【独身 vs 結婚】ホントのところどうなの? データで見るメリット認識の違い
「独身と結婚、どっちが幸せ?」
誰もが一度は考えたことがあるこのテーマ。独身には独身の良さがあり、結婚には結婚の良さがある……とは言いますが、実際のところ、みんなはどう感じているのでしょうか?
今回は、既婚者と未婚者、それぞれが考える「独身のメリット」「結婚のメリット」について調査した結果をご紹介します。もしかしたら、あなたが漠然と感じているイメージとは少し違う結果が出ているかもしれません。
【調査の概要】それぞれの立場から見たメリット
今回の調査では、既婚者393名、未婚者431名の方々にご協力いただきました。
それぞれの方に、「独身のメリット」として以下の5項目、
- 経済的余裕
- 自由な交際
- 責任がない
- 仕事・趣味没頭
- 家族優先
「結婚のメリット」として以下の5項目について、
- 子ども・家族 安心感
- 社会的信用
- 周囲の期待
- 人生充実
ご自身がどの程度メリットを感じるか、1点(全く感じない)~5点(非常に強く感じる)で評価してもらいました(なお、項目については先行研究などを参考に設けました)。
ポイントは、既婚者にも未婚者にも、独身・結婚「両方」のメリットについて尋ねている点です。これにより、それぞれの立場から見たメリット認識の違いが浮き彫りになりました。
やっぱり違う? 既婚者と未婚者の「メリットの感じ方」
まず、全体の平均点(男女計)を見ていきます。

顕著なのは、既婚者と未婚者の間にはっきりとした認識の違いがあることです。多くの項目で、統計的にも意味のある差(有意差あり)が確認されました。
【既婚者】
- 結婚メリット(特に「子ども・家族 安心感」「人生充実」)を4点台後半と非常に高く評価しています。
- 独身メリット(特に「経済的余裕」「自由な交際」「責任がない」)の評価は相対的に低い傾向にあります。
【未婚者】
- 独身メリット全般を3点以上で評価しており、独身生活の良さを実感していることがわかります。
- 一方、結婚メリットについては全ての項目において既婚者より評価が低くなっています。
つまり、未婚者は独身の良さを感じつつも結婚への期待を持っている一方、既婚者は結婚生活の充実感を強く感じるあまり、独身時代のメリットはあまり意識しなくなっている、という傾向が見えてきます。
「独身メリット」はどう変わる?
次に、独身メリットの項目を詳しく見ていきます。
未婚者が特に強く感じている独身メリットは、「経済的余裕」(3.29点)、「責任がない」(3.62点)、「仕事・趣味没頭」(4.00点)でした。自分のためにお金や時間を自由に使え、責任から解放されている状態に魅力を感じていると考えられます。
ところが、既婚者になると、これらの項目の評価は軒並み下がります。「経済的余裕」は2.96点。「責任がない」は3.17点。「仕事・趣味没頭」は3.72点となります。
特に「経済的余裕」は、客観的に見れば独身の方が有利なはずですが、既婚者は「普通(3点)」程度にしか感じていません。「自由な交際」に至っては、既婚者(2.94点)は未婚者(3.16点)よりも低い評価です。
これは、結婚したら、独身時代のメリットに対する認識が変化する可能性を示唆しています。「経済的な自由がなくなるのが嫌」「責任を負いたくない」と考えて結婚に至らない場合、結婚後に認識が変わる可能性や、既婚者がそれ以上に大きなメリットを結婚生活に感じている可能性もデータからは読み取れます。
リアルな「結婚のメリット」は経験しないと分からない
では、結婚のメリットについてはどうでしょうか。
既婚者が特に高く評価しているのは「子ども・家族 安心感」(4.73点)、「人生充実」(4.61点)です。これらは未婚者も比較的高く評価していますが(それぞれ4.50点、4.22点)、既婚者の実感には及びません。そして、この差は統計的にも有意です。
一方で、「社会的信用」(既婚4.17点、未婚3.94点)や「周囲の期待」(既婚3.31点、未婚3.04点)については、既婚者と未婚者の評価の差は比較的小さく、未婚者でもある程度イメージできているようです。
ここから言えるのは、結婚の核心的なメリット、特に精神的な充足感(安心感、人生の充実)は、実際に経験してみないと本当の価値は分かりにくいのかもしれない、ということです。イメージだけで結婚のメリットを決めつけると、享受できるはずのメリットを見逃す可能性もあります。
男女別で見る、メリットの感じ方の違い
さらに、男女別に結果を見てみると、興味深い違いが見えてきます。

【男性の特徴】
- 結婚すると、独身メリットである「責任がない」「経済的余裕」を魅力に感じなくなる傾向が強いようです。独身時代の「気楽さ」を手放せないと感じている男性は、結婚後の認識変化の可能性も考慮に入れる必要があります。
- 結婚後に「社会的信用」や「周囲の期待」といった結婚メリットを強く感じるようになります。「結婚してみると(社会的な)良いことがいっぱいある」と感じやすいのは男性の方かもしれません。
- 未婚時点でも「人生充実」の評価が「自由な交際」を上回っていますが、既婚者になるとその差がさらに顕著になります。
【女性の特徴】
- 男性ほど大きな変化は見られませんが、結婚すると独身メリット「仕事・趣味没頭」への意識がやや弱まる傾向が見られます。
- 注目したいのは、結婚メリット「人生充実」の評価が既婚女性 (4.61点) で非常に高いことです。仕事や趣味の充実も感じつつ、それ以上に結婚が人生の充実に繋がっている、と感じている女性が多いのかもしれません。
結婚はイメージだけで判断してはいけない
今回の調査から、独身と結婚、それぞれのメリットの感じ方は、個人の状況(既婚か未婚か)によって大きく異なることが分かりました。
特に、結婚の「安心感」や「人生の充実」といった深いメリットは、経験してみないと実感しにくい部分が大きいようです。
また、かつて独身時代に感じていた「経済的余裕」や「自由」といったメリットは、結婚すると相対的に重要度が下がる可能性も示唆されました。
結婚について判断する際は、漠然としたイメージだけでなく、既婚者と未婚者のリアルな認識差を示すデータにも目を向けることが、より実態に近い理解につながるかもしれません。
<調査方法>
インターネットによるアンケート調査
<調査期間>
2025年5月12日(月)〜5月21日(水)
<調査対象>
成人男女
<回収サンプル数>
824名(男性221名、女性603名)
ナレソメ総研


