『ガールオアレディ3』オダミユの帰国が映した、モテるのに結婚相手に選ばれない理由
先日、最終話が配信されたABEMA婚活リアリティーショー『ガールオアレディ3(Girl or Lady Season3)』。本シリーズでひときわ存在感を放ったのが、Girlのオダミユではないだろうか。
積極的なアプローチを見せながらも、思いを寄せるレイに選ばれず、第8話で帰国を決めたオダミユ。恋のきっかけをつくるのがうまく、男性を惹きつける魅力も充分にある彼女は、なぜ結婚相手として選ばれなかったのか――。
ナレソメ予備校の恋愛心理学者・山崎が、オダミユの恋から見えたものを語る。

恋愛心理学者・山崎
富山県出身。筑波大学卒業。在学中から「恋愛心理学」を研究し、特に遠距離恋愛や関係継続、自己肯定感の分野を得意とする。認定心理士・メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種を保持し、恋愛を起点としたQOL向上のノウハウを武器に、教育機関や企業の人事領域で講演・相談支援を行うなど幅広く活動。自身も2度の遠距離恋愛や婚約・婚約破棄を経験し、その学びを生かして年上シングルマザーとの年の差婚を果たす。現在は幸せな結婚生活を送りながら、恋愛心理学の知見を社会に還元し続けている。
オダミユは、恋のきっかけをつくるのがうまい
まず大前提として、オダミユはかなりモテる女性だと思います。
自分から男性に近づき、自然に打ち解けられる。表情が豊かで、よく笑い、相手に「自分と一緒にいて楽しんでくれている」と感じさせることもできる。距離の詰め方がうまく、男性が多少受け身でも関係を前に進められます。
レイと早い段階でツーショットを撮り、待ち受けにした行動にも、その強みが表れていました。恋愛では、何もしないまま機会を逃してしまう人も少なくありません。その点、オダミユには、自分からきっかけをつくり、相手の懐に入っていく行動力がある。自分の魅せ方をよく理解しているうえ、顔立ちやスタイルも含めて、彼女のようなタイプが強く刺さる男性も多いでしょう。

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だから、オダミユの問題は「モテないこと」ではありません。恋の始まりではこれだけ人を惹きつけられるのに、なぜ最後には選ばれないのか。この一点に尽きます。
ここからは、なぜ選ばれなかったのか、番組内での彼女の言動や、男女の心理的なギャップを踏まえながら考察します。
「自分はどうしたいか」より、相手の攻略法を探していた
番組を見ていて私が気になったのは、オダミユが「相手の情報をもっと知りたい」と繰り返していたことです。
相手を知ろうとすること自体は、もちろん大切です。ただ、その理由として「相手によって戦略が変わるから」という趣旨の言葉が出ていました。そこに、オダミユの恋愛の難しさが表れていたように思います。
相手を1人の人間として知りたいというより、相手に選ばれるための正解を知りたい。好きなものや好みを把握し、それに合う自分を見せようとする。相手と向き合うというより、一歩引いたところからゲームの攻略法を考えているように見えてしまうのです。

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もちろん、本人に「相手を攻略してやろう」という悪意があるわけではないでしょう。選ばれたい気持ちが強く、相手を喜ばせようと頑張った結果だと思います。
しかし、恋愛や結婚は、1人が正解らしい振る舞いを続ければ成立するゲームではありません。詳しくは後ほどお伝えしますが、自分の好みや譲れないこと、望んでいる関係を相手に伝え、その違いも含めて話し合うことで、初めて2人の関係がつくられます。
相手の正解ばかり探していると、目の前の男性が接しているのは、オダミユ本人ではなく「その男性向けに調整されたオダミユ」になってしまいます。距離は縮まっているように見えても、相手が彼女自身を理解する機会は、かえって少なくなるのです。
良かれと思って頑張る・尽くす姿勢が、結婚生活ではかえってプレッシャーになる
オダミユとミユのレイに対する接し方は、恋愛相手と結婚相手の違いを考えるうえで、対照的に映りました。
前提として、レイの意中の相手はキララでしたが、1回目に同棲を希望したのはオダミユとミユでした。男性側は断れないルールのなか、結果としてミユを選ぶ形になった経緯があります。そのため、ここでは「レイが結婚相手としてミユを高く評価した」ということではなく、あくまで結婚生活における“気楽さ”の違いを考えるために2人を比較します。
ミユには、自分なりのペースがあるように見えました。同棲する部屋でレイを迎えたときも、過剰に喜んで特別な雰囲気をつくろうとするのではなく、「お疲れ」という自然な調子で接していた。実際、レイもミユの前では、気を張らずにソファでくつろいでいました。
一方、オダミユは「待ってたよ♡」という雰囲気でかわいらしく迎え、2人の時間をよいものにしようと一生懸命尽くすタイプです。それは週に1度のデートなら、とても魅力的でしょう。しかし、毎日一緒に暮らす結婚生活を考えたとき、男性によっては「自分もずっと、この期待に応え続けなければならないのではないか」と感じることがあります。
結婚相手として選ばれるうえでは、毎回楽しませてくれること以上に、何も起きていない時間を気楽に過ごせることが大切です。疲れてだらけている日も、無理に盛り上げなくていい。そう思える相手のほうが、結婚後の暮らしを思い描きやすいのです。
相手に合わせすぎると、男性には重荷になることもある
もう1つ印象的だったのが、オダミユが髪色を変えた場面です。
レイが明るい髪色を好むと知り、その好みに寄せて髪を染める。好きな人の好みに合わせる行動は、本人にとって純粋な愛情表現だったのだと思います。ところが、オダミユが「なんか気づくことない?」と問いかけても、レイはその変化に触れませんでした。
恋愛の段階なら、自分の好みに合わせてもらうことをうれしく感じる男性もいるでしょう。ただ、結婚を意識したときには、受け止められ方が変わります。
結婚を意識する男性のなかには、「自分はこの人を幸せにできるのだろうか」と不安になる人もいます。自分が何かを言うたびに、女性がそれに合わせて髪形や服装、行動を変えていく。そんな状態が続けば、「この人の人生や幸せの責任を、全て自分が背負わなければならないのではないか」と感じることもあるでしょう。
私なら、むしろ「あなたは明るい髪が好きかもしれないけれど、私はこの髪が好き」と言える女性に安心感を覚えます。相手の好みを無視するという意味ではありません。自分の好みや判断軸を持っていれば、迷ったり問題が生じた際にも対等に話し合えるからです。
実は結婚相手には「自立」を求めている男性は多いです。ここでいう自立とは、何でも1人でできることではありません。自分で自分を楽しませることができ、自分の幸せを相手1人に預けないことです。そういう相手であれば、男性側も「この人をずっと楽しませなければ」と身構えず、2人で家庭をつくっていけます。
こびる関係では、対等な2人になりにくい
相手に一方的に合わせ続ける関係には、どうしても上下が生まれてしまいます。
片方が気に入られようとし、もう片方が評価する。片方が相手の望む自分を演じ、もう片方がそれを受け取る。これでは、2人が対等に向き合うのは難しくなります。
結婚生活では、かわいく甘えられることも1つの魅力です。ただ、それだけでは一緒に暮らせません。意見が違うときに「私はこう思う」と言えること。嫌なことには嫌だと言えること。疲れているときに、無理に相手を楽しませなくてもいいこと。
そうやってお互いが素を出せるから、気楽に過ごせます。

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こびている間は、自分の素を見せられません。そして相手も、「この人の期待を裏切ってはいけない」と感じ、素を出しにくくなります。
オダミユは、相手を喜ばせようと、さまざまな工夫ができる人です。ただ、結婚で必要なのは、一方的に尽くすことではなく、横に並んで暮らすことです。その魅力を結婚につなげるには、相手に合わせる力よりも「自己開示」が必要だったのだと思います。
第8話で明らかになった「表面だけで甘えていた」という苦しさ
第8話では、それまで見えにくかったオダミユの内面が、本人の口から語られました。
オダミユは、レイへの思いを抱えたまま、ショウヤとの同棲を始めます。そこでショウヤは、オダミユに「レイのこれまでの人生の歩みについて聞いたことがあるか」「表面的な姿だけでなく、どう生きてきたかを知っているか」と問いかけました。
これは、とても本質的な指摘です。
相手の好きな髪色を知ることと、相手がどんな人生を送り、何に苦しみ、どんな価値観を持っているかを知ることは違います。相手を振り向かせるための情報を集めることと、1人の人間として理解することも違います。
その会話の中で、オダミユは、幼いころから人の顔色をうかがい、怒られないように「いい子」を演じてきたため、「本当の自分」がわからなくなっていると打ち明けました。精神的には誰かに甘えたいのに、できるのは表面的にかわいく甘えることだけ。そのため、中身がない女性だと思われてしまうのではないかと悩んでいたのです。
ここまで聞くと、オダミユの行動は単なる計算高さではないことがわかります。本当の自分を見せて拒絶されるのが怖いから、相手に好かれそうな自分をつくる。そうして距離を縮めても、本音では相手と向き合えない。その苦しさが、彼女の恋愛にはあったのでしょう。
レイも最後の対話で、オダミユの気持ちは伝わっていた一方、「期待に応えなければ」という感覚が強くなり、それは自分の恋愛ではないと感じていたことを明かしました。
私が第7話までを見て感じていた「相手の期待をつくりすぎると、男性には責任としてのしかかる」という重さを、レイも実際に感じていたのでしょう。
ただ、この第8話で本当に価値があるのは、レイの本音以上に、オダミユ自身が、自分の恋愛で何が起きていたのかを言葉にできたことです。
帰国は「敗北」ではなく、追いかける恋を止めた最初の一歩
レイから「ずっと妹みたいに見えていた」と告げられたオダミユは、最後に2人で向き合い、自分の気持ちがプレッシャーや負担を与えていたことを謝りました。そして「ここにいても、またプレッシャーをかけてしまう」と考え、自ら旅を終えて帰国する決断をします。
結果だけを見れば、オダミユはレイに選ばれませんでした。しかし、私はこの帰国を単なる敗北とは思いません。

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番組では、それまで相手の好みに合わせ、かわいく振る舞うことで関係を前に進めようとしてきました。しかし、最後はレイの気持ちと、自分がしてきたことを正面から受け止め、追い続けることをやめました。
「自分の好きという気持ちばかりに集中し、相手を追い詰めてしまった」と、自分の恋愛パターンにも気づいています。
選ばれなかった理由がわからないまま終わるのと、自分が繰り返してきたことに気づいて終わるのとでは、その後の恋愛が全く違います。今回の旅で恋は実りませんでしたが、次の恋愛を変えるための大切な気づきを得られたのではないでしょうか。
「選ばれる女」になる前に、自分の軸で相手を選べるようになる
オダミユのように、恋愛ではモテるのに、追いかけた相手から最後に選ばれない女性はいます。
そういう人が次にするべきことは、新しい恋愛テクニックを覚えることではありません。まず、これまでの恋愛を棚卸しすることです。
過去の恋愛を振り返り、どんな相手を選んできたのか、その相手に好かれるために何を変えてきたのかを整理することで、初めて自分が心地よいと感じる関係や、譲れない価値観が見えてきて「自分の軸」が持てます。
自分の軸を持つことは、相手に一切合わせないことではありません。自分の考えや希望を隠さずに伝えたうえで、相手の考えともすり合わせられることです。これにより、相手を追いかけ回したり、無理に相手の好きなタイプに合わせたりしなくなります。

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婚活の順番は、「テクニックを学び、選ばれる」ではありません。まず自分を知り、次に相手を知り、そのうえで自分に合う相手を選ぶ。その順番で初めて、長く続く関係を築けます。
オダミユには、人を惹きつける魅力がすでに充分あります。これから必要なのは、誰かに選ばれるためのモテる振る舞いではなく、自分を演じずに人と向き合うことです。
レイとの恋に区切りをつけたとき、オダミユは「恋して、本当によかった」と話しました。選ばれなかった経験から、自分を理解する手がかりを得られたのなら、今回の帰国は終わりではありません。対等な関係を築ける相手と出会うための、大きな一歩だったのではないでしょうか。
ナレソメノート編集部



