくれている」という夫側の意識が見えることが大事なのです。

そのため、マメになるのが苦手であれば、「とにかく一緒にいること」を心がけるのがおすすめです。

また、言語表現は「言葉にして気持ちを伝える」「感謝を伝える」「ささいな出来事を話す」などです。パートナーからすると「何を考えているのかが分からない」が1番のストレスになります。そのため、「好き」や「愛してる」だけではなく、「今日こんなことがあって楽しかったんだよね」という雑談でもいいので、言葉を使ってコミュニケーションをとることを意識することが大切です。

  • 「ありがとう」「好きだよ」「助かったよ」などと気持ちを言葉にして伝える。
  • 雑談する時間を作る(例:夜ごはんを一緒に食べるときに「今日こんなことがあって……」と雑談する。今日の出来事と、自分の感情をセットで話す(パートナーに関係のない出来事でもOK!)。
  • 1人で行動する時間を減らし、夫婦で一緒にいる時間を増やす。言葉にするのが苦手でも、一緒に行動することで女性の満足度が上がる。

また、日常的に行動を共にし、会話を増やすことで、おのずとパートナーが欲しがっているものが分かるようになります。パートナーのことを知る機会を増やすことで、相手が欲しがっていないプレゼントを突然贈ってがっかりさせてしまう……なんてミスもなくなります。

※画像はイメージです

女性へのアドバイス:傷つけることを恐れず、彼を「ヒーロー」にする伝え方を

察してほしいと黙り込んだり、「なんでやってくれないの!?」と怒ったりするのはやめましょう。

  • 「やってもらって当たり前」ではなく、ささいなことにも「ありがとう」を伝える
  • やってほしいことを具体的かつポジティブに伝える

例えば、彼からのプレゼントがほしいものではなかった場合も、伝え方1つで今後の彼の行動が変わります。

  • NG:「え、これ、欲しいものじゃないんだけど……」(否定)
  • OK:「えっ! ありがとう! うれしい! 次は○○(本当に欲しいもの)だったらもっとうれしいな!」(感謝・肯定・提案)

このように「プレゼントを選んでくれるという行動自体はうれしい」「あなたのおかげで喜べた」という感謝の気持ちを伝え、「次に私がもっと喜ぶのはこういうものです」とさりげなくヒントを出す。そうすることで男性のヒーロー願望が満たされ、「よし、次はもっと喜ばせよう」と思い、さらに彼女を喜ばせるような行動を選択してくれるようになります。

「次はこういうものがうれしい」と伝えたときに、「あ、違ったんだ。これじゃなかったんだ……」と一瞬へこむ男性もいるかもしれません。でも、ここで「傷つけないこと」は不可能です。自分がしてほしいことや本音を伝えるときに、相手を傷つけずに察してもらおうというのは「善人ぶっている」ともいえます。

前提として、「傷つけないように伝えなきゃ」や「プライドを守ってあげなきゃ」という考え方自体が、「善人であるべきだ」というバイアスが強いから生まれるものなのです。

夫婦は対等な関係だから、ダメなものはダメと言い、うれしいときはうれしいと言うべきです。多少傷つけるリスクはあっても伝えたらいい。「相手にネガティブ感情を一切抱かせずに、相手の行動を100%変える」という魔法はありません。傷つけたくないから伝えないと我慢するのは、「相手と関係構築しようと思っていない」「向き合っていない」という、自分自身が向き合うべき課題になります。

もちろん、人格否定はNGです。「そのセンス、マジでないわ!」などと傷つけるのはよくないですが、「行動」に対する要望であればOKです。

※画像はイメージです

【まとめ】男女の違いを前提に、歩み寄りの一歩を

今回のテーマ、「男性は大きな愛情表現1回を定期的にしたい、女性はささいな愛情表現をこまめにしてほしい」という説は、男女で異なるニーズや関係満足度のデータから見ても「おおむね妥当である」という結論になりました。

「相性が悪い」と嘆く前に、まずは「こうしてほしい」を伝え合い、自己決定をするという前提に立ちましょう。お互いが歩み寄ることで、パートナーシップが劇的に改善する可能性があります。

ナレソメ総研

ナレソメ総研
執筆者 ナレソメ総研
続きを読む