『セフレと恋人の境界線』を恋愛エッセイストが徹底考察。MC陣インタビューから分かる、この番組のおもしろさ【前編】

この記事を執筆した人▶︎yuzuka
恋愛エッセイスト・脚本家として活動。元精神科看護師と夜職の経験あり。Xのフォロワーは14万人を超え、多くの女性から支持を受けている。著書は『埋まらないよ、そんな男じゃ。』他3冊。原作提供・脚本には『五反田ほいっぷ学園』『愛の炎罪』『今、晒してます』がある。ナレソメノートの編集長。
『セフレと恋人の境界線』
Prime Videoで独占配信中の、なんともド直球なタイトルの“恋愛考察番組”。

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タイトルを目にした瞬間から「絶対に見るしかない」と思っていたのだけれど、実際に試写会の案内をくださった担当者さんからも「タイトルを見た瞬間にyuzukaさんしか浮かばなかった」と言っていただけた。これはもうお墨付きだ。
今回の番組は、〈曖昧な恋愛関係に悩む人たちの実話を基にした短編映画3本〉を観ながら、“恋人とセフレの境界線”という誰もが口にしづらいテーマについて、スタジオMC4人が忖度なしの赤裸々トークを繰り広げる、まさに「恋愛考察バラエティ」、らしい。
ナレソメノートでは、これまで恋愛バラエティやドラマ、アニメの考察をやってきた。
が、「恋愛考察番組」の考察というジャンルは初めて。そもそもこうした番組自体がかなり珍しい。
今回の記事では、番組全体の紹介に加え、本編に登場する短編映画それぞれを、恋愛エッセイストとしての視点から感想・考察をまとめた。
さらに記事【後編】では、編集長yuzukaによるMC陣全員への単独インタビューも掲載。
豪華MC陣が語る番組の魅力から、「曖昧な関係に悩む女性」へのメッセージまで、たっぷりとお届けする。

『セフレと恋人の境界線』
――結論から言えば、クソおもしろい。最高に酒が進む番組だ。
見ようかどうか迷っている人、あるいは見終わった後にもう1つ考察を加えたい人向けに、ギリギリネタバレなしでまとめた。
この記事を読めば、番組がもっと楽しめるはずだ。
『セフレと恋人の境界線』の魅力1 MC陣が豪華すぎる
この番組を語る上で外せないのが、MC陣の豪華さ、そして「ちょうどよさ」である。
まずは恋愛ご意見番として幅広い世代から信頼を集めるYOUさん。
私も大ファンで、「YOUさんがいる」というだけで番組に高評価をつけがちだ。
そのゆるっとした表情や声から放たれる、辛辣でストレートなコメント。YOUさんが言えば、多少キツイことでも「ぐふっ」と笑ってしまう。恋愛番組にはまさに最適なキャラクターだ。YOUさんが出演している時点で、ほぼ当たり確定である。

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次に「ラランド」のサーヤさん。
芸人・歌手・社長とマルチに活躍し、歯に衣着せぬコメントで男女問わず共感を集める。なぜだかわからないけれど、昔からの親友のような錯覚を抱かせる不思議な親近感がある。「この世で私のことをいちばん理解しているのはサーヤなのでは?」と思ってしまうほどの距離感。
そのオーラの正体は謎だが、とにかく「サーヤとわちゃわちゃ言いながら曖昧な関係をテーマにした映画を観る」……想像するだけで楽しすぎる。

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そして俳優・千葉雄大さん。
正直「なぜこのテーマを受けてくれた!?」と驚かずにはいられない。誰もが知る人気俳優であり、甘いマスクを持ちながらコメディもシリアスも自在にこなす実力派。それでいてバラエティでは辛口で的を射たコメントを放ち、人気を博している。
そんな千葉さんが「セフレ」について語るなんて、どう考えても最高に気になる。

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最後にまとめ役として登場するのが「令和ロマン」の髙比良くるまさん。
M-1史上初の連覇を果たした、才能と努力を兼ね備えた芸人。しゃべっているだけで笑いが生まれるし、眉毛が動いただけでもおもしろい。
しかも自他ともに認める“恋リア好き”で、今回も鋭い観察眼を生かして他のMCとは一味違う切り口で番組を盛り上げているというから、もう完璧。

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いやいや、どう考えても最高の布陣だろう。
千葉雄大が「セフレ」について語り、YOUさんが茶々を入れ、そこにくるまとサーヤの掛け合いまで加わる。想像するだけで酒が進む。
実際に本編を見た私は、気づけば冷蔵庫から酎ハイを取り出していた。
酒のアテになるバラエティ番組が、いちばんいいんです。最高なのです。

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『セフレと恋人の境界線』の魅力2 短編映画が本格的すぎる
さて、この番組で特筆すべきはMC陣の豪華さだけではない。実際に鑑賞する「短編映画」そのものも、ちゃんと本格的である。
さすがは今泉力哉監督(『愛がなんだ』『ちひろさん』)や、カンヌ国際映画祭で注目を集めた山中瑶子監督(『ナミビアの砂漠』)による作品。そこもしっかり実力派で固めてきていることに、制作側の熱意を感じる。
リアルな人間模様に「このセリフ、言われたことがある」「このシーン、胃が痛い……」と、何度も記憶をえぐられる。
企画・演出の芦田太郎氏のX ←やっぱりめっちゃこだわっていた

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結局、どれだけMC陣の掛け合いがおもしろくても、肝心の映像作品がありきたりな“エモ”だと一気に冷めてしまう。
もしかするとこの記事を読んでいるあなたは「はいはい、恋愛考察系ね。エモっぽい雰囲気だけで、結局何が言いたいのかわからない映画でしょ?」なんて冷めた見方をしているかもしれない。
そういう人にこそ見てほしい。大丈夫、この映画は“ガチ”だから。
そもそも、ここで上映される3つの短編映画は全て実話をベースに作られている。だからこそ登場人物もセリフも、びっくりするほどリアル。
これまで恋愛をそこそこ経験してきた人なら、必ず誰かに感情移入できると思う。
「こういう男、マジでこういうセリフ言うよな」「うわ、こういう女ほんまに関わっちゃダメ」「なんやねんこの人!」と、恋愛でよくあるムキーッとしたりイライラしたりする感覚が、映画を通して押し寄せてくる。
「こんな男に引っかかるな!」とツッコミつつ、MC陣が同じ反応をしていて安心したのもつかの間――「あれ、自分も昔は同じセリフを言われて一喜一憂してたな……」と過去を思い出して急に恥ずかしくなったりもする。
詳しくは後述するが、とにかく「現実的」すぎておもしろい。人の恋バナをさかなに酒が進む感覚そのままを、映像で味わっているような臨場感だ。
さらにおもしろいのは、上映後に監督自身が登場し、演出意図を解説してくれるところ。「あのセリフってそういう意味?」「あの態度、そんな捉え方もあるの?」と、新しい発見がおかわりで訪れる。結果、また酒が止まらなくなる仕掛けが満載なのだ。

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『セフレと恋人の境界線』短編映画の感想・考察
さて、ここからは番組のメインとなる「短編映画」3本について、私なりの感想と考察をまとめていく。
多少のネタバレは含むが、結末には触れていないので安心してほしい。
番組を見ようか迷っている人も、この記事を読み終える頃にはきっと「見たい……」と、鮭トバと酎ハイを買いにいきたくなるはずだ。
第1作目『恋人になれたら』あらすじ解説・感想考察

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出ました、王道セフレストーリー。
初っ端から全国の「曖昧な関係」に悩む女性たちに共感性羞恥を巻き起こしまくるであろう1作目、『恋人になれたら』(監督:山中瑶子/脚本:今泉かおり・今泉力哉)。
【あらすじ】
主人公の田辺徒子(演:中田青渚)は、偶然出会ったウェブデザイナーの松山聡(演:金子大地)に魅かれ始め、何度目かのデートの日に終電を逃したことで一夜を共に…。聡からはいつになっても「付き合おう」という言葉は出てこず、意を決した徒子がある日「私たちって、どういう関係?」と聞くと、二人の関係は予想外の展開を見せる――
プレス資料より

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いつもの女子会でお酒を楽しんでいた徒子。ふと、割り勘をするための現金が手元にないことに気づき、1人席を外して近くのコンビニATMへお金を下ろしに行ったのが事の発端。近くにコンビニが見当たらずに行き当たりばったりで歩いた結果、帰り道がわからなくなり、迷ってしまうことになる。「このお店かも?」と思った場所は見当違い。そこで出会った聡が、途方に暮れている徒子に声を掛け、お店を一緒に探してくれる……というのが2人の関係の始まりだ。
気づきましたか? もうすでにあかんのである。
そもそもバーやバルで働くイケメンはだいたいチャラい。ついでに特に実績がないウェブデザイナーも怪しい。
ほんでもって、Google マップでもなんでもあるこのハイテクな世の中で、勤務中の仕事をほっぽりだして「一緒に探す」というアナログな手段に出る時点で、これはもうほぼ前戯、セックスへの既定ルートである。私に言わせれば、このときから始まっている。
タイトル通り、2人は“曖昧な関係”に進んでいくわけだが、この流れがとにかくリアルでズルい。
「お礼を言うためにインスタを探す」
「見つけたアカウントをくまなくチェックして女の影や性格を分析」
――心当たりないですか? やったことありますよね? 女性なら絶対に。
「お笑い番組」を口実に相手の家に転がり込むのも昔から変わらない。かつては“千と千尋”を理由に転がり込んだり転がり込まれたり。あるあるすぎて笑うしかない。
そしてなにより聡、転がりこんだ先でも最高に最悪なんですよ。
「終電、どうしよっかな。ダッシュしたら間に合うけど……俺、ダッシュしたほうがいい?」
この、最後の決定を女に委ねる感じ。ああ! ある! リアルすぎて胃がキリキリする。
もちろん徒子はダッシュをさせず、一緒にいる選択肢を取ってしまう。
スタジオトークでも言われていたけれど、正解は「走らせる」だ。
でも……できない。頭でわかっていても、理性が言うことを聞かない。だって……一緒にいたいよね。
結局ズルズルとセフレ化してしまう2人だが、徒子が友達に「でもセックスしない日もあるし」「彼、かわいいの」と、相手からのLINEを全てさらしながら必死に言い訳するシーンも超リアルだった。
「セフレじゃない理由を説明し始めたら終わり」というサーヤさんのコメントが刺さりまくる。

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極めつきに、最も「うっ」と来たのは、徒子が聡に「私たちって、どういう関係?」と聞くシーン。大焦りの聡が絞り出した答えは「なかよし……」。
はあ!? なかよし!? なんやねんそれ、ほんまにふざけるな!
私は徒子ではないのに、彼のいい加減さにめちゃくちゃガッカリした気持ちになってしまった。だけど、あった。私にも、こういう時期。
こういう男性、本当に腐るほどいるし……こういう相談もしょっちゅう来る。
でも結局「付き合う」という、ものすごくシンプルな契約すら渋る男は、その相手に大して本気ではないよね、って私は思います。
……とはいえ、この物語は意外な結末を迎えるので、それも込みでぜひ見てほしい。
スタジオではくるまさんが意外なコメントをしていて、違った視点が得られるのもおもしろいポイント。
特に徒子と同じ境遇にある女の子は、映画を通して自分の恋愛を投影しながら、スタジオトークでのコメントを「自分へのマジレス」として浴びることができれば、少しだけ答えが見えてくるかもしれない。
第2作目『結婚学入門』あらすじ解説・感想考察

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続いては2作目の『結婚学入門』(監督:今泉力哉/脚本:今泉かおり・今泉力哉)。これも刺さった。
【あらすじ】
人気雑誌の編集長として働く38歳の池上紗南(演:中村ゆり)は、恋愛よりも仕事や自分の時間を優先し、寂しさは気楽な関係のセフレ・金子達也(演:前原滉)で解消…という充実した日々を送っていた。ある日紗南は、地元の結婚式で人気者の同級生だった竹林圭太(演:永岡佑)と再会。2人は結婚前提の交際を始めるが、長年の一人暮らしで築き上げてきた自分のルーティーンが徐々に崩れていくことにストレスを感じてしまう…飾らず自然体で何でも話せるセフレと、優しくて真面目な“理想的な”彼氏。正反対の2人の間で揺れ動く紗南が下す決断とは?
プレス資料より
主人公は恋愛よりも仕事を優先し、自分磨きと旅行を生きがいにしている雑誌編集長・池上紗南。
1作目に「ちょっと若すぎる……」と共感しきれなかったバリキャリのアラサー女性層は、この物語にぐっと引き込まれると思う。

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紗南というキャラクターは、現代アラサーのバリキャリをあまりに忠実に再現している。
公開前イベントで中村ゆりさん自身も「生活をのぞかれていたのかと思うくらい、自分と重なる部分があった」とコメントしていたのが印象的だった。
紗南の日常にはきっちりとしたルーティンがある。
朝はヨーグルトに冷凍フルーツを入れて食べ、仕事に行き、ピラティスに通う。友人との時間も大切にするけれど、自分のペースは崩さない。整った冷蔵庫の中身、徹底したグルテンフリー生活――「ああ、いるいる、こういう人」と思わずうなずいてしまうリアリティだ。
そんな紗南は、いつもどこか仮面を被っている。
仕事中は頼れる編集長として振る舞い、女友達の前でも場を立て、決して強く自己主張しない。強いようでいて、一歩引いて聞き役に回る印象がある。
そんな紗南にも男性の影はある。それがセフレの達也だ。おそらく同じ職場の同僚。スタジオ全員が「いい!」と口をそろえたほど自然体で、たまらなく居心地がいい存在。

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事実、達也と一緒にいるときの紗南は、悪態もつけば適当な態度も取れる。達也も無理に気を遣わない。
「Uber頼むけど餃子食べる?」「小麦粉じゃん」「中身だけ食べて」
こんな会話ににじむ居心地のよさは、2人がなにも諦めていないから。意見を投げ合って、間を取る。それが自然にできている。
セックスが終わっても自然体。紗南の愚痴を聞きながら、さっとブラジャーをたたむ達也。それを気にしない紗南。無理のない関係性がそこにある。
ちなみに達也を演じる前原滉さん。偶然にも昔、小劇場で何度か見たことがあるのだが、あの頃から独特の雰囲気をまとっていて非常に魅力的。
害がなさそうなのに妖艶で、「一家に一台欲しい」と思わせる存在感がある。

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もちろん達也には結婚願望がない。だからこそ、こんなセフレがいたら結婚は遠のくよな……と納得してしまう。紗南も縛られず、それでいて安定するこの関係に心地よさを感じている。
とはいえ、女子会メンバーはみんな既婚者。ある日言われた言葉が胸に刺さる。
「今は1人でもいいかもしれないけど、年齢を重ねて、みんなとの人間関係もなくなって……寂しいよ?」。
仕事に打ち込み、心地よい生活を築いてきた紗南にも、確かに突き刺さる一言だ。
そんなときに現れるのが、高校時代の同級生・圭太。人気者同士だった2人。大人のデートを重ね、やがて恋人同士に。

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圭太は優しく誠実で、料理も得意で紗南に尽くす。
お似合い――確かにそうだ。けれど彼と相性が良いのは、あくまで取り繕った“戦闘モードの紗南”だ。
紗南自身も、取り繕い続けることで少しずつ疲れていく。
毎日凝った夕飯を作ってくれる圭太に応えようと、洗い物や朝ごはんを頑張るうちにルーティンが崩れ、冷蔵庫には自分では買わない食材が並ぶ。
グルテンフリー生活も言い出せず、作られたパスタを無理やり口にして「おいしい」と笑う。実際は「小麦粉だ……」と嫌気が差すが、言えない。そして圭太は気づかない。
そうして2人の関係には少しずつ、少しずつ亀裂が入っていく。
圭太というキャラクターに決定的な悪いところはない。浮気をするわけでもなく、関係を曖昧にすることもない。むしろ結婚に向けて誠実に紗南と向き合っている。
それでも、発言の端々が「しんどい」。
洗い物をしていると「さっさと済ませて、あっちで映画でも見よう」と消えていく。
朝ごはんの褒め方も「出汁がきいてておいしいね」と、なんとなくうざい。
ビタミンサプリを飲んでいたら「体に悪そう。栄養あるもの作ってるんだからやめたら?」と悪気なくクソバイス。
悪気はなくても、絶妙にめんどくさい。なにより紗南が「めんどくさい」と言えないことが罪深い。そうなると2人はもう向き合えない。

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とはいえ、紗南も30代後半。
そのままの自分でいられるけれど曖昧な達也。
完璧で誠実、結婚を視野に入れてくれる圭太。
どちらを選ぶのか、意見が分かれそうだ。
私としては、どちらも選ばないのが正解だと思う。
ただ、もし紗南に相談されたら「とにかく達也は手放したほうがいい」とアドバイスするだろう。
達也は確かに居心地が良くて、一見最高の男に見える。
けれどこの手の男は、ある日のセックスの後に突然「実は彼女できて、今度結婚するんだよね」と、悪気なく告げてくるタイプだ。恐ろしい。
数年にわたって居心地の良さに甘え「このままでいいかも」と思えていたとしても、その「このまま」はあなたの意思では続かない。
突然、なんの前触れもなく、男だけが幸せになって去っていく。残された側が絶望しても、そのときにはもう遅い。
だから紗南状態の人へ。悪いことは言わない、今すぐナレソメ予備校に来てください。
めんどくさくない、達也味のある圭太的な男性を紹介します。
第3作目『特別な人』あらすじ解説・感想考察

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最後の物語、3作目『特別な人』(監督・脚本:今泉力哉)。
これは最初の2作とは違ったベクトルで強烈だった。
【あらすじ】
川端智子(演:山下美月)は、久々に再会した大学時代の後輩の藤原一樹(演:芳村宗治郎)と“セックスもする友達”という関係に…。藤原は、彼氏がいる川端からの「別れるかも」「プロポーズされるかも」などの発言に振り回されるが、川端にとって藤原は彼氏に言えないようなこともすべて本音で話せる“特別な人”。そんな関係を甘んじて受け入れていた藤原だが、その関係性も次第に変わり始め、物語は驚きのラストを迎える――
プレス資料より
これはもう、川端がやばいに尽きる。
男全員が惚れるであろうヘルシーな美貌。高嶺の花のオーラをまといながら、絶妙にゆるくてノリが良い。恋愛慣れしていない一樹からすれば、川端は未知の存在だ。彼氏がいるのに家に来るし、距離が近い。
そりゃあ、あんなかわいい先輩と「いけそう」な状況になったら……男の子ならドキドキしちゃうよね。

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一樹は川端に好意を持ってしまうのだが、川端は彼氏だけでなく他のゆきずりの男とのセックスも報告してくる。
つらくなった一樹が「それなら自分でいいじゃん」と素直な気持ちを吐露すると――出ました、このセリフ。
「じゃあ、キスだけしてみる?」
こんなん言われたらもう、男子全員、人生がめちゃくちゃになることをわかってても飛びついちゃうでしょうが。
川端にとって一樹は心地よい存在。自分に好意を寄せてくれるピュアな年下男子。好意は欲しいし、そこにうれしさや気持ちよさはある。でも、本命にするほど気持ちは傾いていない。
結局2人は「セックスもする友達」、つまりセフレでありつつも、お互いを特別視する存在になっていくのだが……。

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正直、女から見れば、川端ほどやばい女は一目でわかる。
なのに男はどうしてこういうクラッシャー的女子に引っかかるのか? とあきれつつ、結局は「かわいさ」にコロッとほだされるんだよな、と。
そういうリアルさも含め、全作品の中でいちばん“あるある”に感じた。
男子諸君、この手の女性に安易に触れちゃいけません。ほんまにトゲがあり、痛い目を見ます。
ちなみに結末は「え……」と声が出たので、ぜひ観て確かめてほしい。
まとめ:『セフレと恋人の境界線』は、曖昧な関係に悩む男女に自分を客観視させるための教育番組
曖昧な関係をテーマにした恋愛考察番組『セフレと恋人の境界線』。
企画・演出は『あざとくて何が悪いの?』を手掛けた芦田太郎さん。
彼がXで語っていた「全国の居酒屋で何度も盛り上がってきたこの普遍的な悩みは、エンタメにしたときにこそ需要がある」という言葉が、この番組を象徴している。
「セフレ」という言葉だけ聞くと強烈で下品に思えるかもしれない。けれど実際は、その“曖昧な関係”は誰もが身近で経験したり、周りで観測したりするごく一般的で普遍的な悩みの種だ。
私自身、恋愛作家として毎日のように届く相談の中で最も多いのが、この「曖昧な関係」に関するものである。
ただし、悩む人が多い一方で、実際にアドバイスをしても響きづらいのがこの問題のやっかいなところ。恋に盲目な時期は、どうしても自分に都合のいい言葉しか耳に入らない。
だからこそ『セフレと恋人の境界線』は、そんな人の心にも届くのではないかと思った。
短編ドラマとして自分の状況を客観的に見せられ、その上でスタジオトークを通して「一般的にどう見られるか」を突きつけられる。
この構図はまさに「人のふり見て我がふり直せ」。じわじわ効いてきて、自分の状況を振り返るきっかけになるはずだ。
そう考えるとこの番組は、究極の“酒のアテ番組”であると同時に、NHK顔負けの教育番組でもある。
『セフレと恋人の境界線』。
今、悩んでいる人も、かつて悩んでいた人も。どの視点から見ても楽しめるので、ぜひ酒を片手にご覧いただきたい。
それから……今まさに「曖昧な関係」である相手とこの番組を見れば、結婚したいときのゼクシィ以上の衝撃を食らわせられるかも……。
さて、【後編】では、この番組を通してMC陣が実際に何を感じたのかをインタビューしてきた。特に「曖昧な関係」に悩んでいるあなたには、ぜひ続けて読んでほしい。
Writer/yuzuka
Photo/akira(集合写真)、番組画像は公式提供
「曖昧な関係」を終わらせ、1年以内に結婚したい方はこちらの記事へ。
▼作品概要
┃タイトル:『セフレと恋人の境界線』
┃配信日:9月3日(水)
┃話数:全7話 (本編4話+短編映画のみ3話)
┃出演:YOU 髙比良くるま(令和ロマン) サーヤ(ラランド) 千葉雄大
┃ 中田青渚 金子大地 (「恋人になれたら」)
┃ 中村ゆり 永岡佑 前原滉 (「結婚学入門」)
┃ 山下美月 芳村宗治郎 (「特別な人」)
┃監督:今泉力哉 山中瑶子
┃脚本:今泉かおり 今泉力哉
┃コピーライト:©2025 Amazon Content Services LLC or its Affiliates.
┃番組公式#:#セフ恋、 #恋のギリギリ語っちゃえ