夫婦の満足度は「出会い方」でこんなに違う! 554名のアンケート調査から見えた関係性のリアル

パートナーとの出会い方には、学校や職場、コミュニティ、紹介、マッチングアプリなど、様々なものがあります。「高校生の時から付き合っていたパートナーとの結婚」や「職場恋愛からの寿退社」などの話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
ただ、パートナーとの出会い方と夫婦の関係満足度の関係について考える機会はあまりないと思います。その関係性に特化した調査や解説も多くはありません。
そこで本記事では、既婚者の男女を対象に行った「出会い方と夫婦関係満足度」に関するアンケート結果を紹介します。出会い方だけでなく、婚姻期間によっても異なる結果がでていますので、ぜひ最後までお付き合いください。
出会い方と夫婦関係の満足度は関連している?
既婚者554名を対象に、パートナーとの出会い方と、夫婦の関係満足度(7点満点)について質問しました。婚姻期間(1年未満・1〜5年未満・5年以上)ごとに、その実態について明らかにしていきます。
婚姻期間が1年未満の場合、夫婦関係満足度が最も高い出会い方は「習い事・サークル」低いのは「学校」

婚姻期間が1年未満の夫婦関係満足度の中央値は「6.37」でした。中央値に最も近い出会い方は「友人の紹介(6.40)」です。
夫婦関係満足度が最も高い出会い方は「習い事・サークル(6.50)」となっています。次いで「結婚相談所(6.49)」で出会った場合も、わずか0.01差で、関係満足度は高いことがわかります。
中央値を下回るのは、「職場・仕事関係(6.33)」、次に「マッチングアプリ(6.24)」の、そして最も満足度が低いのが「学校(6.11)」という結果になりました。
1年未満で期間が短いこともあり、出会い別の夫婦関係満足度にそこまで大差はありませんが、比較的満足度が高い出会い方は「習い事・サークル」と「結婚相談所」、満足度が低い出会い方は「学校」と「マッチングアプリ」であることがわかりました。
婚姻期間が1〜5年未満の場合、満足度が最も高い出会い方は同じく「習い事・サークル」低いのは「アプリ」

婚姻期間が1-5年未満の場合、夫婦関係満足度の中央値は「6.54」でした。中央値に最も近い出会い方は、「学校(6.48)」と「結婚相談所(6.59)」です。
最も夫婦関係満足度が高い出会い方は、「習い事・サークル(6.83)」で、婚姻期間が1年未満の場合と同じ結果になりました。次いで満足度が高いのが「友人の紹介(6.67)」です。
最も夫婦関係満足度が低い出会い方は、「マッチングアプリ(6.35)」、次が「職場・仕事関係(6.41)」です。
婚姻期間が1年未満の夫婦関係満足度と同じく、「習い事・サークル」で出会った方の夫婦関係満足度が最も高くなっています。一方で、「マッチングアプリ」で出会った場合の夫婦関係満足度は、婚姻期間によらず低い傾向にあると言えそうです。
婚姻期間5年以上の場合、満足度が最も高い出会い方は「結婚相談所」低いのは「学校」

婚姻期間が5年以上の場合、夫婦関係満足度の中央値は「5.87」です。中央値に最も近い出会い方は、「職場(6.00)」と「習い事・サークル(5.73)」です。
最も夫婦関係満足度が高い出会い方は「結婚相談所(6.80)」であることがわかりました。次に高いのが「マッチングアプリ(6.14)」で、婚姻期間1年未満と1〜5年未満の結果とは、対照的な結果になっています。
逆に、最も夫婦関係満足度が低い出会い方は「学校(5.55)」で、トップの結婚相談所とは1.25もの差がついています。次に低いのが「友人の紹介(5.62)」、「習い事・サークル(5.73)」で、いずれも6を下回っています。
婚姻期間ごとの中央値を比べると、1年未満(6.37)、1〜5年未満(6.54)、5年以上(5.87)となっており、1〜5年未満のタイミングが、最も夫婦関係に満足している傾向にあることがわかります。
出会い方で変わる、夫婦の関係満足度
出会い別では以下のことが読み取れます。
- 学校:婚姻期間1〜5年未満の場合、満足度は中央値付近(6.48)であるが、1年未満か5年以上の場合は、夫婦関係満足度は最も低いか2番目に低い。
- 職場・仕事関係:婚姻期間1年未満、1〜5年未満共に、夫婦関係満足度は中央値を下回っている。5年以上の場合も、満足度は中央値付近に留まっている。
- 習い事・サークル:婚姻期間1年未満、1〜5年未満共に、夫婦関係満足度が最も高い。ただ、5年以上になると中央値まで満足度が下がっている。
- マッチングアプリ:婚姻期間1年未満、1〜5年未満共に夫婦関係満足度が低いが、5年以上になると、「結婚相談所」に次ぐ2番目に満足度が高い。
- 結婚相談所:婚姻期間1〜5年未満では夫婦関係満足度が中央値付近だったが、婚姻期間1年未満、5年以上では満足度が最も高いか2番目に高い。
- 友人の紹介:婚姻期間が1年未満のときは中央値、1〜5年未満では2番目に満足度が高く、5年以上では2番目に満足度が低い。
このことから、平均して夫婦関係満足度が高い出会い方は「習い事・サークル」と「結婚相談所」ということが言えます。婚姻期間が5年未満の場合は「習い事・サークル」の出会い方の方が満足度が高い傾向にありますが、5年以上になると「結婚相談所」の方が満足度がぐっと高まるようです。
反対に、「学校」や「職場・仕事関係」は平均して夫婦関係満足度が低い傾向にあります。「マッチングアプリ」や「友人の紹介」の出会い方での夫婦関係満足度には、バラつきがあると言えそうです。
何十年も関係を続けていく結婚においては、婚姻期間5年以上のグラフで最も夫婦関係満足度が高かった「結婚相談所」が理想的な出会い方と言えるかもしれません。
結婚相談所は結婚相手を見つけるために特化したサービスであり、婚姻前に認識のすり合わせができるため、どのフェーズでも高い夫婦関係満足度を維持できると言っていいでしょう。
【所長・山崎の考察】満足度に差が生じる2つの理由

本調査では、出会い方及び婚姻期間が夫婦関係満足度とどのように関連するかを分析しました。その結果、出会い方によって、婚姻期間の経過に伴う夫婦関係満足度の推移に違いが見られ、特に婚姻期間1〜5年未満と5年以上の群で差が認められました。
出会い方別に見ると、職場や友人関係といったコミュニティが出会いのきっかけとなった夫婦は、婚姻期間が長くなるにつれて関係満足度が低下する傾向が顕著でした。この背景として、まず夫婦関係満足度は、一緒にいる期間が長くなるにつれて右肩下がりに推移する一般的傾向が指摘されています(例:渡辺、2020)。コミュニティでの出会いは、他の出会い方に比べて交際期間が長くなる傾向があるため、この満足度の自然な低下がより著しく現れた可能性があります。
さらにこの現象は、心理学における「セットポイント仮説」によっても説明できるかもしれません。これは、個人の幸福感には基準点(セットポイント)があり、当初は非常に幸福と感じる出来事(この文脈では結婚生活)も、時間と共にその状態が新たな基準となり、主観的な満足度が当初の高いレベルから落ち着いていくという考え方です。
つまり、コミュニティでの出会いから長い交際期間を経て結婚した夫婦の満足度低下は、関係性の悪化を直接意味するのではなく、幸福な状態への「慣れ」が生じている可能性も示唆されます。
一方で、結婚相談所のように当初から結婚を明確に見据えた出会い方をした夫婦は、関係満足度が長期的に高く維持されやすい傾向が示されました。この違いはどこから生まれるのでしょうか。
夫婦関係と恋人関係の決定的な違いは、家族としての共同生活の有無です。例えば、日常的な家事の分担、買い物や外食の頻度、金銭感覚、さらには寝室を同室にするか否かといった、日々の細やかな選択の積み重ねが夫婦関係満足度に影響を与えることが報告されています(伊藤・相良、2009)。
結婚相談所での出会いは、交際段階から結婚後の生活について具体的なイメージを共有し、価値観のすり合わせを行う機会が意図的に設けられやすいです。それに対し、恋愛期間が長かったコミュニティでの出会いの場合、恋人関係の延長線上で夫婦関係に移行し、こうした「生活者」としてのすり合わせが曖昧なまま共同生活がスタートするケースも少なくないでしょう。
以上のことから、恋愛関係から夫婦関係へと移行するタイミングで、将来の共同生活を見据えた現実的な対話とすり合わせが十分に行われたかどうかが、出会い方にかかわらず、長期的な夫婦関係の満足度を維持するための重要な鍵であると考えられます。
引用:伊藤裕子・相良順子(2009)中高年期の夫婦関係満足度を規定する要因―世代比較を中心に― 日本心理学会第73回大会
<出典記入方法>
「婚姻歴に関する調査2024(ナレソメ総研調べ)」及び、本記事URLを必ず明記してください。
<調査方法>
インターネットによるアンケート調査
<調査期間>
2024年9月21日(土)〜2024年10月31日(木)
<調査対象>
全国の18歳以上の既婚男女
<回収サンプル数>
678名。うち有効回答554名を対象に分析。