結婚するカップルは作画が同じってホント!?
ちまたで、まことしやかにささやかれる“恋愛雑学”や“テクニック”。「それって本当に正しいの?」「ただの思い込みじゃない?」と気になったことはありませんか?
この企画では、そんな恋愛にまつわるうわさや通説を、ナレソメ予備校の恋愛心理学者・山崎独自の視点と科学的なデータをもとに徹底考察し、解説します。
恋愛心理学者・山崎
富山県出身。筑波大学卒業。在学中から「恋愛心理学」を研究し、特に遠距離恋愛や関係継続、自己肯定感の分野を得意とする。認定心理士・メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種を保持し、恋愛を起点としたQOL向上のノウハウを武器に、教育機関や企業の人事領域で講演・相談支援を行うなど幅広く活動。自身も2度の遠距離恋愛や婚約・婚約破棄を経験し、その学びを生かして年上シングルマザーとの年の差婚を果たす。現在は幸せな結婚生活を送りながら、恋愛心理学の知見を社会に還元し続けている。
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結婚するカップルは作画が同じ(顔が似ている)ってホント!?
芸能人の結婚発表があると、SNSなどで「顔が似ている!」「作画が同じ!」と話題になることがありますよね。
《なんか顔の系統が似てる。作画同じだよね》
《作画が同じカップルは続くし結婚する。結婚したい人は自分と顔が似てる人を探すのが早いかも》
顔が似ている人はひかれ合うのか? 作画が同じ人とは関係が長続きし、結婚する傾向にあるのか? 恋愛心理学者・山崎がエビデンスをもとに語ります。

【考察サマリー】結論から言うと「懐疑的」。ただし“目の形”は影響あり
「結婚するカップルは作画が同じ(顔が似ている)」という説について、私は「懐疑的である」と分析します。結婚におけるパートナー選びでは、客観的な顔の類似度よりも重要なことがあるからです。
確かに「自分と似た顔の相手を魅力的だと評価しやすい」という研究はあります(※1)。私たち人間は、自分の顔や家族の顔など見慣れたものに対して安心感や親近感を抱きやすいということがわかっています。
だからといって、皆が皆、自分の顔と似ているから相手を好きになるわけではなく、全く違うタイプの顔にひかれるケースも多々あります。顔の類似性だけで恋愛や結婚がうまくいくわけではないため、一概に本当とは言いきれません。
ただし、興味深い研究結果として、顔全体の造形よりも「目の形」の類似度が関係性に影響を与えることがわかっています。
自分の目と似た形をしている相手を見たとき、相手のちょっとした表情の変化を「ポジティブな感情だ」と評価しやすくなる傾向があります。目が似ていることで相手の反応を好意的に受け取りやすくなり、結果として関係が構築されやすくなるという現象は確認されています(※2)。
<目が似ている芸能人の例>
・三浦翔平 × 桐谷美玲
・EXILE TAKAHIRO × 武井咲
・神尾楓珠 × 平手友梨奈
上に挙げたような芸能人夫婦などを思い浮かべると、「確かに目の形が似ているかも」という気持ちになりそうですね。
ただし、この研究では「目が似ている」と一口に言っても、二重か一重か、タレ目やつり目かなど、さまざまな要素が含まれており、似ていると感じる基準に個人差があることには留意が必要です。
このように、「目が似ているとポジティブな感情を抱きやすい」といった要素はあるものの、「顔が似ているから結婚に至る」とまで一般化するには根拠が弱く、この説については「懐疑的である」という解釈が妥当と言えます。

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※1 出典:富原 一哉・橋口 拓類(2021)「似顔選好に対する自己と親との類似性の影響」
※2 出典:原田 晋吾・杉浦 彰彦(2018)「顔の物理的特徴量による顔選好判断における自己顔の影響」
「最初から似ている」「だんだん似てくる」のどちらもある
では、カップルは最初から顔が似ているのでしょうか。それとも、一緒に過ごすうちに似てくるのでしょうか。
結論としては、「どちらの要素もある」と言えます。
最初から似ていると親密になりやすい
出会った当初から顔の系統や雰囲気が似ているカップルは、親密になりやすく関係が深まりやすい可能性があります。
なぜなら、人は「自分と近い」「自分と似ている」と感じる相手に対して、親しさやつながり(親密性)を感じやすいからです。
心理学者のスタンバーグが提唱した「愛の三角理論」でも、愛を育む3つの要素の1つとしてこの「親密性」が挙げられています(※3)。
例えば、自分と顔のパーツや雰囲気が似ている人に出会ったとき、初対面でもどこかホッとしたり、警戒心が和らいだりした経験はないでしょうか? このように、似ていること自体が、興味や関心、安心感の材料になることがあります。
したがって、出会った当初から顔が似ている2人、特に目が似ているもの同士(※2)は、心理的な距離を縮めやすく、親密になりやすい傾向にあると考えられます。

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※3 出典:Sternberg, R. J. (2006). A duplex theory of love. In. R. J. Sternberg & K. Weis (Eds.), The new psychology of love. New Haven, CT: Yale University Press. pp. 184–199.
一緒に過ごすうちに「表情」が似てくることもある
一方で、もともと顔の造形が似ていなくても、長く一緒に過ごすうちに顔(表情)が似てくるということも充分にあり得ます。
その理由は、人間の笑顔や笑い方が経験学習によって形成されるものだからです。
赤ちゃんが親の表情を見て学ぶように、私たちも身近なパートナーの表情を無意識のうちに観察し、学んでいます。長く一緒に過ごして相手の笑顔を毎日見ていると、表情の作り方や顔の筋肉の動かし方が自然と似てきます。
SNSで「作画が同じ!」とバズる夫婦の写真も、真顔ではなく笑顔の写真であることがほとんどですよね。これは元の顔の造形が同じというより、「笑ったときの表情がそっくり」になっているからです。
<表情が似ている芸能人の例>
・大谷翔平 × 田中真美子
・杉浦太陽 × 辻希美
・中尾明慶 × 仲里依紗
つまり、「一緒にいるうちに顔が似てきた」というのは、日々のコミュニケーションを通じてお互いの表情を学習し合った結果と言えるのです。

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本当に大切なのは「私たちは似ていそう」という思い込み
パートナー選びにおいて本当に重要なのは、客観的に顔の造形が似ていることだけではなく、「私たち、似ていそう」と主観的に思い込む「仮想類似性(かそうるいじせい)」です。
心理学において、単なる「類似性」と「仮想類似性」は区別して考えられます。これを氷山モデルに例えて説明しましょう。

まず、「類似性」とは客観的に一致している共通点のことで、氷山の水面に出ている表面部分です。例えば、以下のようなものが「類似性」に当たります。
- 笑いのツボが同じ:同じテレビ番組や出来事で一緒に笑える
- 金銭感覚が近い:お金をかけるポイントや節約したいポイントが合う
- 食の好みが合う:「おいしい」と感じるものや味付けの好みが似ている
- 休日の過ごし方の理想が似ている:のんびり派かアクティブ派かなど
- 怒りや悲しみを感じるポイントが似ている:大切にしている価値観が近い
一方で、「仮想類似性」とは、氷山の水面下に隠れている見えない部分での“似ている感”(主観的な思い込み)のことです。実際の事実に関わらず、以下のように「相手も自分と同じだろう」と想像して、相手との間に共通点を見いだす状態を指します。
- テレビを見ているとき: 自分が1人でテレビを見ておもしろいと感じたとき、「パートナーもきっとここで笑いそうだな」と感じる。
- 休日の予定を立てるとき: 週末に何をしようか考えたとき、「パートナーもたぶん『山登り』って言いそうだな」と想像する。
- おいしいものを食べたとき: 1人でおいしい食事をしたとき、「パートナーもこれ好きだろうな」と相手の喜ぶ顔を想像する。
この水面下の潜在的な「似ていそうだと感じること」、つまり仮想類似性こそが、カップルや夫婦の満足度を大きく上げる傾向にあると言われています。
それは、「この人は自分と同じように感じてくれそうだ」という感覚が、深い安心感や「ありのままで受け入れられている」という肯定感につながるからです。
また、似ていると思い込むことで「私たちは1つのチームだ」という心理的な一体感が生まれ、少々の意見の対立も乗り越えやすくなるというメリットもあります。
そのため、パートナー選びにおいては、顔や趣味といった表面的な共通点を探すよりも、お互いに「目に見えない部分が似ている」と思えるような相手を選ぶことが大切だと言えます。

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婚活では顔の類似度より「感情の共有」を重視しよう
ここまでの内容をまとめると、出会った当初から顔が似ているカップルは親密になりやすく、いわば「スタートダッシュが有利」な状態です。
一方、最初は似ていないカップルでも、一緒に過ごす中で表情が似てくることも多いため「関係の質で後からいくらでも逆転可能」だと言えます。
ですから、もしあなたが「パートナー選びで本当に重視すべきことは何だろう」と迷っているなら、顔の造形が似ているかどうかよりも、感情の共有ができる相手かどうかを意識してみてください。
前章でお伝えしたとおり、結婚後の満足度に直結するのは、客観的な顔の類似度よりも「私たち、似ているね」と錯覚し合える仮想類似性だからです。
そして、その仮想類似性を高めるのに最も効果的なのが、日々の関わりの中で感情を共有することなのです。
私たちが一生のうちに出会える人の数は限られています。そのため、似ている芸能人夫婦のイメージに引っ張られて顔の類似度だけで相手を絞り込んでしまい、せっかくのチャンスを逃すのはもったいないですよね。
仮想類似性を高めるパートナー選びや振る舞いとして、以下を意識してみてください。
- 女性へのアドバイス: 自分と似ている顔や好みの顔の人を探すよりも「自分と同じタイミングで笑ってくれる表情豊かな人」を選ぶのがおすすめです。一緒に笑い合える相手とは、自然と仮想類似性が高まりやすくなります。
- 男性へのアドバイス: 感情表現を豊かにし、一緒にいるときにたくさん笑顔を見せることを意識しましょう。男性は感情表出が少なく表情が硬い傾向があるため、笑顔で感情を共有する姿勢を見せることにより、女性に仮想類似性を感じさせやすくなります。
パートナーを探すときに、「作画が同じこと」「顔が似ていること」を過剰に意識する必要はありません。それよりも、「一緒に笑ってくれるか」「一緒に悲しんでくれるか」という感情の共有を通して、お互いに似ていると思える内面的なつながりを重視してみましょう。

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まとめ:“作画が同じ”ことよりも「同じ表情で笑い合える関係」を
お似合いと言われる芸能人夫婦は、確かに顔が似ていることもありますが、それはあくまで要素の1つです。
似ている夫婦ばかりが目につくのは、当たった占いだけ覚えているような確証バイアス(自分の先入観や仮説を裏付ける情報ばかりを集め、反対の情報を無視・軽視する心理傾向)にすぎません。実際には、顔が似ていない仲良し夫婦もたくさんいます。
顔の作画が同じかどうかにこだわりすぎず、一緒に過ごす中で「同じ表情で笑い合える関係」を築いていきましょう。

ナレソメ総研




