マイナスからプラスへの振り幅を作ると強烈な印象を残せるってホント!?

ちまたで、まことしやかにささやかれる“恋愛雑学”や“テクニック”。「それって本当に正しいの?」「ただの思い込みじゃない?」と気になったことはありませんか?

この企画では、そんな恋愛にまつわるうわさや通説を、ナレソメ予備校恋愛心理学者・山崎独自の視点と科学的なデータをもとに徹底考察し、解説します。

恋愛心理学者・山崎
富山県出身。筑波大学卒業。在学中から「恋愛心理学」を研究し、特に遠距離恋愛や関係継続、自己肯定感の分野を得意とする。認定心理士・メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種を保持し、恋愛を起点としたQOL向上のノウハウを武器に、教育機関や企業の人事領域で講演・相談支援を行うなど幅広く活動。自身も2度の遠距離恋愛や婚約・婚約破棄を経験し、その学びを生かして年上シングルマザーとの年の差婚を果たす。現在は幸せな結婚生活を送りながら、恋愛心理学の知見を社会に還元し続けている。
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マイナスからプラスへの振り幅を作ると強烈な印象を残せるってホント!?

最初の印象が良くなくても、後からいい面を見ると好感度が爆上がりしたり、印象に強く残ったりするとよく聞きますよね。この説は果たして本当なのでしょうか? 恋愛心理学者・山崎がエビデンスをもとに語ります。

【考察サマリー】強い印象を残すには、完璧さよりも「マイナスからの反転」がカギ

今回のテーマである、マイナスからプラスへの振り幅を作ると強烈な印象を残せるという説について、私は「本当」だと分析します。

人は一貫した高評価よりも、評価が「マイナスの状態からプラスへ反転した瞬間」に最も強いインパクトと魅力を感じるからです。
特に「落としてから上げる」ことで好感度は最大化し、逆に「上げてから落とす」と評価は一気に急落すると言われています。

心理学では「ゲイン・ロス効果(最初にマイナスの印象を与え、後からプラスの印象を与えることで、プラスの面をより強調させる心理効果)」と言われますが、評価の振り幅そのものが心理的な刺激となるのです(※)

ここでよく混同されがちなのが「ギャップ萌え」ですが、これらは似て非なるものです。

  • ギャップ萌え: 「クールだと思っていたけど、実はかわいいところがある」といった、キャラクターの意外性など主観的な好みの変化
  • ゲイン・ロス効果: 「マイナス評価からプラスへ転じる」といった、評価の振り幅そのものがもたらす心理的インパクト

単なる意外性ではなく、「マイナス評価(ロス)」という助走があるからこそ、その後の「プラス評価(ゲイン)」が最大化されるのです。

例えば、不良少年が更生して人助けをしていたら「すごくいい人」と思われやすいのは、評価がマイナスからプラスへ大きく転じるからです。
逆に、初対面で「完璧に仕事ができる人」だと思っていたのに、後から「実はだらしない」とわかると、普通の人以上にがっかりされてしまいますよね。
これが「上げて落とす」の怖さです。

恋愛・婚活においても、最初から100点満点の自分を演じて「がっかり(ロス)」を招くより、あえて隙やネガティブ要素を先出しして期待値を調整し、後から少しずつ良い面を見せて「加点(ゲイン)」を積み重ねる方が相手をがっかりさせず、良い印象を与えやすくなると考えられます。

例えば、

  • お見合い写真で見たよりも、実際に会ってみたほうが魅力的だった
  • 不器用と言いつつ、デートで一生懸命リードしようとしている

といった要素が期待以上のゲインとなり、「意外と良いなぁ」とプラスの印象が残りやすくなるのです。

つまり、恋愛・婚活で本当に強いのは「最初から完璧な人」ではなく、「後から魅力が見つかる人」。

ただし、「後から上げればいい」と考えて、わざと印象を下げる必要はありません。意図的なマイナス演出は、魅力が伝わる前に関係が終わってしまうリスクもあるからです。

大切なのは、完璧に見せようとしすぎないこと。
「ちゃんとしなきゃ」とこれまで頑張ってきた人ほど、隙を見せるのは勇気がいりますよね。でも、少し不器用でも、隙があっても、「素の自分」を見せることを怖がりすぎなくていいのです。

※出典:Aronson, E., & Linder, D. (1965). Gain and loss of esteem as determinants of interpersonal attractiveness. Journal of Experimental Social Psychology, Vol. 1, pp.156-171.

※画像はイメージです

相手を困らせない「ネガ出し」で、あとでがっかりされるのを防ぐ

「素の自分を出したら、嫌われてしまうのではないか……」

素の自分を出して嫌われるのは、誰だって怖いものですよね。
だからこそ、自分が欠点だと思っている部分を隠し、世間一般的に「ちゃんとした人」に見られようとして、嫌われないための優等生を演じてしまう。
恋愛・婚活でうまくいかない人ほど、後から自滅につながりかねない、こんな「がっかりトラップ」を自分で埋めがちです。

結婚を見据えた交際では、いつか必ず「素の自分」がバレるときが来ます。
そして、その後になって発生するマイナスのギャップこそが、破局の原因になりうるのです。

上述したとおり、ポジティブな印象からネガティブに落としてしまうと、最初からネガティブな印象を与えていた場合よりも相手を強くがっかりさせる可能性があります。
さらに、関係が深まってから突然ネガティブな面を見せられた相手は、「えっ、急にそんなことを言われても……どう対応したらいいかわからない」と戸惑ってしまいます。

こうした相手への負の影響はもちろんですが、何よりあなた自身の心にかかる負担も無視できません。
一生自分を偽り続けるのは、あなた自身にとってもすごく苦しいことですし、いつか限界が来てしまいますよね。
そこで重要なのが、相手を困惑させない「ネガ出し」です。

伝えるときのポイントは、自分のネガティブな要素を伝える際に、「相手がどうすればよいか(どう振る舞えばいいか)」をセットで提示することです。

NG例(曖昧で相手を困らせてしまうネガ出し)とOK例(相手を困らせないネガ出し)をご紹介します。

  • 例1:食事・ライフスタイル
    • NG例: 「私、実はすごくズボラなんです」
      → これだけ言われても、相手は「あ、そうなんだ……(で、俺はどうすればいいの?)」と困惑し、ただマイナスの印象だけが残る
    • OK例: 「実は私、平日は仕事を頑張りすぎて、休日になると電池が切れたみたいにダラダラしちゃうんです。だから、休日の食事はウーバーイーツで頼んだりして、一緒にのんびり過ごせるとすごくうれしいです
  • 例2:趣味・時間の使い方
    • NG例: 「実はかなりのインドア派で、ゲームばっかりしてるんです」
      → 相手に「自分との時間は優先してくれないのかな?」という不安だけを与えてしまう
    • OK例: 「実は仕事が忙しくなると、休日の半日くらいは部屋にこもってアニメやゲームをしていたいタイプなんです。その時間は、お互い自由な時間を過ごして、その後で一緒においしいものを食べに行けたりすると最高だなって思っています」
  • 例3:家事・性格
    • NG例: 「実は私、部屋の片付けが苦手で……」
      → 「だらしない人」というラベルを貼られて終わってしまう
    • OK例
      「実はちょっとズボラなところがあって、忙しくなると部屋が散らかりがちなんです。もし一緒に過ごすことになったら、完璧を求めずに『週末にまとめて片付けよう』くらいのスタンスで許してくれると助かります

このように、「自分にはこういうところがある。だからあなたにはこうしてほしい」という明確なToDoを添えましょう
自分をさらけ出した結果、もし嫌われてしまったら……と考えると、とても勇気がいりますよね。

ですが、こうして具体的なリクエストを添えて素を出すことで、相手は「自分はその条件を飲めるかどうか」を判断できるようになります。
実際にそれができるかどうかを決めるのは相手ですが、判断材料を明確に渡すこと自体がプラスの印象につながります

逆に、相手にどうしてほしいかが曖昧なままネガティブな情報だけを出すのは、相手によけいな気を遣わせることになります。
相手を困らせないネガ出しは、後々の致命的なロスを防ぐだけでなく、深い信頼関係を築くための期待値調整として機能するのです。

※画像はイメージです

嫌われることよりも怖いのは「誰の印象にも残らないこと」

それでもやっぱり「素を出して嫌われたらどうしよう……」と不安になる気持ち、よくわかります。嫌われたくないのは、相手と真剣に向き合おうとしている証拠です。

しかし、そもそも私たちは、自分自身に対して少し自意識過剰なところがあります
他人は自分が思うほどあなたの細かな部分を気にしていませんし、たとえ一度嫌われたとしても、その後の行動しだいで評価が180度ひっくり返ることだって多々あります。

また、私たち人間は、「好き」という感情にも「嫌い」という感情にも、同じくらい強いエネルギーを使います。つまり、相手があなたに対して「嫌い」という感情を抱いている間は、まだあなたに強い関心があるということ

もちろん、相手を傷つけたり、不快にさせたりしていいわけではありません。
ただ、嫌われる可能性を恐れて自分を偽り、誰にとっても「無難な人」のまま終わってしまうのは、結果的に「誰にも選ばれない」ことにつながります。

嫌われる隙がある人は、裏を返せば愛されるチャンスがある人です。
勇気を持って素の自分を出し、相手の「感情の数直線(好きー嫌い)」の上に乗ること。 それこそが、本物のパートナーシップへと続く第一歩なのです。

まとめ:嫌われるのが怖いのは、縁を大切にしている証。本当の自分で幸せをつかもう

婚活は、一生モノのパートナーを探す旅です。

嫌われるのが怖くて、優等生的な自分を演じたくなる気持ちは、それだけお相手との縁を大切にしたいと思っている証拠でもあります。

けれど、最初に取りつくろった自分を演じて、後から「いつか、がっかりされるのではないか」と不安を抱え続けるのは、あなた自身にとってもすごく苦しいことですよね。

ゲイン・ロス効果を味方につけることは、決して恋愛の駆け引きをすることではありません。「まずは素の小さな欠点も見せて、会うたびにあなたの新しい魅力を知ってもらう」という、自分自身への優しさと余裕を持つことです。

勇気を出して隙やネガティブな面も見せた誠実な一面を含めて、素のあなたをおもしろいと言ってくれる人、好きになってくれる人は必ずいます。
本当のあなたの姿で愛される幸せをつかむために、まずは小さな一歩を踏み出してみましょう。

ナレソメ総研

山崎先生の恋愛・婚活お悩み相談室

恋愛や婚活、そして結婚後のパートナーシップ。人生のステージごとに尽きることのない、多種多様なお悩み。本連載では、そんな恋愛・婚活・パートナーシップに関するお悩みについて、ナレソメ予備校の恋愛心理学者・山崎独自の視点と科学的なデータをもとに解決策を提示します。

山崎先生、コレってホントですか!?

恋愛にまつわるうわさや通説を、ナレソメ予備校の恋愛心理学者・山崎独自の視点と科学的なデータをもとに徹底考察し、解説します。

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執筆者 ナレソメ総研
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