マッチングアプリは「ヤリモク」だらけ? データと心理学で暴く、“うそ”と“すれ違い”の構造的欠陥

現代の出会いにおいて、欠かせないインフラとなった「マッチングアプリ」。しかし、その手軽さとは裏腹に、「ヤリモク(体目的)のユーザーが多い」「真剣な出会いに向かない」といった不安の声も絶えない。

その通説は、単なるネガティブなうわさなのか、それとも紛れもない事実なのか。

今回は、婚活・恋愛心理に精通するナレソメ予備校の山崎と「アプリ=ヤリモクだらけ」という通説の真偽をあらゆる角度で徹底検証。なぜ男女の「目的のミスマッチ」が起こるのか、そして利用者が知るべき「不都合な真実」について、ナレソメノート・編集長のヤマダが切り込む。

「ヤリモクだらけ」は本当か? なぜ女性は“誤解”するのか

ヤマダ:今回の企画テーマは、非常に多くの方が感じているであろう「マッチングアプリはヤリモクだらけは本当か?」です。専門家の視点から見て、この通説はどの程度、現実に即しているのでしょうか?

山崎:まず、男性目線で言えば、「それはそうだろう」というのが正直なところですよね。ヤリモクを肯定するつもりはさらさらありませんが。

ヤマダ:やはり、そうですよね。ナレソメ総研の調査データでも、男性の利用目的として「カジュアルな関係」を望む層が一定数いることが示されています。

山崎:むしろ、そうした調査で堂々と「ヤリモクです」と答えた人たちは、私は誠実だとすら思いますよ。誠実さの向け方は間違っていますが(笑)。

ただ、少なくとも調査に対してはまじめに答えているわけです。問題は、そう答えない「隠れヤリモク」です。「ヤリモクです」とあえて答えない人はいても、その逆(本当は真剣なのにヤリモクと答える人)はいないじゃないですか。

そう考えると、実際の数字はもっと多いはずです。調査で「3割」や「4割」といった結果が出たとしても、実感値としては「そんなレベル感じゃねーよ」というのが本音ですね。

ヤマダ:かなりの割合でヤリモクがいるにもかかわらず、多くの女性ユーザーは「真剣な出会いがあるはずだ」と期待してアプリを始めてしまいます。このギャップはどこから生まれるのでしょうか?

山崎:それは、女性側がアプリの性質を勝手に良いように解釈してしまっているのが大きいと思います。男性からすれば、自分の目的に合った場所(アプリ)を選んで、目的に合った活動をしているだけ、という認識なんです。

ヤマダ:女性の期待と、男性のリアルな利用実態が乖離しているわけですね。

山崎:もう1つの要因は、マッチングアプリがあまりにも「一般化」しすぎたことです。身近になりすぎたせいで、利用者が「日常のコミュニティと同じ性質の人たち(=常識的でまじめな人たち)の集まりだ」と無意識にバイアスをかけてしまっています。

ヤマダ:「まじめな人」がいるはずだ、と思い込んでしまうと。

山崎:でも、実際はそうではない。その認識のズレが、多くのミスマッチの温床になっています。

“まじめ層”の増加が、アプリにカオスを生んだ

ヤマダ:コロナ禍を経て、以前よりもまじめな出会いを求める層がアプリに流入したとも聞きます。

山崎:まじめに恋をしたい、結婚したいという人たちがアプリ市場に入ってきたのは事実です。ですが、だからこそ余計に分かりづらくなっているんです。

以前はもっとすみ分けができていたかもしれませんが、今は「ヤリモク層」と「真剣層」が同じ場所に混在して、カオスになっている。これが非常に不健全な状態なんです。

ヤマダ:そのカオスの中で、特に男女のすれ違いが起きやすいポイントはどこなんですかね?

山崎:典型的なのは、女性特有の思考、つまり「出会いさえあれば、その先に結婚があるはずだ」という期待ですね。以前、ナレソメ総研からも発信していますが、女性は結婚を考えるうえで「相手」を重視しますが、男性はきっかけになりうる「コト」に重きを置く傾向があります。

ヤマダ:それゆえ、女性はまず「出会うこと」を目的にしてしまいがちです。

山崎:でも現実はそうじゃないんだ、ということをもっと発信しないといけない。このミスマッチが続いている現状は、社会にとっての損失ですよ。

ヤマダ:一方で、男性側の心理はどうなっているのでしょうか?

山崎:男性側は、非常にシビアです。はっきり言って、アプリの”うまみ”を知ってしまった人ほど、まじめに使わなくなります

もっと短期的な関係を求めるために、そのノウハウを使ってしまうのですね。

ヤマダ:つまり、アプリを使いこなしている「モテ男」ほど、婚活目的の女性にとっては危険、ということですね。構造的に、真剣な女性とそうでない男性がマッチングしやすくなっている、と……。

婚活目的の男性でも、3割がうそをつく

ヤマダ:もう1つの根深い問題が「プロフィールのうそ」です。ナレソメ総研の調査でも、男性の約4割がプロフィールでうそをついた(盛った)経験がある、と回答しています。

山崎:これもまた、アプリの構造的な問題ですね。なぜうそをつくかと言えば、単純です。「会えなきゃしょうがない」からです。

ヤマダ:だから、プロフィールを「盛る」しかない。

山崎:うそをつかないと、女性からの「いいね」がもらえず、まず会う段階にすら進めない。アプリの現実を知れば知るほど、男性はうそをつき始めるんです。「会えなかったから」というのが、彼らがうそをつく動機です。

ヤマダ:特にどの項目でうそが多いのでしょうか?

山崎:データ上、圧倒的なのは「年収」ですね。

ヤマダ:恐ろしいですね……。最も深刻だと感じたのは、「婚活目的」と回答した男性ですら、3割以上がなんらかのうそをついている点です。

婚活目的でアプリを利用した男性のうち、プロフィールを偽った経験がないのが67.8%。裏を返すと、32.2%の男性はプロフィールを偽った経験があることになる

山崎:これは本当に根深い。アプリで出会った男性が3人いたら、そのうち1人はうそをついているという計算になります。

ヤマダ:各種証明書を事前に提出させられる結婚相談所ではありえませんが、アプリではそれが現実だと。

山崎:そうです。女性が真剣にプロフィールを比較検討し、悩む……。その意思決定コストそのものが、根底から無駄になる可能性があるのです。

なぜ4割のモテ男はうそをつくのか?

山崎:もっと恐ろしいのは、女性は結果的に「うそをついている人」を選んでしまっている可能性が高い、ということです。

そもそも、高スペック(に見える)から「いいね」をするわけですよね。でも、そのスペックは、うそかもしれない。一方で、うそをつかない正直な低スペックの人は、そもそも「いいね」をもらえず、会えないわけです。

ヤマダ:うわぁ……。さらにデータを見ると、”交際人数が多い”男性ほどうそをつく割合が高いですね。

山崎:そうなんです。交際人数4人以上の男性だと、うそをつく確率は4割を超えます。2人に1人近くがなんらかのうそをついている。

交際人数4〜6人の男性のうち、プロフィールを偽った経験がないのが57.3%。裏を返すと、42.7%の男性はプロフィールを偽った経験があることになる。

ヤマダ:なぜモテる人ほどうそをつくのでしょう?

山崎:彼らは「身長や年収で多少うそをついても、会ってからのトークでクロージングできる」という自信があるんです。

ヤマダ:驚くべきことに、「ワンナイト目的」の層だと、うそをついている割合は6割近く(57.1%)に跳ね上がります。

気軽な出会い目的でアプリを利用した男性のうち、プロフィールを偽った経験がないのが42.9%。裏を返すと、57.1%の男性はプロフィールを偽った経験があることになる。

山崎:一方で、その目的のためにまじめに(うそをつかずに)やっている、つまり「素のスペック」で勝負できるハイスペックな人も4割を強いる、というのがまた皮肉ですね。

ヤマダ:なぜ女性は、こんなにもうそを見抜けないのでしょうか?

山崎:それは、女性自身がプロフィールでうそをつかないからではないでしょうか。ナレソメ総研の調査データによると、女性でうそをつく人は非常に少ない。自分がつかないから、相手もつかないだろうという性善説に基づいた思い込みがあるんです。

ヤマダ:そして、「自分だけは大丈夫」と思ってしまう。

山崎:そうです。「私は大丈夫」というバイアスが働いてしまうんです。データで現実を突きつけられても、自分ごと化できない。これが、ミスマッチが増え続ける一因ですね。

スワイプ式は、利用目的のギャップが最悪”

ヤマダ:アプリによっても、こうした「ヤリモク」の多さや「目的のギャップ」は変わるのでしょうか?

山崎:明確に変わりますね。特に危険なのは、いわゆる「スワイプ式」のアプリです。

ヤマダ:やはり、プロフィールをじっくり読まないからですか?

山崎:そのとおりです。プロフィールを読ませる設計になっているアプリはまだましですが、スワイプ式は直感でピッピッと顔写真だけで選べてしまう。だからこそ、男女間の目的のギャップが最も生まれやすいんです。

山崎:しかも、モテる男性ほどプロフィールに目がいっていない可能性が高い。だから余計に、男性と女性の間でギャップが生じやすくなるかもしれません。

アプリで「真剣な婚活」は可能なのか?

ヤマダ:ここまでの話をまとめると、男性は「会うため」ならうそもいとわない、というのがアプリの現実だということですね。

山崎:そういうことです。私も昔、アプリをやっていたときは年収300万円台だったので、「あのとき500万円って書けばよかったな」と思わなくもないですもん(笑)。どうせ証明しようがないですから。

ヤマダ:私も身長をあと3cm盛って「180cm」と書けばよかった(笑)。当日に厚底シューズでも履いていけば、バレませんしね。

山崎:そういうことを考える男性がいっぱいいる、ということです。

ヤマダ:これが、年収や独身の証明書提出が必須である「結婚相談所」との決定的な違いですね。

山崎:相談所の仕組みは、アプリのこうした欠陥を踏まえると、非常に合理的な差別化が図られていますね。中の人間がこう言うのはなんですが、よくできた仕組みだなと。

ヤマダ:では、うそもまんえんして「ヤリモク」もばっこするマッチングアプリで、女性が「真剣に結婚相手を探す方法」はあるのでしょうか?

山崎:……実は最近、メディアの取材でそれを本当によく聞かれるんですが、我々(ナレソメ予備校)のメンバーが誰も答えられないんです(笑)。

ヤマダ:ええっ、婚活の専門家集団ですら「ない」と?

山崎:導き出される結論は、ただ1つ。「(アプリに不慣れな)恋愛経験のない男性とうまくやる」。これしかありません。

ヤマダ:つまり、アプリをやり込んでおらず、うそのつき方も知らないような、ある意味「うぶ」な男性を狙うしかない、と。

山崎:そういうことです。すでにアプリのうまみを知ってしまった男性、使いこなしている男性は、もうまじめな婚活を目的にはしていません。それが、私たちがデータと実体験から至った結論です。

ヤマダ:非常に厳しい現実ですが、目を背けてはいけない事実ですね。

編集後記

今回の対談は、マッチングアプリの「不都合な真実」を浮き彫りにするものだった。

「婚活目的の男性ですら、3割がうそをつく」。この現実は、真剣に出会いを求めるユーザーにとってあまりにも残酷だ。

しかし、山崎が指摘するように、その「うそ」は「会えなければ意味がない」というアプリの構造的欠陥が生み出したものでもある。

もし、あなたが今アプリで「誠実な人」を探しているなら、狙うべきは「アプリを使いこなしているモテ男」ではない。「恋愛経験が少なく、不器用な男性」 こそが、うそのない真剣な出会いにつながる唯一の活路なのかもしれない。

ナレソメ総研

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執筆者 ナレソメ総研
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