連絡の頻度と愛情の深さは関係ないってホント!?

ちまたで、まことしやかにささやかれる“恋愛雑学”や“テクニック”。「それって本当に正しいの?」「ただの思い込みじゃない?」と気になったことはありませんか?

この企画では、そんな恋愛にまつわるうわさや通説を、ナレソメ予備校の恋愛心理学者・山崎独自の視点と科学的なデータをもとに徹底考察し、解説します。

恋愛心理学者・山崎
富山県出身。筑波大学卒業。在学中から「恋愛心理学」を研究し、特に遠距離恋愛や関係継続、自己肯定感の分野を得意とする。認定心理士・メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種を保持し、恋愛を起点としたQOL向上のノウハウを武器に、教育機関や企業の人事領域で講演・相談支援を行うなど幅広く活動。自身も2度の遠距離恋愛や婚約・婚約破棄を経験し、その学びを生かして年上シングルマザーとの年の差婚を果たす。現在は幸せな結婚生活を送りながら、恋愛心理学の知見を社会に還元し続けている。
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連絡の頻度と愛情の深さは関係ないってホント!?

「付き合い始めはあんなに連絡を取り合っていたのに、最近は返信が遅い……」
「連絡の頻度が減ったのは、自分への愛情が冷めたから?」

そんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。

本当に、連絡の頻度と愛情の深さは関係ないのか? 恋愛心理学者・山崎がエビデンスをもとに語ります。

【考察サマリー】連絡の頻度と愛情の深さは関係ない

今回のテーマである、「連絡の頻度と愛情の深さは関係ない」という説について、私は「本当」と分析します。

まず前提として、世の中のラブラブなカップルが皆、連絡をたくさん取っているかというとそういうわけではないからです。
相手のことをどれほど好きであったとしても、もともとの性格や価値観から、連絡という行為そのものを重要視していないタイプの人もいます。

また、多くのカップルがLINEのトークで連絡を取り、愛を深めようとしますが、そもそもテキストコミュニケーションは愛情表現にあまり適していないツールなのです。

現代のコミュニケーションメディアは主に3つに分けられます。

  1. テキストベース:LINE・SNSのDM・メールなど
  2. オーディオベース:LINEの音声通話・SNSの音声通話・電話など
  3. ビデオベース:ビデオ通話・Zoomなど

研究データによれば、愛情表現や情緒的サポート(心のケア)に適しているのはオーディオとビデオのみ(※1)。どれだけLINEの文面やスタンプを工夫しても、テキストだけでは本質的な愛情は伝わりにくいのです。

毎日の「おはよう」「おやすみ」をLINEで送るよりも、週に1回、30分だけでも夕食中にビデオ通話をするほうが愛情表現や情緒的サポートにつながります。

結論として、ただでさえ愛情を伝える手段としては充分ではないLINEのトーク、ましてやその連絡頻度そのものを愛情を測る指標にするのは妥当ではありません。
※1 出典:Yin, Lijuan(2009)「Communication Channels, Social Support and Satisfaction in Long Distance Romantic Relationships」

※画像はイメージです

「返信が早い=愛がある」ではない。心理的負債感のワナ

多くの人が「返信が早い=自分に関心がある」と考えがちですが、結論として、返信の早さが必ずしも幸せや愛情の深さに直結するわけではありません

心理学の研究では、相手からの返信が早いことは「ありがたい」というポジティブな感情よりも、「うわ、また返さなきゃ」という心理的負債感を生むことがわかっています(※2)
心理的負債感とは、相手から受けた好意や恩恵に対して「自分も同様に返さなければならない」という返報義務を負担に感じる状態のこと。
特に関係が安定してくると、頻繁な連絡は喜びよりも義務としての重荷になりやすく、それが積み重なると最終的に「めんどくさい」という感情につながりやすいのです。

したがって、返信の早さを愛情のバロメーターにするのは危険と言えます。
※2 出典:村上幸史(2023)「返信は早い方が良いのか?―携帯メールやLINEにおける「互酬性仮説」の検証」

※画像はイメージです

関係が安定すると連絡が減るのは「家族」に近づいた証拠

「付き合い始めた頃は頻繁に連絡を取っていたのに、だんだん減ってきた」と悩む人は多いでしょう。

しかし、交際初期よりも連絡が落ち着くのは愛情が冷めたからではなく、2人の関係が安定し、深い信頼関係が築けたポジティブな変化と言えます。

また、人は恋をすると一時的に「外向性(社交性)」が高まりますが、関係が長期化したり結婚したりすると、本来の性格(内向性)に戻っていく傾向(※3)があります。
※3 出典:Bleidorn, W., Hopwood, C. J., & Lucas, R. E. (2018). Life events and personality trait change. Journal of Personality, 86(1), 83–96.

例えば、一緒に暮らす家族と毎日「おはよう」「おやすみ」とLINEし合う人はまれですよね。それは、いちいちテキストコミュニケーションで確認しなくても、つながっているという安心感があるからです。

パートナーがあなたに対してそのような「家族のような安心感」を抱き始めているからこそ、素の自分でいられるようになり、連絡頻度が落ち着いてきたのだと考えられます。

ここで誤解してほしくないのは、連絡をまめに取り合えるのは、本来とてもすてきなことであり、相手を大切に思っている証拠であるということです。
私自身、連絡はまめに取りたいと感じるほうなので、連絡が減ってくるのを寂しく感じる気持ちもよくわかります。

ただ、もし付き合いが長くなっても「過剰に」まめな連絡を必要としている場合、それは純粋な愛情というよりも、以下のような心理が根底にあるケースもあります。

  • 見捨てられ不安による確認作業:相手の関心が自分から逸れるのを極端に恐れ、「返信が来る=まだ嫌われていない」という安否確認をせずにはいられない心理状態。
  • 執着・支配欲・優位性欲求:愛情ではなく「執着」の一種。相手の時間を奪い、コントロール下に置くことで自分の優位性や安心感を得ようとするエゴに近い感情。
  • ルーティン化された義務感:純粋なコミュニケーションを楽しむよりも、「連絡を絶やすと関係が壊れる」という強迫観念や義務感で動いている。

相手への愛情表現であると同時に、自分自身の不安を解消するための行動(コスト)になってしまっている人も、中にはいるのです。

したがって、連絡が減ることは愛情の減退ではなく、むしろお互いが気を遣わずに済む家族のような深い信頼関係が築けた証拠です。連絡の頻度に一喜一憂せず、目の前にある安定した関係を大切に育んでいきましょう。

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なぜ返信を待つ側はモヤモヤしてしまうのか?

仕事中かもしれない、忙しいのかもしれない、と頭でわかっていても、「なんで返信くれないの!?」とモヤモヤする方も多いはず。実は、待っている側がストレスを感じてしまうのには心理学的な裏付けがあります。

結論から言うと、返信を待っている側のストレスの正体は「返報性の期待が裏切られたことによる不快感」と「ネガティブな意味付け」です。

人間には「何かをしたら同じ分だけ返してほしい」という「返報性」の心理があります(※2)。

自分が早く返信するという「コスト(努力)」を払っているのに、相手から同等の速さで返ってこないと、心理的なバランスが崩れ、損をしたような気分や大切にされていないという感覚に陥り、怒りの感情を生み出します

また、心理学において怒りは二次感情と呼ばれます。その根底には、実は不安や期待を裏切られた悲しみといった一次感情が隠れています。
しかし、多くの人は自分の中にある不安や悲しみという本音に気づきにくく、それが表面化した怒りという二次的な感情として現れたり、相手にぶつけたりしてしまうのです。

  • ネガティブな意味付け:「早い返信=自分への関心」という思い込みがあり、遅い返信を「自分への関心がなくなった」と脳内で勝手に翻訳してしまう。
  • 基準のズレ:自分が10分で返しているから「相手にも10分で返してほしい」、自分が忙しくても合間にスタンプの1つくらいは送信しているから「相手にもスタンプの1つくらい送ってほしい」といった基準があり、そこから外れる相手に対してイライラや不安を感じてしまう。

したがって、待っている側の苦しみの原因は相手の愛情不足ではなく、「返信の早さ=関心の強さ」というマイルールによる自縄自縛にあると言えます。

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連絡頻度のすれ違いを解消する3つのポイント

「連絡の頻度と愛情は比例しない」とわかっていても、返信が遅いとやはり寂しさを感じてしまうものですよね。

最後にそんな切ない気持ちを抱えるあなたへ、LINE(トーク)の頻度を上げようとするのではなく、2人の絆をもっと深めるための具体的なアクションをお伝えします。

1. 日常のすき間時間にビデオ通話を組み込む

「ビデオ通話だけをする時間」を作るのではなく、日常のすき間時間に、普段の生活をそのまま映す“ユルいビデオ通話”を組み込むことを提案してみましょう。新しく時間を作るのは心理的ハードルが高いものですが、「ついで」なら無理なく習慣化できます。

例えば、歯磨き中やごはんを食べている間、駅での電車待ち(地方など、本数が少なくて次の電車まで30分ほど時間が空くとき)などにビデオ通話をつないで、体験を共有するのです。こうすることで、お互いに負担を感じることなく、顔を見て話す機会を増やせます。

2. 終わる時間を決める

ビデオ通話を始めるときには、終わりの時間を決めておくことが大切です。なぜなら、出口が見えない通話は相手に「自分の時間が奪われる」という負担感を与えますが、終わりが明確であれば気軽に応じやすくなるためです。

例えば、「ごはんを食べ終わるまで」「電車が来るまで」など、状況に合わせて終了タイミングを提示しましょう。

時間を区切ることで、相手側の心理的負担を減らし、ポジティブな気持ちでビデオ通話を楽しめるようになります。

3. 具体的な代替案とメリットをセットにする

感情的に「もっと連絡して」と伝えるのではなく、具体的な代替案とそれによるメリットをセットで提案しましょう。具体的なアクションが明確になり、かつ相手にとっても「メリット(LINEをもっとしてほしいと文句を言われなくなるなど)」が提示されることで、協力が得やすくなるからです。

伝え方の例

  • 「水曜日の夜だけ、10分ビデオ通話したいな。そうしてくれたら、毎日LINEしてって言わないようにするから(笑)」
  • 「週末に会えないときは、土曜の寝る前に少しだけビデオ通話したいな。声が聞けたら安心するし、平日はお互いに自分の時間を楽しもう!」
  • 「週に1回、夕食の時間だけビデオ通話しない? 一緒に食べてる気分になれてうれしいし、それ以外は返信が遅くても寂しくないから!」

このように相手への配慮を含めた具体的な提案をすることで、不満を解消しつつ2人の関係をより良好にしていけます。

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提案する際の注意点は、決してLINEのトーク(テキスト)や通話(音声のみ)で伝えないこと。テキストや音声だけのコミュニケーションは相手に「自分の時間を邪魔されている」という、わずらわしさを感じさせやすいことが研究で明らかになっているからです。(※1)(※4)(※5)
必ずあなたの柔らかな表情や声のトーンがセットで伝わる対面、もしくはビデオ通話で伝えるのが、相手に重く感じさせないポイントです。

※4 出典:山崎敬太(2014)「遠距離恋愛関係の関係良好性を促進する要因の検討」(未刊行)筑波大学人間学群心理学類
※5 テキストと音声は厳密には性質が異なるが、対面やビデオ通話に比べると、どちらも「自分の時間を奪われている」というわずらわしさを感じさせやすく、関係維持への意欲を低下させる恐れがあるという点では共通している

まとめ:連絡頻度に振り回されない「本質のつながり」を

連絡頻度は愛情の量を測るものさしではありません。

「1日に何回連絡が来たか」という数字に一喜一憂するのではなく、ビデオ通話や対面での時間を大切にし、相手とどう心を通わせるかという「質」に目を向けましょう。
そうすることで、お互いに心理的負債感を感じない、心地よい関係を築いていけるはずです。

「相手は相手なりに、誠実に向き合ってくれているか?」

その本質を見極めることが、不安を解消し、良好なパートナーシップを築くための確実な一歩となります。

ナレソメ総研

山崎先生、コレってホントですか!?

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