子育ての苦労は「幸せ」を奪う? 子ども2人で夫婦の満足度が低下

将来、「子どもは何人がいいか」とパートナーと話し合ったことがある方も多いのではないでしょうか。 「きょうだいが欲しい」「自分たちの趣味やキャリアを優先したい」など理想は多様化する一方、教育費や仕事との両立への不安から、理想の人数をためらう声も少なくありません。

特に、「2人目の壁」という言葉があるように、子どもが増えることで2人の関係性や家事分担がどう変わるのか、リアルな現実を知りたい方も多いはずです。

そこでナレソメ総研では、既婚男女399名を対象に、同居する子どもの人数と「夫婦関係」「家庭生活」「キャリア」 に対する満足度や自身の幸福度についてのアンケートを実施。

データから見えてきたのは、子どもが2人いる層で、夫婦関係や家庭生活、女性のキャリアへの満足度が低い水準となる一方、女性自身の幸福度は大きく低下していないという結果です。

子どもの人数が増えることで、生活のなかで感じる満足度と、自身の幸福度は必ずしも同じ動きをしないことがわかりました。

子ども2人の層で、夫婦関係・家庭生活の満足度が最も低い水準に

既婚者399名(男性113名・女性286名)を対象に、同居する子どもの有無(人数)によって「夫婦関係満足度」「家庭生活満足度(パートナー・子どもなど同居する家族との生活に対する満足度)」「自身の幸福度」にどのような違いが見られるのかを調査・分析しました。
※満足度・幸福度は1〜7の7段階評価。4を基準として1が非常に不満、7が非常に満足を示す。

その結果、「同居する子どもが2人」いる層では、男女ともに「夫婦関係満足度」と「家庭生活満足度」が最も低い水準でした。

特に顕著な差が見られたのが「夫婦関係満足度」です。

「子どもがいない」層では男女ともに「6点台」と高い満足度を示していますが、1人いる層で少し下がり、2人いる層では男女ともに「5.7点台」まで低下しています。

子どもが増えるほど「夫婦が負担する領域」が変わっていく

現代では共働き家庭が増加し、「夫婦で家事・育児を分担しよう」と意識する夫婦も増えています。
しかし実際のデータを比較すると、子どもの人数が増えるにつれて、男性は生活費、女性は家事・育児をより多く担う傾向が見られました。
結果として、子どもの人数が多い層ほど、夫婦間で負担する領域が分化していく傾向がうかがえます

男性:生活費の負担割合スコアが「いない(6.25)」から「2人(7.58)」へと上昇する一方で、家事・育児の負担割合スコアは「いない(4.90)」から「2人(2.33)」へと半減します。

女性:生活費の負担割合スコアが「いない(3.62)」から「 2人(2.40)」へ下がる一方で、家事・育児の負担割合スコアは「いない(5.66)」「2人(6.91)」と高水準を維持します。

※負担割合は0〜10で、全体のなかで自分が負担している割合を評価。

女性のキャリア満足度は「子ども2人」の層が最低値に

女性の「キャリア満足度」は「子どもが2人」の層で大きく低下しました。

女性のキャリア満足度の推移を見ると、子どもが「いない(5.09)」から「1人(5.01)」まではほぼ横ばいですが、「2人」の層では(4.21)へと約16%低い数値となっています。

子どもが2人いる層では女性の家事・育児の負担割合が高いという先ほどの調査結果を踏まえると、仕事と家庭の両立における時間的・精神的な負荷などが、キャリア満足度と関係している可能性が考えられます。

生活への満足度が下がっても、女性の「幸福度」は大きく低下しない

ここまでのデータを見ると、子どもの人数が増えることに対して慎重な印象を受けるかもしれません。

ところが、女性自身の「個人としての幸福度」は子どもの人数による大きな低下が見られませんでした。
夫婦関係やキャリアに対する満足度とは異なる動きを示した点が特徴的です。

夫婦関係の満足度が「子ども2人」の層で下がるのに対し、女性の幸福度は「いない(6.21)」「1人(6.34)」「2人(6.26)」と、安定した推移を見せています。

生活上の負荷が増加し夫婦間の調整事項が増える一方で、子どもを育てるという親としての役割を果たすことや、子どもとの関わり、子どもの存在から得られる充足感が、個人としての幸福感を支えている可能性が考えられます。

「子どもの育成」自体に価値をみいだす心理

夫婦関係やキャリアにおける「満足度」が低下する一方で、女性は「幸福度」が維持されるのはなぜでしょうか。
1つの可能性として考えられるのが、心理学で用いられる「ジェネラティビティ(次世代を育てることへの関心や貢献)」という概念です。人は年齢を重ねるにつれて、自分自身を満たすことだけでなく「次の世代を育てていくこと」に価値や充実感をみいだす心理が高まるとされています。

実際、中年期(40〜64歳)の夫婦を対象とした研究(伊藤・相良, 2017)でも、この気持ちの高まりが個人の幸福感と強く結びついていることが示されています(※)

子育てに伴う家事・育児や仕事との両立など、日々の負担が満足感を低下させやすい側面は確かにあるのでしょう。
一方、こうした先行研究を踏まえると、たとえ子育てによって日々の負担や夫婦間の調整事項が増えても、子どもを育てることそのものに感じる価値や充実感が、個人の幸福感と関係しているのかもしれません。

※出典:伊藤裕子・相良順子「中年期の結婚コミットメントがジェネラティビティと主観的幸福感に及ぼす影響――ジェンダー差を中心に」/パーソナリティ研究 第26巻第2号(J-STAGE)

<出典記入方法>
本調査結果を引用する場合、「既婚者対象:結婚生活に関する調査2026(ナレソメ総研調べ)」及び、本記事URLを必ず明記してください。

<調査方法>
インターネットによるアンケート調査
<調査期間>
2026年7月2日(木)〜7月8日(水)
<調査対象>
既婚の男女
<回収サンプル数>
399名(男性113名・女性286名)

ナレソメ総研

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執筆者 ナレソメ総研
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