【失恋】男性は引きずり、女性は切り替えが早いってホント!?
ちまたで、まことしやかにささやかれる“恋愛雑学”や“テクニック”。「それって本当に正しいの?」「ただの思い込みじゃない?」と気になったことはありませんか?
この企画では、そんな恋愛にまつわるうわさや通説を、ナレソメ予備校の恋愛心理学者・山崎独自の視点と科学的なデータをもとに徹底考察し、解説します。
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失恋。男性は引きずり、女性は切り替えが早いってホント!?
別れてから数か月。女性はもう新しいパートナーと楽しそうに過ごしているのに、男性はまだSNSをチェックしては「元気かな……」とため息をついている。
「男は過去に生き、女は未来に生きる」なんて言われることもありますが、男女の切り替えのスピードは単なる個人差なのでしょうか? それとも、性別による傾向があるのでしょうか? 山崎がエビデンスをもとに語ります。

【考察サマリー】コレってホントですか!?
今回のテーマである失恋から立ち直るスピードについて、私は「本当である」と分析します。
理由は、「別れの主導権は女性にある」というデータ(※1)があるからです。失恋後に置かれる環境が男女で異なるから、立ち直る早さに違いが生まれていると考えられます。詳しく見ていきましょう。
※1 参考:松井 豊(1993)恋ごころの科学 サイエンス社
男性が引きずりやすいのは「別れの主導権」がないから
前提として、女性は別れを切り出す前に「別れたい理由」を自分の中で整理し、心の準備をしてから別れを告げる傾向にあります。つまり、別れる前から切り替えを始めているのです。
一方、男性は突然「別れよう」と言われ、「なんで!? どうして!?」とパニック状態からスタートします。スタートラインが全く違うため、男性の方が立ち直りが遅くなるのです。
ナレソメ総研で調査した「直近で交際終了した恋人との交際終了理由」によると、27.9%、つまり約3人に1人の男性が「一方的にフラれたから」と回答しました。このデータからも男性には別れの主導権がないケースが比較的多いといえます。

ナレソメ総研の別の調査では、相手から一方的にフラれた場合、「見返し願望」「話し合い願望」が他の別れ方より強い傾向にあることも明らかになっています。見返し願望とは、元恋人を見返してやろうという気持ち、話し合い願望はもう少しちゃんと話し合いたいという気持ちのことで、これらの願望が強いと未練が残っているといえます。

フッた側(自分から一方的に別れた)の37名は復縁願望から見返し願望まで全て1ポイント台で、復縁願望も未練もほぼないといえます。しかし、一方的に別れを告げられた人は、別れを告げた人より話し合い願望や見返し願望が1ポイント以上高い結果となっており、未練が残りやすい傾向にあります。
そして、男性が引きずるもう1つの大きな要因は「なぜフラれたのか、本当の理由がわからない」ことです。
既出の表(【男女別】直近で交際終了した恋人との交際終了理由)を読み解くと、女性が別れを決意する理由は複合的で、積もり積もっていることが多いもの。しかし、それを全て説明するのは面倒だと感じていたり、「言ってもムダだ」という学習性無力感が生じていたりするため、女性は本当の理由を伝えない傾向にあります。
その結果、男性は「うまくいく道があったんじゃないか?」「俺の何が悪かったんだ?」と永遠に答えの出ない自問自答を繰り返し、消化不良のまま時を過ごすことになります。
人間は「意味付け」したい生き物。その出来事に意味付けをして初めて消化できます。そのため、別れるときにはっきりと理由も一緒に伝えられると、あまり未練が残らないと考えられます。
「サンクコスト」への未練もある
男性が引きずる理由として、サンクコスト(埋没費用)への未練も考えられます。
恋愛市場において、男性はデート代などの金銭的コストを負担することが多いため、別れてしまうと「これだけコストをかけたのに回収できなかった」「満足いくまで一緒にいられなかった」という気持ちになります。
これは「その女性を好きだった」ではなく、自分がコストをかけた対象物からメリットを受け切れなかったという意味です。いわゆるプライドが傷つけられた状態。例えるなら、投資で失敗したときのような感覚です。
反対に、女性に金銭的に依存していた「ヒモ系男子」は、次の依存先を見つければいいだけなので、意外と引きずりません。また、「自分が稼がずに頼っていたから」という明確な理由があり、別れを告げられた原因が分かっているため早く切り替えられるのかもしれませんね。
女性の未練は「見返し願望」として表れる
では、女性は全く引きずらないのか? というと、そうではありません。
女性の場合、失恋直後の3か月間は「見返し願望」という形で未練が強く表れます。見返し願望とは、元恋人を見返してやろうという気持ちのことです。
ナレソメ総研の調査によると、破局後3か月未満の見返し願望は3.85。この期間がピークだと考えられます。

見返し願望は未練ではないという女性もいますが、立派な未練です。なぜなら、見返してやりたいという気持ちは執着がないと生まれない感情だからです。
そのため、見返し願望が最も強くなる別れた直後(3か月未満)が女性にとって一番つらい時期だといえます。
決定的な違いは「情緒的サポート」のポートフォリオ
ここまで、男女の心理的な違いや未練の形について解説しました。では、立ち直りのスピードに差を生む要因はどこにあるのでしょうか。
それは、「情緒的サポート(心のケア)」のポートフォリオ(配分)にあると考えられます。
情緒的サポートとは「話を聞いてもらう」「肯定してもらう」「一緒に過ごしてもらう」「スキンシップをしてもらう」などを指します。
女性の場合:友人や家族など、心の支えをうまく分散できている
女性は恋人がいても、普段から同性の友人、母親、姉妹など、複数の相手に相談したり、共感してもらったりする傾向にあります(※2)。
失恋後は友人に話を聞いてもらうことで、記憶を反復してしまい一時的に執着が強まりますが、同時にそれが「お焚き上げ(感情の消化)」にもなり、結果的に3か月程度でスッキリと切り替えられることが多いです。言語化自体にも感情処理の効果がありますが、感情表出をする相手がいることの効果が大きいといえます。
恋人という心の支えを一時的に失っても、残りのサポーターが残っているため、修復が早いのです。
もし、話せる友人がいない場合は、次の恋人をつくることがおすすめです。埋まらないサポーターの枠を埋めてくれる、新しい恋人を見つけましょう。
※2 参考:山下 倫実・坂田 桐子(2008)大学生におけるソーシャル・サポートと恋愛関係崩壊からの立ち直りとの関連 教育心理学研究,56,57-71.

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男性の場合:弱音を吐ける相手がおらず、恋人に「一点張り」してしまう
男性は、弱音や悩みを同性の友人に話す習慣があまりありません。その結果、心の支えのほとんどを恋人1人に依存してしまいます(※2)。
恋人と別れるということは、大きな支えを一瞬にして失うことを意味します。だからこそ、「あの居心地のよさを返してくれ」と元恋人に執着してしまうのです。
男性でも、「彼女と別れたんだよね」と友人に話せる人は切り替えが早いといえます。話を聞いてもらうことだけでなく、例えばカラオケにオールで付き合ってもらうのも情緒的サポートに含まれます。
以上のことから、恋人に一点張りするのではなく、周囲の人に情緒的サポートを求められるかどうかが失恋から早く立ち直るためのカギになります。

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次の恋人が見つかりにくいことも引きずる原因に
情緒的サポートの観点で見ると、男性が、女性と比較して次の恋人が見つかりにくいことも引きずる原因になると考えられます。
交際人数の中央値を見ると、女性(3〜4人)に比べ、男性は2人程度と少ない傾向にあります。
残酷な現実ですが、一部の強者男性(交際人数7人以上)がたくさんの女性と付き合う一方で、多くの男性にとって次の恋人をつくるハードルは非常に高いのです(※3)。次の恋人がなかなかできないから、次の情緒的サポートを受けられない。結果として、元恋人への未練が残ってしまうのです。
また、既婚者で元恋人を忘れられないという悩みをもつ人はほぼいません。覚えてはいるけれど、忘れられなくて苦しむ人はいないのです。
そのため「次の恋人がいるかどうか」は、別れを引きずるかどうかの分岐点になるといえます。
※3 男女共同参画局「男女共同参画白書 令和4年版 特-37図 これまでの恋人の人数」をもとにした推測値
「自己決定」していない別れは後悔を生む
実は、男女ともにフラれた側ではなく、「自分からフッた側」が引きずってしまうケースも存在します。
それは、別れを「自己決定」していない場合です。
相談をしても、最後は「自分」で決める
「友達にあんな人やめときなって言われたから」
「親に反対されたから」
このように、自分の本心ではなく、周囲の意見や評価に流されて別れを選んだ場合、「やっぱりあのとき別れなければよかったかも……」という後悔が生まれやすくなります。自己決定感が低い人は周りの声に流されるため、結果的に未練が残ってしまうのです。
もちろん、恋愛において周りの意見を聞くことは重要です。第三者の視点は、当事者では気づけない問題を教えてくれるからです。しかし、意見を聞くことと、言われたとおりにすることは別物です。
重要なのは、「周りの意見を参考にした上で、最終的には自分で決断すること」です。
自己決定ができる人とできない人の違い
自己決定ができる人とできない人の違いは、これまでの人生で自己決定してきたかどうかの違いです。
自己決定ができるかどうかは性格ではなく、経験学習で決まります。要は、子どもの頃から自分で決めた経験があり、自分で決めたことだからと責任をとってきた経験があるかどうかです。
だから、普段から周囲の人の意見に「従っている」人は、自己決定感が低い人だといえます。
失恋から前へ進むためには、別れも出会いも「自分の意思で選んだ」という経験を積み重ねていくことが不可欠なのです。
失恋を乗り越え、次に進むための3ステップ
では、どうすればこの苦しみから抜け出し、次に進めるのでしょうか? 最後に、男女共通の3ステップを解説します。
1. 「忘れなくていい」と自分に許可を出す
まずは、「忘れられない」「(新しく出会った人と)元恋人と比べてしまう」という自分を認めましょう。
むしろ、忘れられるわけがありません。1枠しかないパートナーの枠にその人を入れていた事実は変わらないから、大切な相手だったという事実は否定しないことが大切です。

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2. 物理的に遮断する
物理的に遠ざけることは必須です。スマホは「データ移行せずに機種変更」しましょう。
- SNSでブロックする、またはアカウントを作り直す
- 連絡先を削除する
- 思い出の写真を削除する
SNSでつながっていると、つい見てしまうものです。どうしても元恋人をブロックできない場合は、情緒的サポートをしてくれる友人に代わりにブロックしてもらいましょう。
また、元恋人だけでなく、共通の知人・友人ともSNSでつながっている場合は、最初の3か月間SNSをやめるのもおすすめです。3か月たてば、ある程度は気持ちも落ち着きます。
さらに、ログアウトするのではなく、アカウントを消して作り直せると尚よしです。なぜなら、アカウントを消したほうが情緒的サポートをしてくれる人間関係のポートフォリオを組み直しやすいからです。
それから、スマホのカメラロールに残っている思い出の写真も削除しましょう。もし、すぐに消すのが難しい場合は友人に頼み、思い出の写真フォルダーに自分には分からないパスワードをかけてもらうのがおすすめ。写真自体は残しておき、そのパスワードを入力しないと見られないようにするのです。ステップを作って、徐々に遠ざけましょう。

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3. 気持ちが追いつかなくても新しい出会いを探す
「傷が癒えてから次の恋を探そう」という人もいると思いますが、これは間違いです。それは「やる気が出たら勉強する」と言っている受験生と同じです。いったん休むことが功を奏すことはありません。
やる気(モチベーション)は、行動した後からついてくるものです。うまくいく人は明日から頑張ろうじゃなくて、今日1%だけやろうと決めて行動する人。「傷が癒えません」と言っている人は「0%から1%にするのが嫌です」と言っているのと同じです。
気持ちが追いつかなくていいです。新しい出会いが傷を癒やしてくれる。だから、明日1人と会ってきてください。できれば今日会ってきてください。今日1人と会えば、次に会うのはおっくうじゃなくなるからおすすめです。小さな行動(0→1)が、現状を変える一番の特効薬になります。

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まとめ:失恋から立ち直るための小さな一歩を
今回のテーマ、「失恋。男性は引きずり、女性は切り替えが早い」という説は、別れの主導権が女性にあるという点から「本当である」という結論になりました。
もし今、あなたが失恋で悩んでいるのならば、特に男性は情緒的サポートを分散させる意識を持つこと。女性は、見返し願望を未練だと認めてお焚き上げすること。
そして男女ともに、まずは「物理的な遮断」と「小さな行動」から始めてみましょう。その小さな一歩が、あなたを新しい幸せへと導いてくれます。

ナレソメ総研



