「昔は遊んでたけど今は落ち着いた」ってホント!?

ちまたで、まことしやかにささやかれる“恋愛雑学”や“テクニック”。「それって本当に正しいの?」「ただの思い込みじゃない?」と気になったことはありませんか?

この企画では、そんな恋愛にまつわるうわさや通説を、ナレソメ予備校恋愛心理学者・山崎独自の視点と科学的なデータをもとに徹底考察し、解説します。

恋愛心理学者・山崎
富山県出身。筑波大学卒業。在学中から「恋愛心理学」を研究し、特に遠距離恋愛や関係継続、自己肯定感の分野を得意とする。認定心理士・メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種を保持し、恋愛を起点としたQOL向上のノウハウを武器に、教育機関や企業の人事領域で講演・相談支援を行うなど幅広く活動。自身も2度の遠距離恋愛や婚約・婚約破棄を経験し、その学びを生かして年上シングルマザーとの年の差婚を果たす。現在は幸せな結婚生活を送りながら、恋愛心理学の知見を社会に還元し続けている。
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「昔は遊んでたけど今は落ち着いた」ってホント!?

恋愛や婚活の場で、こんなアピールをしてくるお相手に出会ったことはありませんか?
「昔は結構遊んでたけど、もう遊び尽くしたから今は落ち着いてるよ」

これを聞いて、「いろいろ経験したうえで自分を選んでくれたんだな」「もう遊ばないなら安心かも」と思ってしまう方、ちょっと待ってください!

「遊び尽くしたから落ち着く」説は果たして本当なのか?「もう落ち着いたよ」と言う人の心理とは? 恋愛心理学者・山崎がエビデンスをもとに語ります。

【考察サマリー】「遊び尽くしたから落ち着く」はウソ

今回のテーマである、遊び尽くしたから落ち着くという説について、私は「うそ」だと分析します。

理由は、ナレソメ総研の調査で、過去の交際人数(=異性と関わってきた数)が多い人ほど、交際中の浮気経験率・結婚後の不倫経験率ともに圧倒的に高いことがわかっているからです(※1)

※1 男性218名<内婚姻歴あり100名>、女性1394名<内婚姻歴あり708名>の計1612名を対象としたオンラインアンケート(2024年)。浮気経験率は回答者が未婚時、不倫経験率は回答者が既婚時のデータ。また、この調査では浮気・不倫の定義は本人の主観による。

交際人数1〜2人の群と7人以上の群を比較すると、その差は一目瞭然です。

  • 浮気経験率:男性:約16倍、女性:約6倍
  • 不倫経験率:男性:約7倍、女性:約5倍

一方で、「若い頃に遊んでこなかった人のほうが、結婚してから反動で爆発するから危険!」という説もよく聞かれますが、これもデータ上で明確に否定されています。

前述の通り、交際人数1〜2人の不倫経験率は圧倒的に低いです。
また、遊んでこなかった人はそもそも遊び方を知らないため、結婚というハイリスクな状況になってから急に不倫デビューするハードルが非常に高いと考えられます。

もちろん、遊んできた人の中にも年齢を重ねて体力が落ちることで落ち着く人はいるでしょう。
実際に、交際人数が多い女性の場合、データ上でも「不倫経験率は浮気経験率より低い」など、ある程度の落ち着きは見られます。しかし、それでも「もともと交際経験が少ない人」と比較すると、不倫する確率は圧倒的に高いのが現実です。

したがって、遊び尽くしたから落ち着くという説はうそであり、むしろ過去に遊んでいた人ほど結婚後も不倫リスクが高いと言えます。

「遊びたい」という好奇心を満たし切ることはない

「遊びたいという好奇心を満たし切ったから、もう遊ばない」という状態になることは、基本的にないと考えられます。

人間は「心地よい刺激(楽しさ)」を得ると、それを求めるルーティン(条件反射)を作ってしまう生き物だからです。
心理学で有名な「パブロフの犬(ベルの音を聞くと餌を期待してよだれが出る現象)」と同じように、過去に飲み会や合コンで出会いを経て遊んできた人は、飲み会のチャンスがあるだけでワクワクしてしまうでしょう。

さらに厄介なのが、これが脳の「報酬系」による依存的な学習と深く結びついている点です。 楽しいことを期待したときに快感物質(ドーパミン)を分泌する脳のシステムが、過去の遊び経験によって強力に強化されているため、遊びの誘因に対する反応が人一倍強くなり、結果として浮気に走る確率が跳ね上がってしまう可能性があるのです。

恐ろしいことに、報酬系が強化された脳は「より強い刺激」を求めるようになります。
結婚後などの遊んではいけない状況下では、その背徳感自体が新たな強い刺激となり、リスクを冒してでも快感を求めてしまう非常に性質の悪いループに陥ることもあります。

つまり、遊びに対する執着がなくなるどころか、遊びの楽しさを知っている分、簡単に遊びの場へ戻ってしまうのです。それゆえに、「遊び尽くしたから落ち着く」という言葉は、過去の行動を正当化するための都合のいい言い訳に過ぎないと言えるでしょう。

※画像はイメージです

結婚・子どもの誕生で根本的な「遊び癖」は治らない

「今は遊んでいても、結婚して子どもが生まれれば落ち着いてくれるはず」という期待は、残念ながら現実的ではありません。

なぜなら、人間の性格は生育環境などで形成される部分が多く、大人になってから劇的に変化することはあまりないとされているからです。

結婚や出産といったライフステージの変化によって「用心深くなる」などの行動変化は見られますが、性格そのものに与える影響は、イメージとしてせいぜい2割程度です。

そのため、子どもが生まれて不倫のリスクが多少減ることはあっても、性格の根幹が変わるわけではないため、遊び癖は相対的に高いままなのです。

さらに、研究によると、特に第一子誕生後の男性は「外向的な人はより外向的に、内向的な人はより内向的になる」という両極端な変化を見せることもあると言われています(※2)
つまり、もともと外向的で遊んでいた男性は、子どもが生まれることでさらに外に意識が向きやすくなり、不倫リスクが下がるどころか高まるケースすらあるのです。

そのため、結婚や出産・第一子誕生というライフイベントを魔法のように捉え、「変わってくれるはず」と過度な期待を寄せるのは危険と言えます。
厳しいようですが、根本的な遊び癖は治らないという前提に立ち、しっかりと向き合っていく必要があります。

※2 出典:Bleidorn, W., Hopwood, C. J., & Lucas, R. E. (2018)「Life events and personality trait  change. Journal of Personality, 86(1), 83–96.」

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「今はもう落ち着いた」アピールは浮気の予防線

「昔は遊んでいたけれど、今はもう落ち着いたよ」というアピールは、実は全く落ち着いていない証拠であり、単なる「浮気の予防線」に過ぎません。これを「過去を正直に話してくれるなんて、私を信頼して自己開示してくれているんだ!」とポジティブに捉えるのは危険です。

なぜなら、本当にあなたと真剣に付き合おうと考えているのであれば、わざわざ自らのマイナスイメージにつながりかねない「過去の遊び」について語る必要がないからです。
この発言の裏には、「もし今後浮気してしまっても、そういう人間だから許してね」という身勝手な言い訳が隠れています。

真の誠実さは、「言葉」よりも、実際の「行動」や「環境」に現れるもの。
本当に落ち着いた人は、口先だけの決意で済ませず、物理的な環境や行動を変えています。
例えば、「スマホにある異性の連絡先を全て消す」「新しい異性との出会いの場になりうる交友関係や機会から距離を置く」といった、環境レベルで物理的に遊べない状況を自ら作っているかどうか。
こうした具体的な行動や環境の変化が伴わない「もう落ち着いた」アピールは、単なる「免罪符の事前発行」に過ぎないということを肝に銘じておきましょう。

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元遊び人と結婚するなら「リスク管理を徹底する」覚悟を決める

では、元遊び人、あるいは現役の人と結婚するのは絶対にやめるべきなのでしょうか?

結論から言うと、「結婚すれば人は変わる」と相手に期待しているなら、やめたほうがいいでしょう。
過去の遊びで得た楽しさの記憶や、不倫につながりやすい性格特性は、結婚したからといって簡単に消えるものではありません。「自由にしていても裏切らないはず」と相手の自己管理に任せたら、遊んできた人はすぐに元の遊びの場へと戻ってしまうものと思っておいたほうがよいぐらいです。

それでも結婚したいのであれば、前提を変える必要があります。
相手に変化を期待するのではなく、あなた自身が「リスク管理を徹底する」覚悟をすることです。

実際、結婚後に関係が不安定になりやすいタイミングはいくつも思い浮かびます。

  • 妊娠・出産で余裕がなくなる時期
  • 里帰り出産や実家への帰省、単身赴任で物理的に距離が離れる期間
  • 仕事や子育てで夫婦の時間が減る局面

こうした隙間に、不倫のリスクは入り込みます。
重要なのは「この人は過去の行動傾向として不倫リスクが高い」という事実から目を背けないこと。その上で、ずっとリスク管理が必要でも結婚したいのかを冷静に判断してください。

覚悟を決めたなら「どのような関係性であれば安心して一緒にいられるか」「どんな条件やルールが最低限必要か」を具体的に決め、相手と合意するのが次のステップです。
特に重要なのは「ここから先は不倫とみなす」というNGラインを明確にし、ペナルティを事前に設定しておくことです。

<ペナルティの例>

  • 無断で異性と2人きりで飲みに行ったら、家計管理を「お小遣い制」に移行し、行動の透明性を高める(帰宅報告など)
  • 隠れて異性と連絡を取っていたら、翌月からお小遣いを減額し、連絡履歴を開示する(スマホのパスコード共有など)
  • 事前相談なしに男女混合のグループで宿泊したら、重大な信頼毀損とみなし離婚協議を開始する

これらのルールは相手を縛るためではなく、「裏切らない環境を設計するための合意」です。言った言わないのトラブルを防ぐためにも、メッセージアプリの履歴や書面などでしっかり形に残しておきましょう。
「もし破ったらこれだけの代償を払うことになる」というリスクを事前に突きつけておくことが、最大の抑止力になります。

交渉の結果、相手がルールに納得し、受け入れてくれたのであれば、結婚へと進むのも1つの選択です。
相手が自然と変わることを期待するのではなく、自らが環境を作り、パートナーの不倫を防ぐための労力や責任を背負うと決めた、立派な「自己決定」だからです。

しかし、もしルールを提示した際に、相手から「ルールがあると窮屈だ」「きつすぎる」と反発され、あなたが「確かにそうだよね」と受け入れてしまう(妥協してしまう)ようであれば、結婚はやめておいたほうがいいでしょう。

遊び人にとっての「窮屈さ」とは、不倫のチャンスを奪われることへの抵抗感にほかなりません。厳しいようですが、そこであなたが妥協してしまうなら、将来的に不倫を許容するのと同義であり、高確率で裏切られる結果を招くからです。

相手に運命を委ねるのではなく、自分自身の意志で覚悟を決めて選ぶこと。
その覚悟こそが、幸せな結婚生活を守るためのカギとなります。

※画像はイメージです

まとめ:納得感のある幸せをつかむための「自己決定」を

遊び尽くしたから落ち着くということは、基本的にはないと考えましょう。

相手の「今はもう落ち着いた」という言葉をうのみにせず、過去の行動や現在の環境を冷静に見て判断することが大切です。

結婚や出産・第一子誕生は、相手を変える魔法ではありません。
リスクを理解したうえで自分がどうしたいのか、覚悟を決め、自己決定していくことが幸せな結婚への第一歩です。

ナレソメ総研

山崎先生、コレってホントですか!?

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