結婚相談所の「婚前交渉禁止」のルールの影響は!? データで見る、出会い方と夫婦の性行為の関係

「結婚相談所は婚前交渉が禁止されていることが多いから、結婚後の夜の生活がうまくいかないのでは……」

出会い方の1つとして結婚相談所が存在感を高めつつある一方で、このような不安の声を耳にすることがあります。出会い方が夫婦の性生活に影響を与えるというのは、本当なのでしょうか。

結論から言うと、データを見る限り、出会い方と性行為の頻度に大きな関係があるとは言えません。今回は、入籍前と結婚後の両方のデータを用いて、この問題を深く掘り下げます。

データで見る、結婚後のリアルな性行為の頻度

ナレソメ総研では、18歳以上の男女を対象にインターネットでアンケート調査を実施しました。

まずは、一般的な夫婦が結婚後にどのくらいの頻度で性行為を行っているのか、データを見てみましょう。

調査によると、夫婦の性行為の頻度で最も多い回答は「週1日」で26.4%でした。しかし、「隔週1日(15.9%)」「月1日(14.8%)」「それ未満(22.0%)」を合計すると52.7%となり、過半数の夫婦が性行為の頻度が月2回以下であることがわかります。

出会い方で結婚後の性行為頻度は変わるのか?

入籍前に婚前交渉が禁止されている結婚相談所。これにより、結婚後の性行為の頻度にどのような影響を与えるのでしょうか。

そこで、結婚相談所で出会ったカップルと、そうでないカップルで性行為の頻度を比較。さらに婚姻期間別でも比べてみます。

結婚1年未満の夫婦の場合

結婚してから1年未満の夫婦では、最もボリュームの大きい「週1日」と回答した割合が、結婚相談所で出会った夫婦で35.1%、それ以外で出会った夫婦で36.1%と、ほぼ同じ数値になりました。

結婚1年〜2年未満の夫婦の場合

結婚1年〜2年の夫婦のデータを見ても、その傾向は変わりません。「週1日」と「隔週1日」を合わせた割合を見てみると、結婚相談所で出会った夫婦が54.5%、それ以外で出会った夫婦が60.0%となり、両者に顕著な差はありませんでした。

出会い方は関係ない。性の悩みは夫婦共通の課題

今回の調査を踏まえて、以下の2点が明らかになりました。

  • 結婚後の性行為頻度は、結婚相談所で出会った夫婦も、それ以外で出会った夫婦も、大きな差は見られない
  • 「婚前交渉が禁止されている結婚相談所で出会っても、入籍後の性生活には大きな影響はない。

性行為の頻度という観点からみて、夫婦間の性の悩みは出会い方によって変わるわけではない、と言えそうです。

【所長・山崎の考察】セックスレスの一因は「コミュニケーション不足」にあり

本調査では、出会い方の違いが夫婦の性行為に与える影響の1つを検討したものです。

性行為の頻度という観点でみると、結婚相談所の「婚前交渉禁止」ルールが与える影響は確認されませんでした。言い換えれば、夫婦のセックスレスの原因は出会い方やそれに付随する制約から生まれるものではなく、別の要因が影響していると考えられます。

セックスレスの一因は、夫婦のコミュニケーションや家庭環境であるとされています。NHK(2002)は、配偶者または恋人と同居する20〜40代において、セックスレスのカップルはそうでないカップルより、セックスで行う行為数が少なく、セックスに関する会話が少ない傾向を報告しています。性行為が単調なものであること、そして日常的に性行為に関するコミュニケーションをとらないことが、セックスレスの要因として考えられます。

以上より、セックスレスの要因は出会い方ではなく、パートナーとの交流の中に潜んでいると考えるのが妥当でしょう。

引用文献:『データブックNHK日本人の性行動・性意識』(NHK日本人の性プロジェクト、NHK出版)

<調査方法>
インターネットによるアンケート調査
<調査期間>
2025年7月13日(日)〜2025年7月20日(日)
<調査対象>
全国の18歳以上の男女
<回収サンプル数>
578名。うち、社会人で出会った恋人が「いる・いた」とした432名の回答を分析。

ナレソメ総研
執筆者 ナレソメ総研
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