『バチェロレッテ4』1〜7話を恋愛心理学者が考察レビュー!「男選びの基準」「なぜ意外な安齊が残ったのか」を解説。ファイナルローズ予想も【ネタバレあり】
Amazon Prime Videoの大人気シリーズ『バチェロレッテ・ジャパン』。
1人の女性・バチェロレッテを14名の男性が海外を舞台に奪い合うという、華やかで豪華な画とドキドキの展開が人気の番組だ。
バチェロレッテが渡す「ローズ」が緊張感とワクワクを醸し出し、ローズをもらえない男性は次々と脱落していく、シビアな戦いなのだ。
4シーズン目が開幕し、26歳のヒロイン・平松里菜さんのかわいい&美人ハイブリッド型という「圧倒的ビジュアル」が一躍話題となっている。
また、7歳から海外で暮らし、イギリスの大学で学んだトリリンガルという才色兼備っぷりと、26歳とは思えない落ち着き払ったトークも印象的だ。
そんな「完璧」な彼女が選ぶのは、果たしてどんな男なのか。
そして、7話までを振り返って、あの男性はなぜ落ちてしまったのか。あの男性はなぜ生き残ったのか……。
謎や疑問を、今回は私、恋愛心理学者・山崎が解説。

恋愛心理学者・山崎
富山県出身。筑波大学卒業。在学中から「恋愛心理学」を研究し、特に遠距離恋愛や関係継続、自己肯定感の分野を得意とする。認定心理士・メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種を保持し、恋愛を起点としたQOL向上のノウハウを武器に、教育機関や企業の人事領域で講演・相談支援を行うなど幅広く活動。自身も2度の遠距離恋愛や婚約・婚約破棄を経験し、その学びを生かして年上シングルマザーとの年の差婚を果たす。現在は幸せな結婚生活を送りながら、恋愛心理学の知見を社会に還元し続けている。
最終的に選ばれる男性、つまりファイナルローズを得られる男性が誰なのかも予想していく。ネタバレ前提の記事になるので、要注意だ。
「まずは里菜さんの『恋愛スタイル』性格』を分析。
さらに、活躍が目立った男性たちの『シーズンを通しての振る舞い』『なぜ落ちたのか、なぜ生き残ったのか』にフォーカスして分析します(男性出演者は敬称略)。
特に、番狂せ安齊の解説と、強すぎる男・至の解説をお楽しみに。もちろん、ファイナルローズ予想もします!」(山崎・以下同)
※男性陣がバチェロレッテに出たきっかけ(例えば、知名度アップを求めていた可能性など)を考察したり番組構成から予想したりするという「メタ読み」は、今回一切せず、真正面から恋愛を軸に分析しています。
バチェロレッテ・里菜さんは「強いバリキャリ」ではなく情緒安定型の「お姫様」である
さて、キリッとした美貌を持つトリリンガル美女・里菜さん。
彼女の男性選びの基準は「信頼できる相手を見つけたいこと」だと、事前のインタビューや番組中の端々でも明言されている。
「しかし、『信頼できる』にはグラデーションがあります。
嘘をつかないこと、話し合いができること、気持ちを言語化できること……はたまた、言葉より行動が信頼できると感じる女性もいるでしょう。
さらに、職業や年収から見る社会的信用が信頼につながる人、家族との関係や家柄が信頼につながる人も。
その中で、里菜さんが言う『信頼』とはどういうことなのか。
これを分析しながら視聴を進めていましたが……正直に言います。私は里菜さんという人を、初期段階で誤解していました。
里菜さんの強すぎるスペック、つまり、語学に堪能でイギリスの大学で学んだ経験があり、自立心が強そうな口ぶり(『海外旅行が好き』『自由も大切』『仕事は大好き』など)、異性から時に「怖い、近寄りがたいと言われる」との発言、しかも10人中10人が『美人』と言うであろう王道の美貌から……
彼女のことを『バリキャリ・ドラゴン美女』だと思ってしまっていたのです」
ドラゴンとはなんぞやという人に解説しよう。ざっくり言うと、本人のスペックが強すぎて「男に火を吹く」ほどのパワーがある女性ということだ。
彼女らは、激しい受験戦争を勝ち抜いてきた、厳しい企業の中で実力でのしあがってきた……そんな、自分が積み重ねてきたことへの誇りから、他人にも同程度の「強さ」を求める傾向にある。
例えば学歴や、語学力。尊敬できる仕事をしていて年収も高く、世間的にハイスペックかどうか……。男性にそういったものを求めるガチなのがバリキャリ・ドラゴン女子だ。
そして並みの男性は彼女といても「ヒーロー願望」をなかなか満たせずに「俺じゃ彼女と釣り合わないかも……」と去っていく……。
「里菜さんもそんな女性だと、私は序盤の数話まで勘違いしていたんです(痛恨)。
つまり、里菜さんは経営者、起業家などの、バリキャリ・ドラゴン文脈の中で『社会的地位がある人』『いわゆるハイスペック』に信頼性を見いだして選び、
寿司職人、彫刻家、プロレスラーなどの職人系特化型職業の男性は初期に全員お断りすると思っていました。
ところがどっこい。そうはならなかったんですね。
企業勤めの和田は、中盤まで残っていた。彫刻家の白谷は序盤では落ちず、寿司職人の櫻井、プロレスラーの安齊は大健闘。安齊に至っては、現在残り2人まで残っていて、最後の1人に選ばれる可能性もあるのです」
つまり、里菜さんは「バリキャリ・ドラゴン美女」が選びがちな男性を残したわけではない。
……ん? でも、同時に里菜さんが選びそうだと思っていた「経営者」「起業家」もそこそこ残っている。
じゃあ、里菜さん、あなたは一体何基準で男性を選んだの?
どこに「信頼できるか」を見出していたの?
社会的地位や年収じゃなさそうなのはわかったけど……なぜ、経営者と職人気質系を両方残したの?
「7話までじっくり視聴した結果、その答えはこれに絞られました。
彼女にとっての『信頼』とは、『対話できるかどうか』だったと予測できるんです。
しかも、ただの『会話できるか』ではない。普通の楽しい会話や、『俺のすごいところ』などのアピール的な自己開示を、おそらく彼女は信頼できる要素=『対話』だとカウントしていない節があるんですね」
里菜さんのいう「対話」は、こうだ。
- 実績や仕事だけでなく、自分の弱いところを話してくれるか
- 大切な幼少期の思い出など、心の繊細な部分を見せてくれるか
- 自分の気持ちを自分の言葉で表現しようと努力してくれているか
つまり、自己開示だ。
それも、ただの自己開示ではない。里菜さん自身も自己開示できる相手かどうか(相手がいい感じに誘導できているか)も大事である。
双方が自己開示できている=対話。この図式なのである。
男性たちによってタイミングや引き出しの多さはまちまちだが、基本的に里菜はこれを見ていた感が否めない。
「俺の仕事ってこうで」「里菜さんを笑顔にしたくて」と話していた男性陣は、どこかしらで落ちていっている。
一方で、端々で「幼少期の話」「家族の話」「弱い自分=素の自分」を見せてきて男は、生き残る傾向にあった。例え里菜さんの自己開示を誘導できていなくとも、いい線まで残っていたフシがある。
ではなぜ、里菜さんは「双方の自己開示」=「対話」を信頼の材料にしているのか?
やはりそれは、彼女の生育環境に理由があるだろう。
「生育環境の柱に、育ちの良さが挙げられるでしょう。それは単に、お金を持ってそうとか教育に力を入れてそう、というわけではないのです。
家族みんなが自己開示からの対話を通じて、信頼関係ができているという意味での育ちの良さ。これなんです」
これは彼女の圧倒的なメンタルの安定を生み、なんなら家族が強固な情緒的サポートをになっているがゆえに、里菜さんは本来なら「恋愛しなくてもいい人」なのである。
別に恋愛に頼らずとも、心は安定している。
しかも、モデルの仕事が大好きで海外旅行も好きで、恋愛以外にやることがたくさんある。
そんな女性なら、今まで「ほとんど恋愛経験がない」のも頷ける。男性によるメンタルサポートが、基本的に必要ないからだ。
現に、彼女の家族が強固な信頼で結ばれていて、その信頼は「対話」から生まれているとうかがい知れるシーンがちょこちょこ出てきている。
里菜さんの姉が登場した時、里菜さんは姉の助言を柔軟に受け入れる様子を見せた。例えば、里菜さんと性格が似ていると話題だった男性・倉岡(起業家)との関係に、姉が「性格が似すぎていると、その分、問題が起きた時の対処法が同じで突破口が見えにくそう」といった旨の心配をしたシーン。その後の倉岡とのデートで、里菜さんは姉の心配からくる疑問を彼に素直に問い、ぶつけた。
さらに、里菜さんの両親が登場したシーン。番組MCの指原莉乃が「あんなに話せるお父さんいませんよ!」といった旨の言葉を残したくらい、里菜さんの父は言語化がうまかった。また、里菜さんと「不安なことなどを話し合って、支え合える関係なのか」という内容のことを男性陣に問いかける場面もあり、この一家はやはり対話によって信頼と情緒的サポート体制を築いたのだな……とうかがえた。
というわけで、里菜さんの信頼できる=対話できる。で、ほぼ確定だろう。
対話の中身は上で述べた通り。弱さや根っこの部分、深い考え方の芯の部分の吐露や自己開示だ。
そして、その吐露ができていなくても「しようとしてくれている」という努力の部分も、彼女は評価していたように見えた。
「そんな男性選びの基準を持っている里菜さんは、いわゆるピュアガールなんでしょう。
海千山千の恋愛を積んできた人間や、努力して学校や会社を通してのしあがって富裕層を目指してきた人間は、傾向としてですが、相手の『スペック(顔・身長・年収・仕事)』を最優先しがち。良し悪しの話ではなく、傾向としてです。
ですが、里菜さんはそれをしない。
おそらく生まれながらに家庭は裕福で、選択肢がたくさんあり、なにより家族から愛されてきた。ビシバシ厳しく縛られたわけではなさそうで、『あなたはどうしたい?』と選択肢を与えられていそうな雰囲気ですよね。
言語の壁に苦しんだ幼少期もあったと彼女は話しました。もちろん外ではつらい思いもした。努力して次第に言語も習得した……。しかし、家では安心して暮らし、守られてのびのび育ったのではないでしょうか」
それにより、心が優しい女性に育った。揺るぎない安定した自己肯定感、年齢に合わない落ち着き、さらには男性陣の「緊張をといてあげたいから、登場時からなるべく笑顔でいる」と気遣える優しさまで備えている様子だ。
「里菜さんはお嬢様を超えて、教養と素直な優しさを備えた『お姫様』なんです。
そして姫は、運命の人を『スペック』だけでは見ない。だってそのスペック、姫なら生まれながらに持っていて、喉から手が出るほど絶対に欲しいわけじゃないのだから。
それよりも、『あなたの心を見せて』『私の心を受け止めて』の相互による自己開示、対話が大事なのですから」
ある種、彼女の恋愛経験の少なさやピュアさから「恋愛的に世間知らずでは……」「悪い男に引っかかるのでは……」と不安になる人もいるかもしれない。
けれど、多分あのご両親がいるのなら大丈夫じゃなかろうか? そんな気持ちすら沸く、安定感抜群な家庭で育った姫。
その姫の心をとりこにできるのはどんな男性なのか、個々人にフォーカスしていこう。
ちょっとすみません、正直ファイナルローズは山崎至だと思います。
……とはいえ、視聴済みの人は、ファイナルローズの予想がすでにできているのではなかろうか。
そう、ぶっちゃけ今回、圧倒的に「強い」男がいるのだ。
記事の最後まで「ファイナルローズ予想」を引っ張っても、記事をお読みの皆さんが「どうせこの男性だろう」と思うであろう人を、私は予想している。
記事の最後まで引っ張って、「けっきょく彼なのかい!」と思わせても申し訳ない。
だから、ここでファイナルローズ予想の発表をしてしまおうと思う。
まず、前提として……。
5月9日(土)現在での最新話、つまり7話時点で、男性は2人に絞られている。
安齊勇馬と、山崎至だ。
安齊は織田裕二似のピュア系プロレスラー、至(解説者の山崎と同名なので、下の名前で呼びます)は甘い顔をした百戦錬磨の経営者。この2人のどちらかに里菜さんを選んでローズを渡す、という流れになるのだが……。
「安齊さんが残ったのは素直にすごいと思いますし、意外ともいえる展開にワクワクしてもいます。
ですが、正直なところ……至さんが強すぎるんですよね。
もうファイナルローズは山崎至さんやろ、と思っています(仏のような笑顔)」
そう。強すぎる男・山崎至。
彼がファイナルローズを手にするとこの記事では予想している。
なあんだ、どうせ至か。経営者でイケメン180cm超え、金沢大学卒業で賢いし、なんとモデル事務所にも登録がある。フルスペック装備の男じゃん。
やっぱりスペックが強いんだなあ。
そう思ったあなた、ちょっとお待ちいただきたい。
至の真の強さは、スペックではない。
もう一度言うけど、スペックではないのだ!
だってよく考えてくれ。至と似たようなスペックの方(ざっくりで失礼します)は次々と脱落しているのだ。同じく経営者や起業家系の長田、倉岡、水越、は7話よりも前に脱落している。しかも皆、タイプは違えど至に負けず劣らずルックスもいい。
「そう。至が残っていてファイナルローズと予想されている理由は、スペックではないんです。
そもそも前章では里菜さんがスペックで選んでいないのではと予想を立てました。この予想は、フルスペック装備・至がファイナルローズ予想に躍り出たからといって覆りはしません。
では、なぜ、恋愛心理学的に考えても至が選ばれると思うのか。
そしてなぜ、里菜さんが至を「スペックで選んでない」と言えるのか。
その謎を解く鍵は、番狂せとも言える安齊勇馬の存在にあります。プロレスラーで、恋愛経験はほぼなさそうなピュア具合。レスリング最優先な人生だった彼が、最も多く里菜さんの弾ける笑顔を引き出しているのもまた事実です」
安齊はなぜ、ラスト2人に残ったのか。
以下の章で、各男性のことを踏まえつつ解説していこう。
(安齊の魅力と至の強さをさっさと読みたい人は、こちらとこちらに飛んでください)
長田と白谷:そもそもバチェロレッテのシステムが合わない男たち
小見出しのとおり、長田(経営者)と白谷(彫刻家)には、脱落理由に共通点がある。
彼らは、時間制限付きの恋愛というバチェロレッテのシステムに絶望的に合わない性格をしていたのだ。
いやいや、全然違う2人じゃん……とお思いのあなた、一旦話を聞いてほしい。
確かに長田と白谷はぱっと見違う。なんなら生き方も違うだろう。
長田は経営者で甘いマスクの王道イケメンで香水好き。
白谷は彫刻家で繊細な感性を持ち、自然豊かなタイの環境にも複数回コメントするタイプの人だ。
さらに、里菜さんとの関わり方や距離も違う。
長田は、里菜さんが最も第一印象が良い男性に渡す「ファーストインプレッションローズ」を受け取っており、一歩抜きん出てのスタートとなった。里菜さんからの呼び出しによる2ショットデートにも呼ばれている。
白谷は自分の作品や絵を通して里菜さんへの思いをぶつけ、序盤にもかかわらず不安で涙するほど思いの重さを見せていたが、里菜さんからの呼び出しによる2ショットデートには至っていない。
……じゃあ、何が共通する「脱落理由」なのか。
それは、「自己開示の少なさ」と「里菜さんではなく“自分に対して”誠実なところ」だ。
まず白谷から行こう。彼は長田よりは前の段階で脱落している。
「里菜さんと2人で話す場面で、彼は里菜さんに自分の作品を渡して、思いを語りました。そこで里菜さんが聞いてましたよね。過去の恋愛や、白谷の今までについて。つまり、里菜さん的に大重要な自己開示からの対話に持ち込もうとしたのです。
すると、白谷はこう答えます。『それについて話すと、2時間くらいかかる』と。
ここが、分かれ道だったんです……。
白谷は話したくなかったわけではない。『今の段階では話さなくていい』と自分の中で判断したのです。
それも、里菜さんの気持ちを考えられていない。
今はまだ『自分が話したくない』から話していないのだと推測できます。つまり里菜さんが求めているのなら『話す=自己開示する』がバチェロレッテ的には正解なのに、里菜さんの気持ちではなく自分の気持ちを優先して話さない、を選んだ可能性が高いんですね。そして作品を通して(自分を)知ってもらえれば、とも話している。
しかし、これは期限付きの恋リアです。そのスタンスではスピード感で他に負け、彼を選ぼうにも選べないでしょう」
そうして、この回では白谷は脱落。バチェロレッテという番組に合わなさすぎた性格が影響しつつも、里菜さんの気持ちよりも「自分に正直」に話さなかったのが敗因といえよう。
次に、長田だ。
彼は里菜さんからの第一印象が良かったし、もしかしたら振る舞いや雰囲気、ルックスが刺さったというラッキーもあったかもしれない。
だからこそ、里菜さんは自ら彼をデートに呼んだ。押し花を作るという、ほほえましいデートだ。
そこで、長田は何を話したか。
……内向的な自分について話したが、里菜さんの期待に応えられなかった。
「はっきりと好きと言えなかったんです。
そして、このデートで里菜さんからローズを受け取ったにもかかわらず、ハグしにいくなどの恋愛的な『あなたが好き』という自己開示もしなかった。
誤解しないでほしいのですが、長田はおそらく里菜さんのことをこれっぽっちも興味がないとか、全然好きじゃないとかではない……と思います。
ただ、自分の中にルールがあった可能性が高い。それが『100%好きと言えるところまで気持ちを持っていかないと、好きと言いたくない』というルールでしょう。
曖昧な感情で好きとは言えない。誠実でいたい……ただし、何よりも自分の心に。
里菜さんは明らかに長田に興味を持っていました。何度もそのシグナルを出しています。それでも長田の、『まだ80%だけど、好きって言ってみよう』とならない自分の心への誠実さが、彼の敗因のように思います」
ちなみに、この押し花デートからしばらく後、里菜さんは長田を落とした。それも、2人の男性が同時に里菜さんとデートする2on1デートで、だ。もう一方の櫻井は、好き好きアピールをものすごくしていた男だったから、長田を落とした理由はより一層明確になったことだろう。
好き、と言えない男は、弱い。
自分の中のルールを捨てられず、里菜さんの求める自己開示や愛情表現に持っていけなかったのは痛い。
特に、期限付きの恋リアであるバチェロレッテでは、じっくり100%納得して好きになることも、後日に2時間くらい話すことも不可能なのだから。
倉岡:「似ている」以上の価値や魅力を提示できなかった
次にフォーカスするのは、倉岡(起業家)だ。
里菜さんと水上でボートデートをして一気に距離を縮めた彼である。
「起業家という派手で外交的らしい職業からは想像しにくいですが、彼はどうやら『真面目すぎる』『自分の中で解決する』タイプのよう。
そして、里菜さんとのデートを通じて、2人は非常に似ていることが判明したのです。
彼と話している里菜さんは『わかる』『似てるよね』とニコニコしていましたね。倉岡も、似ているねと微笑んでいた。ああ、気が合うのだなと視聴者の皆さんも思ったことでしょう。
……しかし、倉岡という似ている人と恋人・夫婦になった時の最大の問題がある。
それは、『似ているが故に、けんかした時や問題が起きた時のソリューションが被り、補完関係になれない』可能性です。
つまり、私はこれが苦手で、あなたがこれが得意だから頼る。もしくは、あなたはこれが苦手だけど、私はこれが得意だからやっておくね。という助け合い・尊敬し合い・相互補完ができない可能性があるのです。
2人の関係において、行き詰まりがあった場合に『新しい考え』で打破しづらい。これは、長く関係を続ける上での問題になりやすいんですね」
トゥクトゥクデートで、里菜さんから倉岡に上の件に近しい話題について聞いていた。似すぎていることの弊害を聞いたのだ。倉岡は共感しながら、ずばっとしたソリューションは出せず、ふわっと「2人なら大丈夫だと思う」的な回答を寄越した。
この時点で、里菜さんとしては問題が棚上げになったまま進んでしまい、恋愛的な尊敬やドキドキよりも「なんか似ていて落ち着く人」になってしまったのだろう。そして、倉岡の「自己開示」が視聴者的にはどこか浅いまま終わった。
ただ「似ている」だけで、他に掘っても予想外な何かや新たな魅力が出てこなさそうなところが「浅い」という印象になった可能性は否めない。
「さらに決定的だったのが、里菜さんの両親が登場する回の直前に行われた、1on1プールデート。倉岡は、ご両親ってどんな人? などの質問が増え、里菜さん自身ではなく、ご両親の攻略の方に時間を使ってしまったのです」
ちょっと待って! まだ早い。
まだ、里菜さん本人との関係は築けてないし、相互補完についての問題も解決していない。
なのに、貴重なデートタイムを里菜さんじゃない人にフォーカスしてしまった。
もしかしたら、「もう勝ちやろ」と確信したのかもしれない。何度もデートに呼ばれ、似ていると微笑まれ、「勝った」と思ったのかもしれない……。
だが、早かった。
「実はまだ自己開示度と対話度が浅かった倉岡は、里菜さんとのコミュニケーションにフォーカスすべきだったのだと推察します」
和田が考えた「経験系のデート」は里菜さんに刺さらない理由
次に、和田。
ブルーローズ争奪戦を勝ち抜いた、彼だ。彼はかなり里菜さんにアグレッシブにアピールしていた1人でもある。
なにせ、ブルーローズを手にしているのだから。ブルーローズは1人の男性しか手にできないアイテムで、それをゲットしたら、自分がプランニングしたデートに里菜さんを誘える。そのデートで里菜さんの心をつかめば、アピールになるだけでなく、赤いローズをゲットし、生き残れる。一方で、ブルーローズデートの後に赤いローズを得られなかったらその場で脱落となる……という諸刃のアイテムなのだ。
誰がブルーローズをゲットするのか? という男同士の話し合いで、男性の中には消極的な人も多かった。ブルーローズデートをしたところで、里菜さんから好かれている自信がなければ、リスクの方が大きいからだろう。
しかし、和田は強い気持ちで他の男性を押し退けて、ブルーローズ=プランニングデート権をゲット。そうして、絶対に里菜さんの心をゲットすると意気込んで、和田は頑張った。
「彼はデートを企画し、里菜さんが好きだと言っていたショッピングに。雰囲気作りのためか、双子コーデに着替えた。景色のいい夜の海辺に豪華なソファを置き、派手な花火をあげてさらに雰囲気は最高潮に。里菜さんが好きなスムージーを2人で作るというアクティビティ付きです。
……しかし、このデートで振られました。
なぜでしょうか。理由は、和田は『キラキラした経験の提供で落とそうとした』からです。
何度も言いますが、里菜さんが大事にしている『信頼』を解剖すると、鍵となるのは相互自己開示からの対話。
和田は、圧倒的に自己開示が足りなかったのです。弱い部分、繊細な部分、家庭環境、過去の恋愛の反省……。それらがないばかりではなく、つい、『俺が俺が』のアピールが続いて、里菜さんにも自己開示させる隙が作れなかった。そして、体験の提供に終始してしまいました」
彼女の「好き」をふんだんに盛り込んだデートをプランニングし、里菜さんの気持ちを考えているように見えて、実は「俺は経験系のデートが刺さると思う!」で突破しようとしてしまい、「里菜さんは本質的にどんなデートが好きだろうか?」にたどり着けなかった……。
お姫様はきっと、ショッピングも花火も、その他のいい感じの「体験」も、家族や友人と一緒に経験済みである。
姫の心をこじ開けるのは「体験」ではない。
和田にしか出せない、和田の心。和田の過去。和田の考え。和田の自己開示……。それが欠けていて、里菜の心をつかみきれなかったのだろう。
櫻井:まだね、出したらあかんよ、下心は
では、次は櫻井の話をしよう。寿司職人とモデルを兼業している甘いマスクのイケメンである。彼は、かなり最後まで残った。至、安齊に次ぐ、ラスト3人のうちの1人なのだ。
「彼はお料理のシーンでみんなに優しく指導したり、里菜さんへ特技でアピールしたりした明るいナイスガイでした。出会った時から『可愛い』を連発し、『一目惚れしました』と好意を隠そうともしなかったことも印象的です」
そう、前章の長田との2on1デートという名の一騎打ちに勝ったのも彼である。おそらく、「好き」の開示がきいたのだろう。
ルームウエアで会うリラックスしたデートでは「おでここつん」で距離を縮め、さらに理想の結婚像、家庭像について素直に話すという自己開示もできていた。その他でも、緊張していることや今どんな気持ちなのかも、はっきり言ってくれる印象があった。
基本的に好印象の男だったのだ。里菜さん的にも、彼といるとはっきり自分を好きと言ってくれる=安心できる=信頼できる、と連想ゲーム的になっていたのだろう。
そこに、より深い幼少期の話や弱い自分などの、湿度のある自己開示ができたらより一歩近づく……と思って視聴していたら、問題のシーンがきた。
「そう、彼は里菜さんとのSUP船デートで『キスしていい?』と迫ったんです」
キスがNGなのではない。
下心が見える、タイミングをミスったキスがNGなのである。
里菜さんはまだ、彼に男としてのときめきを感じてはいなかった。友人同士のきゃっきゃした楽しいデート時間だったのだ。視聴者も、その雰囲気を感じ取れただろう。さらに、肝心の対話がまだ足りなかった。もっと話すべきだったし、里菜さんから話を引き出すべきだった。
なのに、キス。ハグではなく、キス。里菜さんは断った。
……「いける」と思っての判断だったろうが、ミスったのだ。もしかしたら、好きの気持ちが強すぎて浮かれてしまっていたのかもしれない。
「これも、ある意味、今まで出てきた白谷・長田・和田らと同じ『里菜さんの気持ち』を考えられていないケースと言えるかもしれないです。里菜さんのことをじっくり観察し、里菜さんの気持ちの高まりや男女のときめきを察知し、里菜さんのタイミングが来たらキスしていいか聞く。それができず、『自分がキスしたくなったから』里菜さんの気持ちを見極め切る余裕を失い、動いた感じが否めないんですよ」
このデートの後で、彼は脱落した。
下心は出したらあかんタイミングで出したら、あかんのだ。
セバウン:情熱の文化が違いすぎた男
さて、次はセバウンに行こう。元プロテニスプレイヤーで、テニスのためにフランスに修行しに行っていたというすごい経験の持ち主だ。また、現在はスキンケア商品の開発を行っている。仕事への情熱を感じられる語りっぷりが印象に残っている人も、多いだろう。
……そんな彼がなぜ落ちたのか。
そう、それは「情熱」が理由ではないかと考察する。
もっと詳しく言うと、「情熱」の出力方法がちょっと里菜さんの文化と合わなかったんだろうなと推測できる。
「里菜さんはかなり序盤で、セバウンを食事デートに誘いました。そこで彼女は、彼の仕事への熱意と、彼の過去の恋愛について聞きましたね。セバウンは自己開示がうまかった。身ぶり手ぶりのある話し方で、かつて心から愛した人との失敗を語り、自分の言葉で自分の気持ちを話して里菜さんの好印象をゲットしていた感じがあります。
さらに、それだけではない。彼は里菜さんに聞いたのです。『過去にどんな思いで恋愛してきたの?』『どういう感情(が原因)で、長く付き合ってきた人がいないの?』と。
つまり、里菜さんの自己開示をかなり序盤のデートで引き出せた男、なのです。
里菜さんは相互の自己開示、対話を重視しています。それが彼女の中の信頼につながっていく。そのポイントを早々に押さえ、自己開示からの対話からの、情熱的な愛情表現までやった男です」
こんなの、かなりの好印象のはずである。
そして、彼はやはり結構なところまで残った。……そして、落ちた。
「大きな理由は、また後日の里菜さんとのデートで『他の男性を下げて言うほどに情熱的に迫った』からでしょう。
里菜さんは、他の男性を否定した彼に明白に反論していた。彼女は番組内で、基本的にポジティブなフィードバックや感想だけよこしているところからも想像がつきますが、誰かを否定して自分を上げるような物言いはしない文化圏の人で、好まないのでしょう。
情熱が悪いんじゃないんです。情熱の出力方法が里菜さん的に刺さる方法じゃなく、里菜さんの文化とそぐわなかったことが、おそらく原因の1つです」
そうなのだ。別に自己開示と対話と好きの言葉が言えたら「誰でもOK」なわけではない。開示した自己と、対話の結果が、「ちょっと合わない」と思ったらそれはそれで脱落なのだ。一般の恋愛ならば、そこから関係性を擦り合わせることもできようが、ここはバチェロレッテ。他にもライバルがいるし、選択肢がある。
ということで、彼もまた、里菜さんの前から去ることとなった。
なんで番狂せレスラー・安齊が残っているのか
さて、皆さんお待ちかね。
番狂せと話題沸騰の、笑顔が可愛いムキムキピュアレスラー・安齊勇馬の解説にいこう。
職業はプロレスラーで、言葉の端々に恋愛経験の少なさとピュアさが出る可愛い男なのである。そして、仕事への熱意が凄まじい。安穏としたデスクワークとは違うプロレスラーという「戦う生き方」に実直な彼は、わき目も振らずにレスリングしてきたからこそ、恋愛経験に乏しいのだろう。
スカジャンを着て出てきた彼の登場シーンで、言葉は悪いが「かっこいいけど色もの枠」「すぐ落ちそう」と思った人は多いのではないだろうか。しかし、彼は7話現在、残り2人まで残っている。
そして、8話からは強すぎる男・至(後述)との一騎打ちが待っている。
何が里菜さんに刺さったのか。整理しながら見ていこう。
「まず、彼は早々に自己開示をしていました。そう、まだ誰も脱落していない初期も初期の段階で、みんなの前で『母親からの大事な手紙』を里菜さんに見せたのです。
これは里菜さん的には重要な要素となったでしょう。この人は私に心の中を見せてくれた、私を信頼して自分を教えてくれた、という信頼要素にダイレクトヒットするはず。
自己開示パワーの刺さり方は、里菜さん相手だと凄まじいものがあったと想像できます。
次に、ピュアさです。
あんなイケメンの気のいいレスラーなんて女性ファンもたくさんいそうなものの、彼は『恋に臆病』と名乗るくらい本当にピュアでした」
ピュアは武器だ。あの男らしい体格、甘いイケメン顔からは想像ができない「ギャップ萌え」の域である。
ピュアさの証拠は、「褒めようと思ったのに褒められなかった」と話す奥手なところや、いつまでたっても里菜さんの前で緊張しているところ、里菜さんのご両親を前にして謎に腕を突っ張らせてしまうところにも出ていたが……何より、里菜さんの弾ける笑顔が示しているだろう。彼女も恋愛経験少なめなピュアガールで、だからこそ同じくらいピュアそうな安齊と一緒にいて、あんなにリラックスして笑えるのである。
友達っぽいとか、きょうだいっぽいと感じる人もいるかもしれない。本人たちも、「友達感」を感じていそうな言動はある。それでも、安齊の人柄やピュアさが里菜さんの満面の笑みを引き出しているのは真実で、強いのだ。
「ピュアが故のいい面に『裏表がなさそう』もあげられます。
安齊のマイナス点はいまだストレートな『好き』を言えないところにありますが、言葉による好きがなくても、彼の態度や表情に好きがあふれ出ていた。裏表がないからこそ言葉以外の好きを相手に信じさせる強さがあるし、その安心感がゆえに、里菜さんの『もっと掘りたい』『もっと知りたい』『もっと何かあるはず!』という、次の一歩に進み続ける勇気をもたらしているのでしょう。
裏表がなさそう=安心感があるから、いまだ言葉がなくてもコミュニケーションをとる余地を感じさせるのです」
また安齊は「好きと言えない」弱さはあるものの、閉じこもっているわけでも自己完結しているわけでもない。好きと言えないのは長田や白谷も似たような分類だったが、安齊は「努力を見せる」ができているのだ。「里菜に笑っててほしいは本当」的なことを繰り返したりなどと、好きには及ばないもののできる範囲での言語化をしている。
そして里菜さんは、最初から自己開示できる男性だけでなく、自己開示の「努力してくれているのが伝わる」人を残している。「努力している」に加えて、「言葉はないけど、私のことが好きなのが態度でわかる」までそろってれば、安齊が残っているのも理解できよう。
「というかそもそも、なんで安齊は好きと言えないのでしょうか?
長田と同じく、自分の中での納得が必要なのか? いや、そうじゃないと私は推測します。
理由を3つほど想像してみましょう」
1. あり余るピュアさが原因
そんなにホイホイ好きと言えないのだ。好きというワードが重すぎて。そして、どう表現すればこの思いを相手に伝えられるのかわからない……ということでもある。これってもう、好きって言っていいのかな? こんな可愛い理由かもしれない。
1は、恋愛経験がない男性や、D(童貞)の者に顕著な特徴だ。彼らには、やはり言葉による「好き」はハードルが高い。安齊に足りないのは経験だけなのかもしれない。……百戦錬磨になったらなったで、現在の人柄やピュアさが損なわれる可能性があり、それはそれで別の問題が出るかもしれないが。
2. 関係性が壊れるのが怖い
ここで好きって言ったら、関係ってどうなるのかな……という不安から言えないという説である。これも、好きって言って関係性が進展した経験に乏しいピュアさが垣間見える説で、里菜さんにどう思われているのか、里菜さんも自分を同じくらい好きでいてくれているのか推理しきれない経験の乏しさが根っこにあるように思う。
3. 男性特有の、将来を見据えた関係への不安(男性版マリッジブルーのようなもの)
2と近いが……断言することで関係が進み、里菜さんの幸せを背負う決断をしなきゃならなくなるのが怖い、だ。
これは、結婚前のマリッジブルー・男性版に多い思考回路でもある。男性はやはり、女性の幸せや将来を背負いすぎる傾向にある。その覚悟が決まりきっておらず、俺で大丈夫なのか? の気持ちを消化しきれてなく、言えてない可能性がある。3の場合なら、責任感の強さ故の「好きと言えない」だろう。
……ああ、安齊。
安齊のことが気になりすぎて、我々は、なぜあなたが「好きと言えない」のか予想まで立ててしまった。1でも2でも3でも、安齊のことを愛おしいと感じる女性はいるのではなかろうか。
このまま我々のファイナルローズ予想を華麗に裏切って、ファイナルローズを手にして欲しい。メロ男を打ち破ったピュア男子として、伝説を作ってほしい。
メロ男って誰か? 最後に解説する、山崎至である。
山崎・メロ・至、ちょっと強すぎて倒せない
さて、話は至に戻ってくる。
山崎至、今回ファイナルローズとして予想した男だ。
スペックのおさらいをしよう。石川県出身の32歳。ゴルフ系事業の経営者で、イケメン、高身長、モデルエージェントに登録があり、おそらく高年収までそろっている。
だがしかし、里菜さんはスペックだけで人をふるいにかける女性ではない。
そう、至は「相互の自己開示」「対話」「愛情表現」に加えて「オスみ」「相手を考えたコミュニケーション能力」さらに、偶然による「里菜さんの父との共通点」まで兼ね備えたパーフェクトガイだったのだ。
強すぎる至を、1つ1つ振り返っていこう。
「さてまずは『相手を考えたコミュニケーション能力』からいきましょう。
実は彼、里菜さんとのコミュニケーションでとある『失敗』をしています。印象的な人も多いでしょう。例の『俺といる時は休憩していいよ』事件です」
それは序盤のあるシーンで、里菜さんが次々と数分おきに男性たちと2人でソファで語り合う場面でのことだった。至は、他の「俺は」「俺が」とアピールする男たちとは決定的に違う行動をとったのだ。
彼は短い時間の中で「俺といる時は休んでいいよ」「たくさん話して疲れているでしょう」と、里菜さんとの対話や自己開示ではなく、「里菜さんを休ませよう」という紳士っぽく見えるムーブをしたのである。
一見良い動きに見えたし、実際これが「気遣いできる」と刺さる人もいるだろう。
「しかし、里菜さんには刺さらなかった。
彼女が求めているのは『心を見せて』です。あなたのことを知る、私のことを知る貴重な機会なのに、休憩していいって何? 本気なの? と感じたのでしょう。
その旨、里菜さんはその場ではっきりと至に伝えていました。至はまさか自分の行動が、彼女の助けにならないとは思ってもいなかったのでしょう。真剣に聞き、その場で反省の意がわかる態度をとっていましたね」
……という失敗を踏まえて、迎えた4話。
里菜さんと至が夜のマーケットでデートした、あの回だ。
「ここで至は反省を的確に消化して、自分から『俺、まだ何も開示してない』と明言したのです。『俺、まだ何も話してなかったから、この人大丈夫なの? って里菜さんに思われてそう』と、里菜の心をぴたりと言い当てた。
ここに至の強さがあります。彼は徹底的に『相手の気持ちにたったコミュニケーション』ができる。他の男性たちと比べると、明確な強さです。至は『俺が』とアピールをしない。それが弱さともなったが、ただじゃ転ばず、相手の気持ちを推しはかって奇麗に立ち上がっているんですよね……」
里菜さんの性格や言葉を分析し、こう思われてるかな? と正解にたどり着けた男が、果たして他にいただろうか。
振り返ってみても、序盤の至、和田、倉岡たちと合計4名集められた里菜さんとのおしゃべりタイムでは、恋愛経験が少ない里菜さんに「でもモテたんでしょう」といった旨のことを伝えるなどと、フォローする動きをした。
「休憩事件」だって、里菜さんの疲れを先回りして考えすぎた結果とも言える。
視聴者だって、至は案外「俺の事業が」「俺ってこれが得意で」などとアピールしていないにもかかわらず、心になんとなく「モテそう」という印象が残っている人が多いのではないか。
一旦至の過去シーンの強さは置いておいて、具体例に……マーケットデートでの至に話をもどそう。
彼は「自分の話をしてくれなかった」と里菜さんに指摘された後、素直に謝罪した。そうして、「俺は自分の話をするのが苦手で」と、弱みを見せる自己開示になんともスムーズにつなげたのだ。
「それだけでなく、里菜さんに感謝する着地にしているのがうまいです。
『里菜ちゃんのおかげで、感情を正直に伝えることから逃げてたと気づけた。感謝している。里菜ちゃんのおかげで変わりたいと思っている』と、相手のことも気遣って……しかも、目を向けてほしいところ(内面や行動)に的確に感謝の意を示すという鮮やかすぎる着地に至っています」
里菜さんはこう感想を述べた。「新しい一面を見られた」「今までなかった部分を知られた」と。つまり、ギャップ萌え的な要素まで至は醸し出した。安齊にもあったギャップ萌え要素は、至にもきっちりあったのだ。
そこからの至はすごかった。自己開示ほぼ0の序盤からは考えられないくらい、自分のことを素直に話している。その後の別話での里菜さんとの砂浜寝そべりデートでは、「日本では感情を抑え込んでしまう自分」「感情を偽ってしまう自分」の吐露を続けた。さらに「里菜ちゃんが『そこは素直でいっていいんだよ』と言ってくれた」と里菜さんの自己有用感まで刺激している。
「さらに、相互の自己開示が至はできていた、というのもミソです。至は質問がうまいんですね。里菜さんが答えにくいことや、『こう答えざるを得ない』ことを、徹底して聞いてない。
『里菜ちゃんはどう思う?』というオープンクエスチョンがいつだってできていたし、恋愛的ドキドキを盛り上げる質問ができる。
例をあげてみましょう。里菜さんと至の砂浜寝そべりデートでのことです。
里菜さんが『私もこんな感情初めて。なんなんだろう、この感情』と言った時、至はすかさず『どんな感情?』と聞きました。
これは里菜さんの心を深掘りし、自己開示を促すだけでなく、恋愛的などきどきも高めるすごい質問なんですよ」
「どんな感情?」に、里菜さんは考えて、答えられなかった。しかし至は無理に追求せず、待った。その余裕が、至のメロさなのだ。「言葉にできない」と話すピュアガール里菜さんに、「一旦言葉にしないでおこう」と至は引いた。これもまた、至のメロさである。
この砂浜寝そべりデートの結果、里菜さんはどうなったか。
肩で息をするほどに息が上がり、至にしか見せない表情を、見せた――。
さて「オスみ」「愛情表現」に参ろう。
そう、至は序盤にオスみを見せつけている男なのである。
他の男性たちが里菜さんに「デートしたい」「お誘い待ってます」などと口にした時、「させんよ」と割り込んできたのだ。
このさらっとした、自然な、しかし牽制してみせる動き。慣れておる……と思うものの、やはり強さだ。ここにいわゆるメロを感じた視聴者は多いだろう。
それだけではない。至はハグまでうまい。
ハグしなかった長田や、里菜さんからハグしにいって応じた男性の面々と比べて、至は自分からハグしに行っているシーンが目立つ。それも、下心を見せず、まるで海外の挨拶のようにさらっと。この辺の愛情表現とオスみのハイブリッド感はさすがだった。
そして、砂浜寝そべりデートでの「好きです」。
これは美しい流れでの告白だった。競技だったら芸術点がつくレベルである。
「まず、前述した自己開示・感情の吐露からの『里菜さんのおかげ、という肯定感』を与える。さらに、バチェロレッテに参加する上での気持ちを語り……『好きです』と言った瞬間だけ、里菜さんの目を見つめていました。
今までのトークではまっすぐに海を見ていたのに、好きの時だけ里菜さんを見たんです。
過剰な照れはなく、余裕すら感じさせて。強いですよね」
その後の別日のゴルフデートで突然、至のバックハグシーンとささやきが始まったが、もはや驚きはしない。至ほどのオスみと愛情表現の使い手なら、そして相手の気持ちを察して立ち回る、いかにも経営者っぽいスキルがあるのなら、里菜をときめかせるバックハグもできよう。
それも、櫻井の「キスしたい」的な、タイミングを見誤る失敗もしない。
なぜなら、至だから。
至はいつだって、相手の感情と出方をじっくり観察し、ベストな行動を取れるのだ。
ちょっと至が強すぎて解説が長くなったが、最後にこれを伝えたい。
なんと至、里菜さんの父と同じ金沢大学出身だと、両親面談の際に発覚したのだ。このサプライズに至もお父さんも驚いており、良いアイスブレイクとなったのは間違いない。
「現在金沢で仕事をしている至は『里菜さんのためなら東京に引っ越してもいい』と両親に語っていましたが、なんと父親の方から『里菜は石川県も好きですよ』と話を振るアシストが。ご両親と面談した男性は安齊、櫻井、至の3名でしたが、両親にも至の印象が最も良かったといえるんではないでしょうか」
さて、ここまで語ってきたバチェロレッテ4。
今回の功労者は、間違いなくヒロイン・里菜さんだといえよう。
彼女のパーソナリティは単純な「バリキャリ美女」に収まらず、情緒が安定した心優しくも自立心があるお姫様という視点で、男性の内面や振る舞いを総合的に見ているのが伝わる。
果たして、安齊が伝説になるのか。
それとも、至がやはりかっさらっていくのか……。
次回、8話と9話のレビュー記事では、さらに深掘りした分析をお届けしよう。
乞うご期待!

ナレソメノート編集部



