結婚生活でのすれ違いはなぜ起こる? 夫婦で異なる「悩み」の結びつき先
結婚生活では、家事や育児、仕事、家計、親族との付き合いなど、さまざまな悩みが生まれます。
同じ家庭で生活しているのだから、夫婦は同じ問題に悩み、同じように影響を受けていると思いがちです。
しかし、悩みの内容だけでなく、その悩みが何と結びつくのかにも男女で違いがあるとしたらどうでしょうか。
ナレソメ総研では既婚男女399名を対象にアンケートを実施。
生活上のさまざまな悩みと「夫婦関係」や「家庭生活」に対する満足度や「自身の幸福度」との相関を分析しました。
本記事では、データから見えてきた男女の違いをもとに、夫婦のすれ違いがなぜ起こるのかを考え、円満な結婚生活を長く続けるためのヒントを探ります。
生活上の悩みは、男女で「結びつく先」が違う
今回の調査では、既婚の男性113名・女性286名を対象に、生活上の悩みと以下の3つの指標との関連を分析しました。
- 夫婦関係満足度:夫婦間の関係性に対する満足度
- 家庭生活満足度:パートナーや子どもなど同居する家族との生活に対する満足度
- 幸福度:個人としての幸福感に対する満足度
全て7段階評価で、4を基準として1が「非常に不満足」、7が「非常に満足」を示します。
調査の結果、男性では「家計」や「ワーク・ライフ・バランス(WLB)」の悩みが、自身の幸福度と比較的強く関連する一方、女性では「家事・育児」の悩みが、夫婦関係や家庭生活の満足度と関連していました。
つまり、同じ「結婚生活の悩み」であっても、男性と女性では、その悩みが結びつきやすい先が異なる可能性があります。
※注:「配偶者」に関する悩みは、男女とも各満足度との相関が見られました。
ただ、生活をともにする配偶者への悩みが満足度に影響しやすいこと自体は自然な結果と考えられます。そこで本記事では、「配偶者への悩み」そのものではなく、その背景にある生活上の悩みに着目して分析しています。
ここからは、男女それぞれについて詳しく見ていきます。
【男性】「家計」と「WLB」の悩みが「自分の幸福度」に関連する
男性の結婚生活において特徴的だったのが、「WLB」と「家計」の悩みが自身の幸福度と比較的強く関連していたことです。
結婚初期(1〜2年目)においては、「自身の幸福度」との相関係数が「WLB」が-0.46、「家計」は-0.42となりました。
※注: サンプル数によりますが、一般に相関係数は絶対値が0.4を超えると「一定の相関がある」とされます。
相関係数が正(+)の場合「片方が上がるともう片方も上がる」、負(-)の場合「片方が上がるともう片方が下がる」関係にあることを示します。
一方で、夫婦関係や家庭生活に対する満足度についても相関係数は-0.34〜-0.38でした。
「一定の負の相関がある」とされる-0.4のラインには届かないものの、生活の悩みと夫婦仲や家庭生活の間にも弱い関連が見られます。
また、結婚初期の男性では、4つの悩み全てにおいて、夫婦関係や家庭生活満足度以上に「自身の幸福度」との負の相関が比較的強く出る傾向が見られました。
つまり男性では、仕事と生活のバランスや家計に対する悩みが、夫婦関係そのものよりも「自分は今、幸せだと感じられているか」という個人の幸福感と比較的強く結びつきやすいことを示しています。


一方で、結婚中期(3〜9年目)になってくると、全体的に各満足度・幸福度との相関が弱くなります。
今回の調査では「一定以上の相関あり」といえる悩みは「配偶者」以外には見られない結果となりました。
「キャリア満足度」が低く、「家事・育児」の負担が大きい
では、「家計」や「WLB」に悩みを感じている男性には、どのような特徴があるのでしょうか。


「家計」および「WLB」についての悩みが強い層ではキャリア満足度と自己決定感が低く、家事・育児の負担割合が高い傾向が見られました。
特に家事・育児の負担割合(全体を10とした場合の自分の負担割合)は、以下のようになりました。
「家計」の悩みが弱い男性では4.45、強い男性では5.35
「WLB」の悩みが弱い男性では4.74、強い男性では5.32
この結果から、家計やWLBの悩みが強い男性ほど、 自分が家事・育児の半分以上を担っていると認識していることがわかります。
今回の調査では、家計やWLBについての悩みが強い男性では、キャリア満足度や自己決定感が低い傾向が見られました。
仕事と家庭の双方で「自分の望む選択ができていない」という感覚が重なっている可能性があります。
男性の幸福感を考えるうえでは、生活上の負担だけを見るのではなく、仕事や家庭で「自分が納得のいく選択をできているか」という側面にも目を向ける必要がありそうです。
【女性】「家事・育児」の悩みが夫婦関係と家庭生活の満足度に関連する
女性は、男性とは異なり、生活上の悩みは個人の幸福度との関係性が弱い傾向が見られました。


一方で特徴的だったのが、「家事・育児」の悩みと夫婦関係満足度、家庭生活満足度との関連です。 「家事・育児」の悩みは、夫婦関係満足度は-0.40(結婚初期)、家庭生活満足度は-0.45(結婚中期)と一定の相関を示しました。
少なくとも今回の調査において、女性にとって生活上の悩みは、単に「自分がどれだけ大変か」という個人の問題だけではなく、家族との関係性と結びつきやすい傾向が見られました。
男性が「自分自身の幸福」と結びつきやすい悩みを抱えているのとは対照的な結果です。
「家事・育児」の悩みは、単純な分担量だけでは捉えきれない
では、女性の「家事・育児」の悩みは、単純に家事や育児の負担が大きいことだけから生まれているのでしょうか。


今回、家事・育児の悩みが強い女性は、悩みが弱い女性と比較して、家事・育児だけでなく、家計の負担割合も高く、夫婦関係、家庭生活、そして趣味・友人関係の満足度が低い傾向が見られました。
この結果から、女性の家事・育児への悩みは、単純な「家事を何時間しているか」「育児をどれだけ担当しているか」だけではなく、生活費をどの程度負担しているのか、自分の時間をどれだけ持てているのかなど、生活全体のバランスがどのようになっているのかも関連している可能性があります。
円満な結婚生活のヒントは「悩みが結びつく先」を理解し合うこと
1つの家庭を運営していくうえで同じ出来事を経験していても、夫婦が同じところで悩んでいるとは限りません。
今回の調査で見えてきたのは、男女で生活上の悩みの内容だけでなく、その悩みと結びつきやすい満足度・幸福度にも違いがあるということです。
あくまで今回の調査で見られた傾向ですが、相手の悩みを自分の感覚だけで判断しないことの重要性を示す結果といえるでしょう。
自分にとっては小さな悩みに思えても、パートナーにとっては幸福感を揺るがす重大なストレスになっていることもあります。
「この悩みは夫婦関係の問題なのか」
「それとも本人自身の人生や幸福感に関わる問題なのか」
まずは、相手にとっての「悩みの結びつき先」を理解して、そのうえで、何を変えれば相手が少し楽になれるのかを一緒に考えることが、夫婦のすれ違いを減らす第一歩になるのではないでしょうか。
そして、実はこうした「悩みの結びつき先」は、結婚して時間がたっても同じとは限りません。
ナレソメ総研の調査では、結婚初期と3年目以降を比較すると、生活上の悩みと満足度・幸福度との結びつき方にも変化が見られました。
結婚3年目以降、夫婦の「悩み」と「幸福度」の関係はどう変わるのか。
その変化については、別記事で詳しく解説します。
<出典記入方法>
本調査結果を引用する場合、「既婚者対象:結婚生活に関する調査2026(ナレソメ総研調べ)」及び、本記事URLを必ず明記してください。
<調査方法>
インターネットによるアンケート調査
<調査期間>
2026年7月2日(木)〜7月8日(水)
<調査対象>
既婚の男女
<回収サンプル数>
399名(男性113名・女性286名)※結婚10年目以降の男性11名・女性47名を含む。
ナレソメ総研



